他人から投げかけられた“体型や外見”に関する言葉に傷つき、自信を失ったり、自分の身体に対して批判的になってしまったという経験を持つ人は少なくありません。ましてや、恋人やパートナーなど、近しい人からの心ない言葉ほど影響が強く出てしまうもの。

<コスモポリタン イギリス版>に寄稿したペイズリー・ギルモアさんも、そんな過去を持つ一人。男性との交際時に言われた言葉や態度に傷ついていた彼女を救ったのは、女性との恋愛だったと言います。

語り:ペイズリー・ギルモアさん

体毛の処理について言及され…

とある午後、当時つき合っていた彼氏ジョーとのセックスの後、二人でベッドにのんびり寝そべっていたときのこと。気だるい手つきで私の脚を撫でていた彼が突然、むくっと起き上がるとベッドサイドテーブルに手をのばし、ペンを取った。

彼が私の脚に描いたのは、「かみそり」の絵、そして「剃ってね」の一言。ジョーは、私に向かって「これでもう、脚のムダ毛処理を忘れないね!」と言いながら、ニコニコ顔。

ウケると思ったんだろうけど、私はしっかりこの言葉に傷ついていた。なぜなら、初めてセックスをしてから8年にわたって私が自分の身体に向けていた批判的な思いを強調する出来事だったから。

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コンプレックスを植えつけられた初体験

思えば、初体験が良くなかったのかもしれない。

年上でドラッグ常習者だった当時の彼氏に実家に連れていかれて彼の部屋に入ったら、寝室の壁には、巨乳でほっそりとした体型のグラビアモデルたちのポスターが所せましと貼られていた。細い脚は体毛がなくスベスベで、“完璧”にお手入れされているようだった。

そんな人たちに、初めてのセックスを見下ろされていたわけだ。ベッドの上で私は、彼女たちにあって自分に欠けているところを思い知らされることになった。

私の胸は平らで小さいし、太ももは運動選手みたいに筋肉が発達している。体毛をケアしても、ものの数時間で黒っぽい毛がチクチクと生えはじめてしまう。壁から見下ろしてくる“理想的”な女性たちとは張り合う気すらおきないし、当時の彼もそんな私の気持ちを軽くはしてくれなかった。

褒めてくれなかったというだけの話ではなく、そもそも私たちはセックスについて語ることがほとんどなかった。私が気持ち良いのかどうかさえ、彼は気にかけていないようだった。ベッドインは必ず夜で、照明はすべて消す。昼にするときは、上半身は着衣のまま。

でも、付き合う前から何年も親友同士だったジョーは、そんな思いはさせなんじゃないかって内心期待していた。

その結果、「私の体は変なんだ。これ以上、傷つかないためには、体を変えるための対策をとるか、ひたすら隠すかのどちらか」という、私の歪んだボディイメージを増幅させるだけだった――。

女性との交際が教えてくれたこと

ジョーと別れてからも長いこと、自分の毛深さや小さい胸、筋肉質の太ももを、ずっと恥ずかしいものだと思ってきた。それが、男性との交際関係を通じて私の心理に深く刻み込まれてしまっていたから。

体を隠した暗闇でのセックスを何年も続けていた私だったけれど、29歳のときに女性と恋愛をするようになったことで変化が訪れた。

実は、ひょっとしたら自分はストレート(ヘテロセクシャル)じゃないかも…と、20代の初めから中ごろまで感じつつも、行動に起こすことはなかった。彼氏と別れた後に女性とデートをしたことはあったけれど、真剣にお付き合いすることはなかったから。

そんな私についに彼女ができて、ベッドも共にするようになると、やっぱり最初は気まずさや不安に襲われた。ところがこれまでの男性との体験とは、大きな違いが。それは恋人のメーガンとの交際が、健全なコミュニケーションのうえに成り立っていたから。

ベッドの中でも、お互いにどこが気持ち良いのか、もっと良くするにはどうしたらいいかと言葉で伝えあった。そのコミュニケーションが心地よくて、男性との交際では感じたことがないほど、相手が近く、親密に思えるようになったのだ。

“欠点”が、愛しくてたまらない

彼女は初めての日から堂々と、私の体のどこが好きなのかを語ってくれた。メーガンが私の体毛を慈しんでくれていることを聞いて、私は脚も脇も剃るのをきっぱりやめた。

行為の後には、彼女はやさしく指で私のふくらはぎを撫でて「すごくきれい」「私も伸ばしたくなった」と言ってくれた。私の太ももに手を伸ばして、「引き締まっていて、力強いところが素敵だね」と言ってくれた。

私がノーブラでトップスを着ると彼女は満面の笑みになったし、私が服を脱ぐと、彼女は恥じることなく私の体を見つめてくれた。今までの誰よりも愛情の込められた、あたたかい目で。

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ヘテロセクシャルの女友達が「女性とのセックスは無理」と、私の前で言ったことがある。その時の返答が「だって、すぐに自分たちの体を比較しちゃうだろうから。そして嫉妬しちゃう」だったのを今でも覚えている。でも私は、女性との交際でそんな風に思ったことは一度もない。

実は、恋人のメーガンも、長年にわたって自分の体を嫌ってきたそうだ。お尻が大きいことや、胸がやわらかすぎてストレッチマークが目立つことなど。でも、私に言わせれば、それらが欠点だなんてありえない。だって私は、彼女の体のすみずみまでが大好きだから。

彼女の言葉を聞いて、自分の身体に対する考え方も変わってきた。私のコンプレックスだったところも、愛される価値があるってことなんじゃないかなって。

いつだって自分の身体に批判的で、“欠点”を隠そうとしてきた私。“理想の身体”という幻想と比べていたことは、つくづく無駄なことだったと思う。 あんなに人に見せないようにしていた部分が、今のパートナーにとっては「愛しくてたまらない」ものなのだから。

私のふくらはぎに、かみそりの絵を描いた元彼に言ってやりたい。私は、忘れていないよって。そのうえで「剃らない」ことを選んでいて、幸せなんだよ、と。

この翻訳は、抄訳です。
Translation: Sasaki Noriko(Office Miyazaki Inc.)
COSMOPOLITAN UK