愛着スタイル」とは、人の性質を愛着の観点から分析してカテゴリー分けしたもの。人に対するふるまいや、人間関係の構築にも大きな影響を与えるものであり、多くの場合、子ども時代の環境や愛情の受け方に起因していると言われています。

恋愛関係を構築するうえでも大きな影響を与える、愛着スタイル。「恋愛するたびに健康的じゃない関係を繰り返している…」と悩んでいる場合には、自分の愛着スタイルを理解することで、より良い関係を築くヒントが得られる可能性も。

大きく分けて「不安型」「回避/拒絶型」「安定型」3つのタイプに分類される愛着スタイルの特徴から、本記事では「不安型の愛着スタイル」に焦点を当てて、その定義や原因、対処法について解説します。

愛着スタイルとは?

愛着スタイルとは、基本的には両親との関係を通じて幼児期に確立されるもの。成人後も、パートナーとの恋愛や人間関係の傾向を決定づける、大きな要因として働くのだとか。

「愛着スタイルは、赤ちゃんだったあなたの世話をし、両親など育ててくれた人(ケアラー)との絆を基盤に発達します」と人間関係カウンセラーのホリー・ロバーツさんは説明。

「愛着は親が子どもをサポートし、守り、世話してもらった経験から形成されます。人は、親が自分とどのように接してくれたかを基本に、感情を管理する方法を学ぶものだからです」

つまり、無意識のうちに子ども時代から少しずつスタイルが形成され、成長後の人間関係や恋愛関係に影響を与えているのだそう。

「不安型」愛着スタイルの定義

愛着スタイルにおいて「不安型」とは、その名の通り人間関係に対して心配や不安を強く感じる傾向のこと。「この愛着スタイルの人は、自尊心が低いという共通点があります」とホリーさん。

「不安型の人は、自分のことを『人に対して要求が多すぎる』『依存しすぎ』と思うかもしれません。相手との親密な関係を求めているものの、いくら近づいても『親密になった』と感じられないのです」

愛情をいつも確認できている、つまり“承認状態”でないと不安になるのもこのタイプの特徴。

「パートナーの外出中や、自分ひとりで過ごしているときに強い不安を感じてしまいます。安心感を与えてくれる人間関係を探しつづけ、またパートナーがすぐそばにいないと常に不安に陥ってしまうのです」
mature woman contemplating while sitting against wall at home
Maskot//Getty Images

「不安型」愛着スタイルの原因

不安型の愛着スタイルは「子どものころに、親やケアラーとの間に安定した絆を築けなかったことに起因する場合が多いです」とホリーさん。

「たとえば、親と一緒に過ごせた時期もあるものの、長い間にわたって別々に暮らしていた環境で育った人も少なくないでしょう。子どもが必要とする“親からの注目”を継続的に受けるのが難しい状況で育った人の場合、『見放されてしまったかもしれない』という不安や恐怖を抱きながら育ちます」
「その結果、『この状況を招いているのは自分のせい』『自分が良い子じゃないのが悪いのかも』と考えるようになり、この思考が大人になった後の人間関係にも反映してしまうのです」

このタイプの場合、大人になってもなお、親からの愛情を確認(承認欲求)してしまいがちなのだとか。「親が望む仕事についたり、親の価値観に基づいた幸せを自分が実現することで、親を喜ばせようとがんばってしまいます」とホリーさんは分析。

high angle view of mother holding sad daughter while sitting at home
Maskot//Getty Images

「不安型」に合うパートナーはどんな人?

自分自身の愛着スタイルを理解することで、不安型の自分に合うパートナーの愛着スタイルがどのタイプかを冷静に考えることができ、また相手が「不安型」「回避・拒絶型」「安定型」いずれの場合であっても、心の準備をすることが可能になるそう。

「不安型」+「不安型」のカップル

「不安型の愛着スタイルの人は、同じ不安型の人に引き寄せる傾向があります」とホリーさん。

「この組み合わせの場合、二人の関係はとても親密になるものの、不健康な依存関係にまで発展してしまう可能性もあるので注意が必要です」

「不安型」+「安定型」のカップル

「不安型と安定型の組み合わせはとてもうまくいくでしょう 」とホリーさん。しかしこの関係は、不安型の人に、より満足感を与えることが多いよう。

「安定型のパートナーは、不安型の人が必要とする安心・安全な関係をもたらしてくれます。しかし、不安型の人の要求は少しずつ高くなっていくため、長期でこの関係性を維持するのは難しくなるでしょう」

「不安型」+「回避/拒絶型」のカップル

不安型と回避・拒絶型のカップルがうまくいくのは「とてもハードルが高いこと」だとホリーさんは指摘。さらには、関係を続けることで状況を悪化させること可能性も…。

「不安型の人は常に相手により近づこうとし、回避・拒絶型の人は常に逃げようとしてしまうのです。不安型の人が相手に近づきたいと思えば思うほど回避・拒絶型の人は遠ざかっていきます。お互いの行動が相手の行動への引き金になってしまい、妥協点を見出すのはとても難しいのです」
high angle view of woman kissing friend during social gathering
Maskot//Getty Images

「不安型」愛着スタイルとの共存方法

不安型の愛着スタイルの人が、より安心感を持ち、不安や回避・拒絶傾向の少ない自分になるためにはどうしたらいいのでしょうか。

ホリーさんは「安定型以外の人は、自分では満たせない感情的な欲求をパートナーに満たしてもらいたいと思う傾向にあります」と説明。こうした「パートナーに依存的かつ承認欲求の強い行動」をとらないためには、自分自身で必要なことを満たす努力をすることが大切に。

たとえば「不安型の人が、常にパートナーに安心感を求めてしまう場合、自尊心を高めることが解決を導く鍵となるでしょう」とホリーさんは指摘。

「四六時中パートナーと一緒にいたいと思う人ほど、自分ひとりでも楽しく、安心して過ごせる方法を見出すことをおすすめします」
「まずは、自分のネガティブな思考パターンを分析することから始めてみてください。ネガティブに陥りそうだと察知したら、そこで一度立ち止まりましょう。そして『ポジティブな思考に方向転換する』というプロセスに従ってみてください。少しずつ行動パターンが変化していきますよ」

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN UK