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レインボー以外にも!LGBTQIA+を表す「プライドフラッグ」29種

LGBTQ+のジェンダーやセクシャリティを象徴するそれぞれのフラッグの意味とは?

By Katherine J. Igoe
本記事では、lgbtqiaを表す「プライドフラッグ」29種類を解説します。 多様なジェンダーやセクシュアリティの存在が知られていくようになった昨今。実は「プライドフラッグ」には、30以上もの種類があるのを知っていますか? 象徴するアイデンティティや意味はもちろん、それぞれに込められた想いや歴史も異なります。
Marcela Ruth Romero//Getty Images

LGBTQIA+コミュニティの多様性を表す「レインボーフラッグ(旗)」。コミュニティのシンボルとしてはもちろん、連帯を表明するものとしても歴史的に大切な存在として扱われてきました。

多様なジェンダーやセクシュアリティの存在が知られていくようになった昨今。実は「プライドフラッグ」には、30以上もの種類があるのを知っていますか? 象徴するアイデンティティや意味はもちろん、それぞれに込められた想いや歴史も異なります。

そこで本記事では、LGBTQIA+を表す「プライドフラッグ」29種類を解説します。

改めて知りたい!「ジェンダー」や「セクシュアリティ」の違い

伝統的なプライド・フラッグ

レインボーフラッグを解説
Alexander Spatari//Getty Images

2023年現在、もっともよく見かけるのがおそらくこのレインボー・フラッグ。このデザインが広がった理由に、パレードに使いやすく、掲げやすいフラッグにするためだったという背景が。また製造の観点からは、6色が(従来の)7色より製造しやすかったという説も。

このレインボーフラッグは、今やLGBTQIA+のコミュニティを広く象徴する役割を果たすようになりました。

パンセクシュアル・フラッグ

pansexual pride flag   one of a communities of lgbt sexual minority
oleksii arseniuk//Getty Images

このフラッグは、すべてのジェンダーが恋愛対象になる「パンセクシュアル」を表すもの。2010年に、パンセクシュアルをバイセクシャルと区別するために作られました。

ピンクは女性、ブルーは男性、黄色は主に次の2つを示します。

バイセクシャル・フラッグ

bisexual pride flag vector illustration a graphic element
-1001-//Getty Images

1998年、フロリダを拠点とする活動家のマイケル・ペイジが、LGBTQ+のコミュニティの中でも「バイセクシャル」にスポットライトを当てたいと考えてデザインしたフラッグ。

一般的に“男性らしさ”をもつとされる青と“女性らしさ”を象徴することの多いピンクを重ねると、紫色に。 つまり、「両方の性に惹かれる」ということを意味しています。

ただしバイセクシャルは“1つの性だけ”に魅力を感じるわけではないというセクシュアリティなので、2つ以上の性に惹かれることを示すフラッグも存在します。

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トランスジェンダー・プライド・フラッグ

transgender pride flag on transparent background
bortonia//Getty Images

トランスジェンダー女性のモニカ・ヘルムズによって1999年に考案されたフラッグ。ブルーとピンクの色は男性と女性を表し、どちらの長辺を上にしても掲げることのできるデザインになっています。

また、性別移行期の人や男性と女性の中間あるいはどちらの性別にも当てはまらない人も、白い部分によって表されています。

トランスジェンダー・プライド・フラッグ

transgender flag
Tracey Quirk / EyeEm//Getty Images

トランスジェンダーを表すフラッグの別バージョンでは、トランスジェンダーを表す記号(女性性=♀、男性性=♂、そしてジェンダークィア=⚨の記号を融合させたもの)が、ストライプの上に配置されています。

レズビアン・フラッグ

lesbian flag
Wikimedia Commons

2018年に登場した、7色をグラデーションで描いたレズビアンコミュニティを象徴する同フラッグ。

上から順に、以下の意味があります。

  1. ジェンダー・ノンコンフォーミング…世間で受容されているジェンダーの規範に異議を唱える人、あるいは覆そうとする人や物すべてを指す包括的な概念
  2. 独立性
  3. コミュニティ
  4. 女性としての多様なあり方
  5. 平穏と安らぎ
  6. 愛と性愛
  7. 女性性
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ノンバイナリー・フラッグ

non binary pride community flag, lgbt symbol sexual minorities identity vector illustration
Photoplotnikov//Getty Images

後で紹介する「ジェンダークィア・フラッグ」とは別に、改めてジェンダー規範の外にあるアイデンティティ(黄色で表現)を表すため、2014年に当時17歳のカイ・ローワンが考案したフラッグ。

白はすべてのジェンダー、黒はジェンダーレス、そして紫は男性性と女性性を混ぜたジェンダーを表しています。

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ジェンダークィア・フラッグ

genderqueer flag
Wikimedia Commons

ジェンダーバイナリー(性を「男」と「女」のどちらかに分類する男女二元論)の外にあるアイデンティティを表すため、マリリン・ロキシーによってデザインされたフラッグ。

ラベンダーは両性、白はジェンダーレス、緑はノンバイナリーを意味し、「ノンバイナリー・フラッグ」としても知られています。

アセクシュアル・フラッグ

asexual and demisexual pride flag vector illustration a graphic element
-1001-//Getty Images

2010年、アセクシュアル(無性愛者、一般的に他者に対して性的欲求をもたないこと)の認知を広げる活動を行うネットワーク「アセクシュアルの認知と教育ネットワーク」が、自分たちのシンボルと考えて作られたもの。フラッグのデザインも、同ネットワークのロゴにインスパイアされているのだそう。

黒はアセクシュアル、グレーはグレーセクシュアル(他人にほとんど性的魅力を感じない)とデミセクシュアル(感情的結びつきを感じれば性的欲求も生じることがある)を、そして紫はコミュニティを表しているそう。

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デミセクシュアル・フラッグ

asexual and demisexual pride flag vector illustration a graphic element
-1001-//Getty Images

デミセクシュアル(基本的に他者に対して性欲は抱かないが、まれに強い感情の結びつきにより欲求が起こることもある人)はアセクシュアルの範ちゅうに入るものですが、独立したフラッグが存在します。

アセクシュアル・フラッグと色は同じですが、構図だけ異なります。

アロマンティック・フラッグ

agender pride flag vector illustration designed with correct color scheme symbol of agender community
Stock Ninja Studio//Getty Images

ほかの人と恋愛をしたいという感情をもたない、アロマンティック。性的欲求をもたないアセクシャルとは違うアイデンティティです。

このフラッグの緑は恋愛感情をもたない人のことを、またグレーと黒はアロマンティックな人々の多様なアイデンティティを表現しています。

ポリアモリー・フラッグ

polyamory flag, lgbt symbol isolated on white background
Ecelop//Getty Images

パイ記号で表わされる円周率には、“おわり”がありません。これが、ポリアモリー(複数のパートナーと親密な関係をもっている、またはもちたいという願望がある)の在り方と重なる部分があることから象徴となっています。

(パイ記号の)金色は感情的なつながりを表し、相手への思いが単にセクシュアル(性的行為を含む)な関係だけでないことを示します。

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エイジェンダー・フラッグ

agender pride flag vector illustration designed with correct color scheme symbol of agender community
Stock Ninja Studio//Getty Images

ジェンダーを自認しない姿勢を表すため、セイラム X.あるいは「スカ」という名のデザイナーにより考案された、決まった上下のないフラッグ。

緑はノンバイナリーを、黒と白はジェンダーレスを意味しています。

インターセックス・フラッグ

intersexual symbol people, flat icon symbol of usual sexual orientation vector illustration of a colorful element
Anastasiia_M//Getty Images

このフラッグは2013年に、オーストラリアのインターセックス(男性とも女性とも決められない・中間的もしくはどちらとも一致しない性質をもった)の人々のための慈善団体である「インターセックス・インターナショナル・オーストラリア」によりデザインされたもの。

ジェンダーを問わない黄色は、「バイナリー(性別を二つのみとする考え方)の外に生きることを祝福する」という意味が込められています。

ジェンダーフルイド/ジェンダーフレキシブル・フラッグ

genderfluid pride flag, lgbt symbol isolated on white background
Ecelop//Getty Images

このフラッグは、ジェンダーフルイディティ(性別は決定しているものではなく流動的なものだという考え方)の概念を象徴するものです。

ピンクは女性性、青は男性性、白はジェンダーレス、黒はすべての性、そして紫は男性と女性両方、を表現。

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ポリセクシュアル・フラッグ

rubber pride flag
Wikimedia Commons

パンセクシュアルのフラッグに似たポリセクシュアル(複数のセクシュアリティが恋愛対象になる人(すべてのジェンダーが恋愛対象となるパンセクシュアルとは異なります)のフラッグ。

グリーンがジェンダー規範に属さないという精神、そしてピンクとブルーはそれぞれ女性性と男性性を表しています。2012年にTumblrで考案されたそう。

また、ポリセクシュアリティという言葉は、ジェンダーではなく「男らしさや女らしさに惹かれること」を意味する場合もあります。

ギルバート・ベイカーのプライド・フラッグ

gilbert baker pride flag
Wikimedia Commons

ここからは、レインボーのプライドフラッグの歴史をご紹介! 23年現在で最も知られている6色のものに落ち着くまで、さまざまなパターンが誕生しています。

このプライド・フラッグは1977年、ゲイを公表したアメリカの政治家ハーヴェイ・ミルクが、アメリカ軍に在籍した経験もあるデザイナーのギルバート・ベイカーに制作を依頼したもの。

ミルクいわく、クィアの人々が「自分たちの愛を讃える、何かポジティブなものを必要としている」と感じていたそう。

俳優のジュディ・ガーランドが『オズの魔法使い』の中で歌った「虹の彼方に」にインスパイアされており、それぞれの色に意味があります。

  • ホットピンク... セクシュアリティ
  • 赤... 生命
  • オレンジ... 癒し
  • 黄色... 太陽
  • 緑... 自然
  • ターコイズブルー... 魔法と芸術
  • 藍色... 静穏
  • 紫... 精神

1978~1999年のプライド・フラッグ

1978 1999 pride flag
Wikimedia Commons

1978年にミルクが暗殺されると、多くの人が彼への支持を表明する象徴を求め、フラッグに対する需要が増すように。

デザイナーのベイカーは特殊なホットピンクのカラーの入手に苦労したそうで、当初の8色から7色にデザインが変更されたフラッグが売られるようになりました。

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有色人種を含むフラッグ(フィラデルフィア)

philadelphia people of color inclusive flag
Wikimedia Commons

2017年、ペンシルベニア州・フィラデルフィアはLGBTQ+コミュニティにいる有色人種のクィアを包含する重要性を強調するため、従来の6色の上にブラウンと黒を追加。

このデザインに見覚えがあるという人がいるかもしれません。その理由は、次に続きます。

ケープとして着用も

philadelphia people of color inclusive flag
Wikimedia Commons

このフラッグが有名になったのは、リナ・ウェイスが2018年の「メットガラ」でケープとして身に着けたのがきっかけ。

「この運動の歴史的な瞬間は、(ファッションデザイナーの)キャロライナ・ヘレラのおかげ」と彼女はInstagramに記しています。

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