一般人の私たちと比べれば、はるかにリッチな英王室。さらに彼らは、ロイヤルメンバーである自身たちを含め、大規模な人的ネットワークを雇用している(この仕組みは複雑なので、のちほど少し説明する)。

もしあなたが、(1)王室で働けるのか (2)給料はいくらもらえるのか (3)ロイヤルメンバーはいくらもらっているのか、という疑問を持ったことがあるなら、その答えは次の通り。(1)はい (2)それほどでもない (3)この記事をお読みください。

ここでは、王室での働き方、応募先、お給料事情、さらには、英王室という“ブランド”で働くことで得られるものについて、US版『コスモポリタン』がつぶさにレポート。

英王室での仕事、その実情は?

まず、ロイヤルたちが住む宮殿の巨大なベルベットのカーテンを毎朝開けてみたいなど、もし王室で働くことに興味があるなら、完全にチャンスはある。ほら、きちんとした求人サイトもある。

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では、王室はお給料をいくらくれるの?

一般の仕事と同じように給料はポジションによって異なる。例えば、この記事を執筆中の時点で王室の求人サイトでいちばん給料が高いのは、バッキンガム宮殿勤務のシニア・プロジェクト・マネージャー。その給与は5万5000ポンドから6万ポンド(約910万円から993万円)で、これは経験により異なる。

いちばん給料の低い仕事は倉庫作業員で、「時給10.90ポンド(約1800円)+ランチ+その他手当」となっている。より直接的に王室と関わる仕事としては、住み込みで働くシニア・アテンダントで、「年収2万3750ポンド(約390万円)※経験により異なる」とのこと。そういえば、ウィリアム皇太子夫妻はソーシャルメディア担当のトップを募集していたこともある(ただし給与については記載なし)。

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厳格なセキュリティプロセスがある

王室で働く人は例外なく、厳しいセキュリティ・クリアランス(機密情報を取り扱うことについての人物検査)を通過しなければならない。プリンス・オブ・ウェールズのウェブサイトでの案内は次の通り。

「王室で働く人は全員がセキュリティ・クリアランスを受けることになります。応募段階では審査情報は必要ありませんが、採用が決まり次第、追加情報の提出やセキュリティに関するアンケートに応じていただくことになります」

「これについては何も心配することはありません。応募者の職場の推薦者、場合によっては個人的な推薦者に連絡を取ります。また、応募者のセキュリティ・クリアランスの一環としてバックグラウンドチェック(身辺調査)を実施します」

セキュリティ・クリアランスのプロセス自体に4~6週間かかるため、これは普通の仕事に応募するのと“まったく同じ”とは言えないかもしれない。

そこまで気前が良いわけではない

2022年、ビジネス誌『インサイダー』が王室の求人ページを分析した結果、2015年から2021年の間に掲載された503件の求人のうち、「10件がLiving Wage Foundation(イギリスの生活賃金を広める運動の中心的役割を担う非営利団体)が推奨する生活賃金を下回る給与額で掲載されていた」ことがわかった。さらに、「274件の給料はその推奨生活賃金のほんの数ペニーの範囲内」だったとも。

注:この報道に対し非常に気分を害した王室は、『インサイダー』誌に向けて「明らかに不正確で古い情報が、王室の運営に関する一連の誤った報道、根拠のない主張のよりどころにされていることに失望しています」と声明を発表した。

これはGiphyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

ロイヤルメンバー自身のお給料事情

まず、フルタイムで公務をこなす「ワーキング・ロイヤル」はそれほど多くはない。ヘンリー王子とメーガン妃がカリフォルニアで自分たちのことに集中している今、ワーキング・ロイヤルにあたるのはチャールズ国王、カミラ王妃、ウィリアム皇太子、キャサリン皇太子妃、エドワード王子、ソフィー妃、アン王女だ。

王室の公務に出席し、チャリティイベントやパトロンを務めている団体のイベントに姿を見せ、王室の「顔」として公の場に姿を見せることが、その主な仕事内容だ。基本的に、ワーキング・ロイヤルはインフルエンサーで、その費用は納税者が負担している。では、そのお給料はいくらなのだろう?

ロイヤルメンバーのお給料は「ソブリン・グラント」から

ロイヤルメンバーが税金からどのように収入を得ているかについては、「クラウン・エステート(国王の公の不動産)」の説明をする必要がある。

この資産は厳密には在位中の君主に属し、その土地や所有物から構成されている。経済誌『フォーブス』によると、2020年3月31日締めの会計年度において、クラウン・エステートは4億7500万ドル(当時のレートで約513億円)の利益を上げたとのこと。この収益の大部分(75%)は英国財務省に支払われるが、25%は「ソブリン・グラント(王室助成金)」に投入される。

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Pool//Getty Images

具体的にはロイヤルメンバーの「経費」が支払われる

「ソブリン・グラント」は、スタッフの人件費、移動費、王室に関わるすべての行事など、王室の公式の経費に支払われる。基本的に、このお金はワーキング・ロイヤルとしての日々の生活のためで、残りの個人的な支出はプライベートの信託基金と王族であることのおかげで得た莫大な富から支払っている。

『フォーブス』によると、チャールズ皇太子(当時)の2020年のソブリン・グラントの使い道は次の通り。730万ドル(当時のレートで約7億8800万円)が自身のスタッフ132人に、674万ドル(当時のレートで約7億2800万円)が税金に、440万ドル(当時のレートで約4億7500万円)が慈善事業に、780万ドル(当時のレートで約8億4200万円)が息子たち(ヘンリー王子は当時ワーキング・ロイヤルだった!)に使用されたという。

王室のための納税者の負担はどれくらい?

2017年、アラン・リード国王手許金会計長官(当時)は「2016年から17年にかけてのソブリン・グラントに対する国民1人あたりの負担は65ペンス相当でした。これはファーストクラス(速達郵便にあたる)の切手1枚分の金額です。女王がこの国のためにおこなっていることや国を代表していることを考えると、コストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう」と述べている。

たしかにその通り。ただ、ソブリン・グラントのお金の使われ方には反発もあった。例えば、ワーキング・ロイヤルだった頃のアンドルー王子は、とあるゴルフクラブのパトロンとしてプライベートジェットに1万6000ポンド(約264万円)を費やしたという報道がある。

とはいえ、王室は毎年英国経済に数十億ドルもの貢献を果たしていることは今更言うまでもないだろう。『フォーブス』の推定によれば、具体的には年間27億ドル(約359億円)だとか!

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

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