大事な場面で緊張や一時的な不安を感じることは、誰にでも起こりえること。一方で、強い不安によって心身に様々な変化が起きて日常生活に影響が出ている場合には「不安障害」の可能性も。

不安障害にも様々なタイプがあり、パニック障害社会不安障害、不安感から同じことを繰り返す強迫性障害、全般性不安障害などが含まれ、人によって症状や引き金となる事象も異なります。

治療や回復には、心療内科など医師または資格を有する医療従事者の助言を仰ぐことが重要ですが、恋人やパートナーが不安障害を持っている場合に、どのように支えるべきか悩んでいる人もいるかもしれません。

そこで本記事では、「不安障害を持つ恋人やパートナーをサポートする方法とその注意点」について専門家が説明します。

監修


不安という要素が与えうる影響

恋人やパートナーが不安障害を持っているからといって、健全な恋愛関係が築けないというわけではありません。一方で、“不安”という要素が二人の関係に及ぼすかもしれない影響については理解しておく必要があるでしょう。

「パートナーはあなたを心の拠り所にしていたり、安心感を求めている可能性があります。また、不安を感じる理由は人によって異なりますが、働きすぎだったり完璧主義であることから、必要以上に考えすぎたり、あらゆる問題を過剰に管理しようとしたり、あるいは回避したりしようとすることもありえます」(ジェンキンスさん)

また、不安感が社会活動や人づきあいに影響することも。

「不安を感じていると、集まりの場の雰囲気を楽しめなかったり、新しいことにチャレンジする意欲が起きなかったりすることがあります。社交的な場で不安を感じた場合、パートナーはあなたのそばから離れなかったり、人の輪の中に長時間いることを避けようとするかもしれません」(ジェンキンスさん)
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Kristina Bilous

健全な関係を築くためのアドバイス

恋人やパートナーの回復をサポートするには、何よりもまず、メンタルヘルスの専門家のサポートを受けるように勧めること。

「相手の話には耳を傾け、一方であなたが何かの判断や問題解決をしようとしないことも重要です。相手が自分の力で心を落ち着かせられるように励ますことです」と、ジェンキンスさんは説明。

また、自分自身の限界と余力を意識することも大切。

「パートナーを支えようとして、相手の不安にあなたの生活を支配させてはいけません。自分の感情の幅を把握し、パートナーを支えるにはどうするのが現実的かを考えるのが重要です。自分には休憩する時間も必要だと相手に自然に伝えられるようになるのも大切です」(ジェンキンスさん)

恋人やパートナーにとって、あなたが“唯一の癒し”となってしまう関係は、お互いにとって健全ではありません。

「不安を感じたときは、パートナーに話を聞いてもらいたい、慰めてもらいたいと思うものです。ですが、それを毎日、あるいは日や週に何度も期待するのは健全ではありません」

あなたがどれだけ恋人やパートナーを愛していても、医師や資格を有する医療従事者でない限りは適切な治療を行うことは不可能です。だからこそ専門家のサポートを得て、場合によっては薬や他の治療を検討するよう助言しましょう。

「不安はとても自然でよくある反応なので、必ずしも二人の関係の障害になるとは限りません。ただしその影響と向き合うには、サポートや専門家の支援も必要なのです」(ジェンキンスさん)

不安を抱えた恋人やパートナーにとって、コミュニケーションはとても重要な要素です。

「二人の関係性に誤解が生じていると感じたら、お互いに確認することが大切です。また、相手がその関係性に、何か特有の不安を感じるときもあるでしょう。その気持ちを気軽にあなたに伝えられるよう、事前にしっかりしたコミュニケーション手段を持っておきましょう」(アサール博士)

大切なのは、不安によって二人の関係が悪循環に陥らないこと。オープンなコミュニケーション手段は、お互いにとってのメリットになることを忘れずに。

不安障害を抱える恋人やパートナーをサポートする方法

繰り返しになりますが、話を聞くときには「物事を解決しようとせずに、ただ耳を傾ける」ことが重要です。

「解決しようという意気込みはあなたのストレスになるだけで、たいていの問題は解決しません。まずは、あなたの愛情を確実に相手に伝えられる方法を知っておきましょう。そうすれば、不安を感じる相手をなだめてサポートする際、より相手に寄り添った自然な態度で接しやすくなります」(ジェンキンスさん)

もし相手が“奉仕されること”によって愛を感じるタイプなら、いつもの分担以上に家事を行ったりすることで愛情や労りの気持ちが伝わるかもしれません。“肯定的な言葉”を必要としている相手には、心からの褒め言葉をかけてあげると良いでしょう。

また、相手の様子を気にかけていることを示すことも重要です。

「何か変わったことはないか、室温が快適かをなどを聞くだけでも構いません。こうした当たり障りのない問いかけは、気遣いの気持ちを示せるからです。そこから相手は労わられている、受け入れられていると感じ、関係性における安全感、親密感がより強まるのです」

相手の話を聞くときは辛抱づよく、やさしく話しかけるようにしましょう。ジェンキンスさんによれば「不安を抱えていると思いつめやすくなり、批判や厳しい意見に敏感になりがち」とのこと。

「やさしい口調を保ちながらも、意図を明確に伝えましょう。伝える言葉は、愛情から紡がれるものであることも大切です」

もしも相手の様子やその場の空気が許すなら、適切と思うタイミングで冗談を言ったり、場を明るくしようと試みることも一つの手。

「不安を抱えている人にとっては、ときに笑ったり、ものごとを楽観的に捉えることも必要なのです。“適切な”ジョークや軽い笑いは、ときに悩みを解消してくれます」

健全な境界線を保つことは、長期的に見れば二人のためになることを忘れずに。

「相手の不安に対処しようとあなたが唯一の支えとなるのは、長期的に見て最善とは言えません。これは共依存の関係につながるためです。そうではなく、恋人やパートナーが適切な回復の道をたどれるようにすることで支えることができるんです」(ジェンキンスさん)

忘れずにいてほしいのは、「不安はごく自然な反応」であるということ。先入観や偏見を持たずにサポートができるよう、意識して初めの一歩を踏み出してみて。その一歩は、パートナーを支えるだけでなく、二人の関係を健全に保つためのカギともなるはずです。

相談窓口

心が苦しくなったり限界だと感じたとき、その気持ちやSOSに耳を傾け、受け止める場所があります。電話で話しづらい場合には、LINEや匿名のチャットで相談できるサービスも。自分が安心できるもの、心身の状態に合ったものを選んで相談してみてください。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: Mari Watanabe(Office Miyazaki Inc.)
COSMOPOLITAN US