昨年5月、アメリカの複数の州で成立した、人工妊娠中絶を禁止する法案。これにより、レイプや近親相姦による妊娠であっても、ほぼ全面的に中絶が禁止されることに。全米で大きな波紋を呼んだ同法案には、各地でデモが行われたり、多くのセレブや企業が抗議のコメントを発表。
そこで今回は、中絶禁止法に抗議するため自身の過去をオープンにした女優など、「中絶」の経験を明かしたセレブ11名のエピソードをご紹介します。
ミラ・ジョヴォヴィッチ
映画『バイオハザード』シリーズで知られる女優のミラ・ジョボヴィッチは、ジョージア州で中絶禁止法が可決されたことを受け、Instagramを更新。2017年に経験した中絶手術について語りました。
「妊娠4カ月半で東ヨーロッパで撮影をしていたとき、中絶が必要だと診断されました。手術中はずっと意識を保っていなければならず、今までで最も恐ろしい経験の一つでした。今でも悪夢を見ます。一人で無力さを感じ、どうしようもなかった」
「新しい法律のせいで、私よりもさらに悪い状況で中絶を選択しなければいけない女性がいるかもしれないと思うと、胸が痛いです」
「この経験についてあまり話したくなかった」というミラですが、「女性を守る権利が危機に瀕している今、意見を発さずにはいられません」とコメントしました。
ニッキー・ミナージュ
2014年の<Rolling Stone>のインタビューで、10代の頃に経験した中絶について明かした歌手のニッキー・ミナージュ。
子どもの父親は、マンハッタンの名門高校に通う年上の高校生で、ニッキーの初恋の相手だったそう。ニッキーは当時の気持ちを「妊娠が発覚したときは、死ぬかと思った。それまでに体験した中で一番辛かった」と振り返りました。
「中絶を拒んだかというと嘘になる。でも心の準備はできていなかった。だって子どもに与えられるものが、何一つなかったから」と、中絶を選択したことを認めながらも、「今もで心を痛めている」と話しました。
ローラ・プレポン
Netflixのオリジナルドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』で知られるローラ・プレポンは、健康上の理由から中絶を選択したと<People>に明かしました。
2017年に長女エラを出産し、翌年には第二子を授かったものの、あるときエコー検査で異常が発覚したそう。
「あのときは、胎児の脳も骨も成長していませんでした。医師からは、このまま胎児を育てることはできないこと、私の体にもリスクがあることを告げられ、私たちは中絶を選択しなければなりませんでした」
「私は自分の体に問題があって、妊娠を失敗したという自己嫌悪に陥っていました。医師には関係ないと言われたけれど、過去の過食症も原因の一つになんじゃないかと、自分を責めずにはいられなかった」
その後、友人や夫のサポートを得て、心身ともに回復できたというローラ。その後再び妊娠し、今年男児を出産。「健康な子どもを授かることが、何よりも幸せなことだと実感しました」と語りました。
リル・キム
ラッパーのリル・キムは、2000年の<The Washington Post>のインタビューで、中絶の体験について明かしました。
「歌詞に書いているのは、ほとんどが実体験。例えば『Hold On』では、妊娠して中絶することの痛みについて書いているの」
“まるで出産の痛みのよう(=Oh, how it hurts, like childbirth)”という歌い出しで始まるこの曲には、「もし私が授かった子どもを産んでいたら、どうなっていただろうかと時々考える」「だから女性の皆さん、自分だけだと苦しまないで」「私の肩にもたれかかってもいいんだよ。信じて、あなたがどんな経験をしているかよく知っているから」というフレーズが含まれています。
テス・ホリデー
プラスサイズモデルとして活躍するテス・ホリデーは、2019年5月、アメリカ各州での中絶禁止法の可決に対して、Instagramを更新。
「私はミシシッピ出身で、カリフォルニア在住。結婚して2人の子どもがいる。そして中絶を経験した」と、自身の体験をシェアしました。
産後うつに陥っていたというテスは、再び妊娠が発覚したとき、自殺願望を抱いてしまったこともあったそう。「最終的に、自分自身と家族にとって最善の決断をしました。耐え難いものでしたが、必要なことでした。だからこの決断を後悔したり、疑問を持ってはいません」。
ミンカ・ケリー
映画『(500)日のサマー』などで知られる女優のミンカ・ケリーも、アラバマ州での法案成立に対し、Instagramに自身の中絶経験をシェアしました。
「私は若い頃に中絶をしました。当時の自分とボーイフレンド、そして胎児にとって、最も賢い決断だったと考えています」
「家族からの援助なく、若くて未熟な二人から産まれた赤ちゃんは、本来経験しなくてもいいような苦労をすることになるでしょう。当時もし産んでいたら、私自身が経験してきた貧困のスパイラルに、また足を踏み入れることになっていたと思います」
ナヤ・リヴェラ
『glee/グリー』に出演していた女優のナヤ・リヴェラは、回顧録『Sorry Not Sorry: Dreams, Mistakes, and Growing Up』のなかで、2010年後半に中絶したことを明かしています。
元夫で俳優のライアン・ドーシーと、結婚前もオンオフを繰り返していたナヤ。妊娠が発覚したのは破局していた時期で、自身のキャリアを第一に考え、ある日の『glee/グリー』の撮影が終わった後に中絶手術を受けていたそう。
「打ち明けるのは怖かった。多くの人は話題にしないことだけど、話すべきだと思うの。私の行動を理解できない人がいるのも分かってる。でも私がこうやって打ち明けることで、何かを得られる人がいることを願っています」
エイプリル・ラブ・ギアリー
歌手ロビン・シックの婚約者である、モデルのエイプリル・ラブ・ギアリーも、中絶禁止法の成立に際して自身の経験を明かしたひとり。
「『どうやって中絶をサポートしますか』といった内容のDMをたくさん受け取っています。この写真に映るのは、2014年に中絶をして、2017年に流産をして、そして2018年と2019年に赤ちゃんを出産した私の体です」。そうコメントして、自身のお腹が写った写真とともにポスト。
「どんな罪にも問われることなく、自分の体に対して決定を下すことができたことを、うれしく思っています」と発言しました。
チェルシー・ハンドラー
コメディアンや司会として活躍するチェルシー・ハンドラーは、<Playboy>に寄せたエッセイで、10代の頃に2回中絶をした経験を語っています。
「かなり荒れていた時期でした。両親を憎んで、ボーイフレンドと無防備なセックスをして…。妊娠が発覚したときには、『双子を産んで、韻を踏んだ名前をつけよう!』くらいに考えていました。もちろん、そんなの馬鹿げている。両親は私を、中絶のための施設に連れて行ってくれました。手術が終わったとき、私は本当に安心したのを覚えています」。
何度も望まない妊娠することは無責任だと前置きしながら、「誰でも失敗はするもの。私は16歳のときにたまたま2回失敗しました。そのとき、健康を害したり、自分や家族を破産させたりすることなく、合法的に中絶できたことに感謝しています」とコメント。
ウーピー・ゴールドバーグ
映画『天使にラブ・ソングを…』などで知られる女優のウーピー・ゴールドバーグ。『私たちの選択:25人の男女が中絶について語る(原題:The Choices We Made: Twenty-Five Women and Men Speak Out About Abortion)』という本の中で、10代の頃に経験した中絶について話しています。
「14歳のあるとき生理が来なくなりました。誰にも打ち明けられずパニックになった私は、熱いお風呂に入ったり、ウイスキーに漂白剤を混ぜたものを飲んだり、周りに聞いた妊娠を終わらせるための様々な方法を試しました。結果、激しく体調を崩すことになりました。そんなおかしなことをするよりも、間違いを犯したことを誰かに説明しなければならないことの方が、怖かったんです」
翌年、15歳で再び妊娠したそうですが、その際にはニューヨーク州で中絶が合法化されたおかげで、より安全に妊娠を終わらせることができたとも語っています。
2019年5月には、トーク番組『The View』で当時を振り返り、「昔はお風呂場や廃墟のようなところで中絶していたの。強力な洗剤をお茶やコーヒーに混ぜて飲んだり、階段からわざと転んで落ちたり…。そんなことをしなくて済むように、人工妊娠中絶が合法化されたの」と、中絶禁止法に抗議しました。
ジョーン・コリンズ
1980年代に大ヒットしたメロドラマ『ダイナスティ』に出演していたイギリスの大女優、ジョーン・コリンズ。2010年のインタビューで過去の中絶経験について触れ、そのことを後悔していないと語りました。
20代中ごろ、婚約者である映画監督のウォーレン・ベイティとの間に妊娠が発覚。「当時は子どもを持つなんて想像もできなかったんです。もし産んでいたら、私のキャリアはきっと終わっていたでしょう」。
「彼も私も、お金を持っていなかった。子どもを産むなら、責任を持たなければならないと思う」と話しました。