8月11日(現地時間)、「モトリー・クルー」のドラマーであるトミー・リーが自宅バスルームの床に全裸で座り、男性器が見えている無加工の写真をInstagramへ投稿。Instagramのポリシーでは「ヌードが禁止」されているにも関わらず、数時間ほど削除されないままでした。

本記事では、ライターとして活動するジェニファー・セイヴィンさんが、同投稿への対応から感じた、Instagramが掲げるポリシーの矛盾点をお届けします。

語り:ジェニファー・セイヴィンさん

無加工の全裸写真が投稿され…

朝8時にスマホを開いたときに目に入ってきたのは、無加工のトミー・リーの全裸の姿でした。友達からたくさんのビックリマークと共に送られてきたこの投稿は、トミーが何も身に着けずに正面を向いているもので、5時間経ってもこのヌード写真はまだInstagram上に存在していたのです。(※現在は削除済

私は表現の自由を全面的に支持していますが、この写真を見た時の気持ちは「ショック」でした。なぜなら、特にプラスサイズの女性や有色人種の女性たちのヌード写真はすぐにInstagramから削除されるということを、何人もの女性たちから聞いていたからです。

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Emma McIntyre//Getty Images
▲トミー・リー

過去に話題になったのは、プラスサイズモデルのネオミ・ニコラス=ウィリアムズの例。写真家が撮影したトップレスの写真を彼女が投稿したところ、Instagram側はすぐさま削除(※現在は掲載されています)。

しかし、同じようなポーズの白人女性の写真は削除されなかったことから、「#IWantToSeeNyome(ネオミを見たい)」というハッシュタグが盛り上がるなど、多くの批判の声が上がりました。

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授乳写真さえも規制対象だった過去

ポルノとは程遠い作品だとしても、「コミュニティガイドラインに違反」という理由から写真を削除されたという声はよく聞きます。芸術性があるものや、ドレスやトップスから乳首が透けて見えているだけでも規制されてしまうことが多々あります。

有名どころで言えば、リアーナが2014年に雑誌の表紙にもなったトップレスの写真を投稿したところ、この投稿もガイドライン違反で削除されました。また、授乳姿を映した写真も、Instagramでは2020年12月までは規制対象だったのです。

つまり、多くの写真が認められていないのにも関わらず、ミュージシャンの男性器はなぜか数時間も残されていた――その理由は性別と人種だと私は思います。

Instagramのコミュニティガイドラインでは、女性の乳首の項目に関してだけは、はっきりとその線引きが記載されています。現在では、「授乳、出産時や出産後、医療関連の状況(乳房切除手術後、乳がんの認知喚起、性別適合手術など)、または抗議活動に関する写真」は、許可されているようです。

コメント欄の反応にも差が

さらにトミーの投稿に対するコメントも、女性のヌード写真へのコメントとは大きな差があることに気づきました。

この投稿には削除されるまでに何千件ものコメントと5万件以上のいいねがついていました。そしてそのほとんどが批判ではなく、「家に帰ったらこの写真の真似をするよ!」、「投稿するアプリを間違えてるよ?」といった冗談をはじめ、賞賛などポジティブなものばかり。

もし女性アーティストが女性器を見せているものだったとしたら、こんな反応にはならなかったでしょう。

コートニー・カーダシアンがセミヌードの写真を投稿したときには、「母親なのに」などスラットシェイミング(性のステレオタイプや社会通念に基づき期待される行動や外見から逸脱しているとして、非難したり、制裁をしたりする行為)が殺到。ブリトニー・スピアーズも、何度もセミヌード写真を批判されています。ちなみに、トミーも2人の子どもを持つ父親です。

私がTwitterで「Instagramに写真を削除されたことはあるか」と尋ねたところ、経験があったのは全員女性でした。そのうちの一人は、トップレスの女性を被写体にしたモノクロ写真をInstagramのストーリーで投稿したら、すぐさま「コミュニティのガイドライン違反」とされたと言います。他にもInstagram上の授乳や出産、下着の写真は度々削除されているという人もいました。

Instagramは、女性をエンパワーメントするコミュニティでもあると自称しています。もし本当にそうなのであれば、ガイドラインを全ての性別に対して平等に適応させるべきなのではないか――私はそう感じます。

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Haruka Thiel
COSMOPOLITAN UK