「コロナ離婚」という言葉が登場するなど、結婚や離婚、家族の在り方に対する価値観の変化がみられる昨今。離婚ときくと、失敗や悲劇といったイメージで受け止められることが少なくありませんが、欧米では「成長するための転機」という捉え方も広がってきています。
そこで本記事では、「結婚観」と「離婚観」の変化に関する専門家の解説と、20代での離婚の体験談を、<コスモポリタン イギリス版>からお届けします。
【INDEX】
「結婚観」と「離婚観」の変化
イギリスの2021年の調査では、結婚したカップルの42%が離婚に至るというデータを発表。そのため、現在「結婚適齢期」とされるミレニアル世代は前の世代と比べて未婚率が高い一方で、結婚を選択する人も未だに多く、結婚に対する憧れや願望が根深いとも言えます。
では、結婚の先に離婚が待ち受けているケースが多いと知りながら、なぜあえて結婚を選ぶのでしょうか。
人間関係の専門家サム・オーウェン氏によると、今の若い世代の人々の結婚観や離婚観には、「現実を受け入れること」を前提にしている傾向にあると説明します。
「ミレニアル世代は、離婚について寛容的で、離婚の後の人生においても希望を見出そうという観点を持っています。離婚した人々に対して共感すると同時に、結婚生活におけるネガティブな影響からの解放という見方も持つようになりました。そのため、離婚当事者の選択を応援し、共に喜ぶことができるのです」
また、不健康な人間関係を継続するよりも、自分にとっての幸せを優先するために独身を選ぶことに対する理解も高まってきていると話すサムさん。
「それまでの価値観では“忍耐”が美徳とされてきましたが、今の若い世代では不幸に耐えるのではなく、自分自身の幸せのために闘い、必要であれば何かを手放すこともできるようになってきています」
「結婚」が社会的な期待やプレッシャーによるものではなく、個人的な選択となりつつある現在。20代で結婚と離婚を経験したアナさんとカイさんは、「離婚」に関しても自分自身の幸せのための選択であるべきだと、実体験から学んだと振り返ります。
離婚経験者たちの体験談
アナさん(仮名)の場合
現在32歳のアナさんは26歳で結婚し、その3年後に離婚。自身がLGBTQ+の当事者だとカミングアウトしたことが、離婚に至った要因の1つでした。
元パートナーとの根本的な違いを受け入れ、成長するためにカミングアウトは必要なことだったそう。
「私たちの結婚に対する考え方は根本から違っていました。元夫は結婚を永久に続くものだと考えていましたが、私はそう考えることに息苦しく感じたんです」
結婚生活は長く続かず離婚に至りましたが、「結婚」という概念や伝統が美しいと感じる気持ちには変わりがないとのこと。
「家族や自分を支えてくれたコミュニティが集まる結婚式やパーティーで愛を誓いあうことは美しいと思います」
アナさんは再婚に対してオープンである一方で、離婚の経験が与えてくれた気づきはかけがえのないものだとし、「結婚」をLGBTQ+当事者の視点から見れるようになったと説明します。
「自身の一番近い家族を選ぶという意味で、結婚は素晴らしいことです。しかし、離婚することは非常に解放的であると同時に、私たちは誰しもが向かうべき道を失うこともあるけれど人生は続くという気づきを与えてくれたと思います」
カイさん(仮名)の場合
25歳のカイさんは、19歳のときに元パートナーに出会い、2年後に結婚。
結婚当初は順風満帆でしたが、元パートナーがアメリカに転勤したこともあり、徐々にお互いが違う方向を観ていることに気づきはじめたと言います。
「どこに住んで落ち着きたいか、子どもはどのタイミングでほしいか、人生観においての意見が分かれ始め、私たちの関係性は苦しいものとなっていきました」
大きなキッカケとなったのは、元パートナーがオープンリレーションシップを提案したこと。カイさんも崩れかけた関係性がよくなればと同意しましたが、この決断が二人の関係性を決裂させる要因となったと振り返ります。
「オープンリレーションシップになったことで、元パートナーから拒絶されたと感じるようになり、二人の関係性を修復しようという考えから離れるようになりました。仕事に没頭するようになり、二人で過ごす時間がさらに少なくなりました。どうしようもない寂しさと憤りを感じるようになり、ある日『もうこれ以上は無理』と告げたんです」
離婚に至るまでの経験は辛いものだったけれど、それによって自分をより深く知ることができ、結果的にポジティブな経験となったとのこと。
「カウンセラーの力を借りながら、人間関係における対処の仕方、そして自分がどんな人を求めているのかという新しい視点を持つようになりました」
「離婚の経験は、自分に正直になることの大切さを教えてくれました。自分が幸せになることに責任を負わなくてはいけないのは、自分だけなんです」
※この翻訳は抄訳です。
Translation: ARI