2019年2月24日(現地時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された「第91回アカデミー賞」授賞式。開催前から、放送時間の短縮による発表の放送カットや、ケヴィン・ハートが過去のツイートにより司会者を辞退するなどトラブルも多く、30年ぶりに“司会者ナシ”での開催となった。ただ、その分ジェニファー・ロペスやセリーナ・ウィリアムズ、メリッサ・マッカーシー、ブリー・ラーソンなどの豪華プレゼンターが登場し、クイーンやレディー・ガガ、ジェニファー・ハドソンによるパフォーマンスなど、多くの出演者たちによって司会なき授賞式を盛り上げた。今回、日本からのノミネートとなった是枝裕和監督の『万引き家族』(外国語映画賞)、細田守監督の『未来のミライ』(長編アニメーション部門)は惜しくも授賞を逃した。
では、早速発表となった主要6部門の結果を振り返り! ノミネート最多となったのは『女王陛下お気に入り』10部門と『ROMA』9部門10ノミネート。続いて8部門ノミネートが『アリー/スター誕生』と『バイス』…その授賞の行方は!?
※記事中の★が授賞作品、受賞者
>>「第91回アカデミー賞」授賞式 2月25日(月)夜9:00~ ※字幕版を WOWOWプライムで放映
オープニングは、クイーン!
司会なしとなった本授賞式のオープニングを飾ったのは、クイーンの名曲! ブライアン・メイの圧倒的なギターと、アダム・ランバートの伸びやかな声で「We Will Rock You」と「We Are The Champions」 を披露し、一気に会場のボルテージを上げた。
レディー・ガガ&ブラッドリー・クーパーが熱唱
映画『アリー/スター誕生』で歌曲賞にノミネートされた「Shallow」をピアノの弾き語りで歌い上げたガガとブラッドリー。劇中のワンシーンのような2人のケミストリーに、会場もうっとり♡
また見事に歌曲賞を受賞すると、ガガはその思いをスピーチに込めた。
「(ブラッドリーに)あなたとしかこの歌は歌えないわ。この番組を見てる人には、これは努力の成果だと伝えたい。勝つことがすべててではなくって、諦めないことが大事。前に進み続ける勇気が大事なんです」
作品賞
★『グリーンブック』
『ブラックパンサー』
『ブラック・クランズマン』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『女王陛下のお気に入り』
『ROMA/ローマ』
『アリー/スター誕生』
『バイス』
助演男優賞、脚本賞と併せて3冠となったのが『グリーンブック』。1962年、天才黒人ピアニストが、イタリア系用心棒を雇い黒人専用ガイドブック「グリーンブック」を頼りに、あえて差別の色濃い南部へコンサート・ツアーへ繰り出すというストーリー。「まさに愛情の物語です。お互いが違っても、愛し合うことです」と人種の垣根を越えた愛について描いた映画であることを伝えた。
主演女優賞
★オリヴィア・コールマン 『女王陛下のお気に入り』
ヤリッツァ・アパリシオ 『ROMA/ローマ』
グレン・クローズ 『天才作家の妻 -40年目の真実-』
レディー・ガガ 『アリー/スター誕生』
メリッサ・マッカーシー 『ある女流作家の罪と罰』
ゴールデングローブ賞に続き、初ノミネートでの授賞となったオリヴィア・コールマン。「本当にストレスフルよ。おかしな話ね、オスカー像を持ってるなんて」と自身の授賞に驚きが隠せない様子。助演女優賞にノミネートされたエマ・ストーンとレイチェル・ワイズについて「2人とは恋に落ちたように働いた」とその魅力を伝え、家族については「子どもたち、家で見てると思うけど、取ったわよ。でも、見てないならいいわ。でもこんなことは二度と起きないと思うから見てたらいいけど」とスピーチ。また「私は昔清掃員だったの…(と話そうとすると)あ、巻いてと言われたわ」と笑いたっぷりの喜びのスピーチとなった。
主演男優賞
★ラミ・マレック 『ボヘミアン・ラプソディ』
クリスチャン・ベイル 『バイス』
ブラッドリー・クーパー 『アリー/スター誕生』
ウィレム・デフォー 『永遠の門 ゴッホの見た未来』
ヴィゴ・モーテンセン 『グリーンブック』
見事に主演男優賞に輝いたのはラミ・マレック。第一声は「信じられない」! 家族、キャストへの感謝はもちろん、フレディ・マーキュリーを演じたことについて「クイーンありがとう。伝説に関わることができて嬉しい。キャストのみんな、大好きです。みなさんなくしてここに立つことはできなかった」。また、自身が移民の子孫であることに触れ「生きることに苦戦をしている人たちへ…(僕が演じたのは)ゲイで移民で、人生を自分らしく生きた人の話です。今の時代に、このストーリーが求められていると感じました。僕はエジプトからの移民です。だから自分のストーリーとしても描かれています。僕を信じてくれたすべての人へ、本当に光栄に思います」。そして共演し、現在のパートナーでもあるルーシー・ボイントンについても「君は映画の中心です。僕の心を奪いました」とその愛もしっかりと伝えた。
助演女優賞
★レジーナ・キング 『ビール・ストリートの恋人たち』
エイミー・アダムス 『バイス』
マリーナ・デ・タビラ 『ROMA/ローマ』
エマ・ストーン 『女王陛下のお気に入り』
レイチェル・ワイズ 『女王陛下のお気に入り』
『ビール・ストリートの恋人たち』で主人公を愛情たっぷりに育てる母を演じ、初ノミネートで初受賞を果たしたレジーナ。また名だたる名女優たちと名を連ねたことにについて「みなさんと一緒に名前が発表されて幸せだった」と涙しながら伝えた。
助演男優賞
★マハーシャラ・アリ 『グリーンブック』
アダム・ドライバー 『ブラック・クランズマン』
サム・エリオット 『アリー/スター誕生』
リチャード・E・グラント 『ある女流作家の罪と罰』
サム・ロックウェル 『バイス』
2017年の『ムーンライト』に続き、2度目の授賞となったマハーシャラ・アリ。『グリーンブック』では、実在した天才黒人ピアニストのドクター・シャーリーを演じた。「シャーリーのエッセンスや特徴を捕らえて、取り入れようとしました。それが彼の生きた証だと思うんです。そしてパートナーの(主演男優賞にノミネートされた)ヴィゴ、ありがとう」と共演したヴィゴ・モーテンセンへ、また2度目という快挙を成し遂げ「うまく行かなくても、ポジティブに行動をし続けることを教えてくれた祖母に感謝しています」と祖母へのメッセージを届けた。
監督賞
★アルフォンソ・キュアロン 『ROMA/ローマ』
スパイク・リー 『ブラック・クランズマン』
パヴェウ・パヴリコフスキ 『COLD WAR あの歌、2つの心』
ヨルゴス・ランティモス 『女王陛下のお気に入り』
アダム・マッケイ 『バイス』
『ゼロ・グラビティ』(2013)に続き、2度目の監督賞を受賞したアルフォンソ・キュアロン監督。『ROMA/ローマ』は、本授賞式でも脚本賞、外国語映画賞と3冠となった。作品について「表には出ない存在として、メキシコでは、約7000万人の女性たちが移民として働いています。こういった存在に、目をそらしてはならない時代です」と込めた思いを伝えた。