27年間、夫との結婚生活を送り、4人の子どもに恵まれたテネシー州に住むアンさん。10代の頃に感じた女性に対しての恋愛感情を長年押し殺してきた彼女は、自分の気持ちに素直に生きるため、夫との結婚生活に終止符を打つことに。

本記事では、長年の結婚生活を経てカミングアウトしたアンさんが、どのようにして自分の気持ちと向き合ってきたのかをご紹介します。

語り:アン・マリー・ザンザルさん(57歳、テネシー州ナッシュビル在住)

 
NATHAN MORGAN

男性とのセックスを楽しめなかった

私はカトリック教徒として育ち、「セックスは悪いこと。だから結婚するまで待ちなさい」「男性にとって良い妻になるべき」と、多くの人と同じように“セックス”や“女性らしさ”とはどんなものかという固定観念を刷り込まれてきました。

そのため私が10代の頃に男性とセックスすることになったときには、その罪悪感から楽しめなかったのだと思っていたのです。

女性に好意を抱いたけれど…

19歳のとき、バーで出会った女の子を見た私はその色気に虜になりました。けれど私は、その気持ちをどうしたらいいのか分からなかったんです。数年後に同じようなことが起こるまでは、そのとき感じた気持ちを心の奥底に閉じ込めていました。

けれど時代は、1980年代後半のコネチカット州。深刻化するエイズ問題により、同性愛嫌悪が蔓延していたため、私が感じたこの衝動は“間違っている”と感じるように…。

その後私は25歳で結婚し、5年経たない間に3人の子どもが生まれ、39歳で第4子を授かりました。正直なところ、その間は自分のセクシュアリティについて考えることはなかったんです。セックスに興味はなかったけれど、そう感じていることを変だとも思わなかった――だって私の周りにいる母親たちの多くは、夫とセックスをしていなかったから。

長年の結婚生活に疑問を感じ始める

末っ子が2歳になった後、私は神学の修士号を取得するという長年の夢を目指すことを決意。

そしてある日、アライとしてキャンパスのカミングアウトサービスに参加しました。するといつの間にか私はボロボロと涙を流し、泣いていたのです。これからどうしたらいいのだろう…そう思いつつも、愛する人を傷つけ人生を台無しにしてしまうではないかと、私は結婚生活を続けました。

それからの7年間、何度もカップルカウンセリングの場で自分がレズビアンなのではないかと口にしてきましたが、否定されるばかり。

けれどホスピスの牧師として働いていたとき、私の人生を変える出来事が。90歳のある方の「私はずっと何かを待っていたような気がする」という言葉に、私は心を揺さぶられたのです。そのことをセラピストに話すと「アン、あなたは何を待っているの?」と尋ねられました。すぐに私はこう答えたのです。自分はレズビアンだと。

two people holding hands while sitting
Peter Berglund//Getty Images

その夜私は「晩年のレズビアン」とネットで検索し、自分が誰とも共有したことがなかった内容を話せる女性のオンラインサポートグループを見つけました。

カミングアウトに遅すぎることはない

安堵感を得られた一方で、私が感じていたのは恐怖と悲しみ。27年も連れ添った夫との結婚生活に終止符を打つことになるからでした。さらに子どもたちに対しても、取り返しのつかないことをしてしまうのではないかと不安でいっぱいに。

けれどセラピーに通ったり執筆活動をしたり、子どもたちと本音で話し合ったこと、そしてある女性との恋を経験したこと…時間の経過とともに、私は家族を“壊した”のではなく、家族の“カタチ”を変えただけだと理解できるようになりました。

現在は、他の女性たちのカミングアウトのプロセスを指導するコーチとして働いています。私のクライアントは、25歳から75歳までの幅広い年齢の方がいるんです。カミングアウトするのに、間違ったタイミングはありません。もちろん、遅すぎることもないのです。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARISA ISHIMOTO

Oprah Daily