ヘンリー王子とメーガン妃がイギリスを離れること、そしてアメリカに移住することを決断した2020年、多くの人が“貴族”の存在を象徴するロイヤルファミリーのメンバーが、「重国籍者になることは認められるのだろうか? 」と疑問に思っていたはず。

各国は、他国の“統治者”である君主の家族による国籍取得の申請を、受け付けるのだろうか――?

この問題にいま再び関心が高まっているのは、テレビ番組『グッドモーニング・アメリカ』に出演したヘンリー王子が、「アメリカ国籍を取得するという考えが、頭をよぎったことがある」と発言したため。

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Prince Harry talks seeing King Charles amid cancer battle: ‘I love my family’
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そこで、仮に王子が実際にアメリカの「市民」になることを決意した場合、起こり得ることや関連するいくつかのことについて、調べてみた。以下、その結果をお届けする。

他国の「国民」になれる?

アメリカの法律事務所ノリス・マクローリンによると、王子がアメリカの市民になる(国籍を取得する)ことは可能。ただその場合には、アメリカの移民・国籍法に基づき、王子が保有している「称号や爵位」をすべて放棄する必要があるという。

王子が両国の国籍を持つことは可能であるものの、仮にそれを選択すれば、「サセックス公爵」の称号は失うことになる。アメリカの市民になれば、王子は各国で納税を求められることになる可能性が高いと指摘されている。

イギリスには、ヘンリー王子が他国の市民になることを妨げる法律はない。アメリカ国籍を取得しない場合には、王子は「永住権の取得者」として、イギリスで保有する称号を維持したまま、アメリカに滞在し続けることができる。

王家に嫁いだ人の場合は?

では、ヘンリー王子の妻としてイギリスのロイヤルメンバーの一員になった、アメリカ国籍のメーガン妃(サセックス公爵夫人)の場合はどうなのだろう。ロイヤルとの結婚により、イギリスの市民権が与えられていたのだろうか?

その答えは「ノー」。メーガン妃は2022年、ホストを務めていたポッドキャスト番組『アーキタイプス(Archetypes)』で、「国籍取得テストは本当に難しい」と話している。夫のヘンリー王子やほかの人たちにも、そのテストの複数の設問の答えについて、「これ、知っていた? 」と聞いてみたが、答えは「いま初めて知った」だったという。

そのテストには無事合格したメーガン妃だが、実はイギリス国民にはなっていない。それは、国籍の取得に必要とされるだけの期間(3年間)、イギリスに居住していなかったことが理由。

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WPA Pool//Getty Images

このことが証明するのは、メーガン妃はアメリカ国籍を持ったまま、イギリス国籍を取得することが可能だったということ。さらに、仮にヘンリー王子がアメリカ市民になることを決意した(称号や爵位を失った)場合でも、メーガン妃は、授けられた称号をそのまま保持し得るということ。

それは、アメリカの法律は、国民が他国から称号を授与されること(そして、それを保持すること)を禁じていないため。とはいえ、もし王子が公爵位を放棄せざるを得なくなれば、メーガン妃の爵位も同時に放棄することになる可能性が高いとみられている。

「重国籍者」として誕生したロイヤルは?

ではヘンリー王子とメーガン妃の子どもたちの国籍と市民権についてはどうだろう? 誕生時に、両親がそれぞれの出身国の国籍を有していた長男のアーチー王子と長女のリリベット王女は、どちらもアメリカとイギリス両国の国籍を得ている(つまり、二重国籍)。

ただ、これらは今後変更される可能性がある。米国憲法センターによると、その他の国のロイヤルたちは、その立場との利益相反を避けるため、アメリカ以外の国籍を選択している。

例えば、モナコ公国のアルベール2世大公(母のグレース公妃がアメリカ出身の元女優)は成人したときに、ヨルダンのヌール王妃(アメリカ出身、故国王フセイン1世の妻)は結婚したときに、アメリカ国籍を放棄している。

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Gonzalo Marroquin//Getty Images
1978年に結婚し、アメリカ国籍を放棄したヨルダンのヌール王妃

また、将来アーチー王子やリリベット王女にアメリカ国内で子どもが誕生した場合、その子たちはアメリカ国籍となる。イギリス国籍を持ちたいと希望する場合には、取得を申請する必要がある。

イギリス政府のウェブサイトには、「イギリス国籍を保有する者の子として国外で誕生した者(1世代目)には、自動的にイギリスの市民権が付与される」と説明されている。

ロイヤルも「パスポート保有者」?

イギリス王室のウェブサイトに記されているとおり、君主を除くすべてのロイヤルメンバーには、パスポートの保有が求められている。故エリザベス女王の在位中に公開されたページには、次のように記されている。

「イギリスのパスポートは、女王陛下の名のもとに発行されるものです。女王には、パスポートを所持する必要はありません」
「(女王の夫)エディンバラ公フィリップ殿下やプリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)を含むその他のロイヤルメンバーは、全員がパスポートを保有しています」

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
From Harper's BAZAAR.com

From: Harper's BAZAAR JP