10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバ・マックス。2018年4月に楽曲「My Way」でデビューし、20カ国で1位を獲得した「Sweet but Psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、コスモポリタンがインタビュー。夢をつかむまでの苦悩と、メンタルヘルスとの向き合い方、そしてこれからの目標とは――。

人々を惹きつける、「双対性」と「共感」

「最近、左右均等の長さのウィッグをつけてみたら、私らしくないと感じてしまったんです」

そう笑いながら、片側が肩にかかったボブ、反対側がロングヘアという“マックスカット”について話してくれたエイバ・マックス。

ロサンゼルスのスタジオ・シティにある自宅で行われたインタビューには、ベニスビーチの小さな店で購入したワンピースの上にブランディー・メルビルのTシャツを重ね、足元にはコンバースのスニーカーと合わせたコーディネートで登場。

「『スポーティだけどガーリー』、いつもこの2つのスタイルをミックスしているんです」と話すエイバの世界観の軸となるのは、“双対性”だという。

3年前に「Sweet but Psycho/スウィート・バット・サイコ」で爆発的な勢いで音楽シーンに登場したときから彼女を追ってきた人なら、このコンセプトをよく知っているはず。

髪型やファッションと同じように、メロディーや歌詞など音楽でも双対性を表現することで、唯一無二の存在となったエイバには欠かせないキーワードに。

10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、米『コスモポリタン』がインタビュー。
Jasper Soloff

このインタビューが行われたのは、『マルーン5』が回る北米ツアーの4つのショーでのオープニングアクト出演を目前にしていた頃。エイバは2年以上ツアーをしておらず、タイトルが未定であるセカンドアルバム制作のため今年始めからスタジオに篭っているそう。

発表はまだまだ先ということもあり、セカンドアルバムについて多くは語らなかったものの、2021年6月に発表されたシングル『EveryTime I Cry / エヴリタイム・アイ・クライ』が次作の序章になっているとのこと。

「次のチャプターはさらに弱い部分を露わにしているし、これ以上ないほどパーソナルな仕上がりになっているんです」

また、今回は恋愛についての曲も作っているのだとか。

「恋愛では、絶対に完璧な関係はないから、不安に思ったり戸惑ったりすることは当たり前。本当にその人を愛しているのであれば、努力が必要だと書きたかったんです」

これまで自身の恋愛についてはあまり語ってこなかったエイバ。「今は難しい時期」と笑いながらも、自分の恋愛についてはこうコメント。

「私は恋愛が得意じゃない…そう言っておきましょうか。たくさん人を愛してきているけど、まだ成就してないという感じです」
「そのときの想いを楽曲制作に活かし、自然と湧き出たものを歌詞にしたら、当時の私そのものになりましたね。アルバムをこれほどパーソナルなものにする予定もなかったけれど、偶然みんなが共感してくれそうな内容だったんです」
10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、米『コスモポリタン』がインタビュー。
Jasper Soloff

いじめやセクハラ…順風満帆ではなかったこれまで

2016年にわずか22歳でレコード契約を結び、2020年には誰もが知る<Forbes>の「世界を変える30歳未満の30人」に選出されるなど、順風満帆に見える彼女も、実際は世界的な名声を得るまでは困難が続いたという。

ウィスコンシン州でオペラ歌手の母とピアニストの父のもとに生まれ、バージニア州で育った彼女。両親は東欧革命の後、1991年にアルバニアからアメリカに亡命したそう。

「両親は英語を話せなかった上にお金もなかった。そんな2人がそれぞれ3つもの仕事を掛け持ちしていたんです。未だにどうやってそんなことをやっていたのか…と思います。2人は私や兄のために、ものすごく多くのことを犠牲にしてくれたので、今は何でも頼ってほしいですね」
「ありきたりな言葉に聞こえるかもしれないけれど、私は絶対に諦めない。自分自身のためだけでなく、家族のためにも、絶対に成功しなければならないんです。家族は多くを諦めざるを得なかった。だから、私には途中で投げ出すことはできないし、“やめる”というのは選択肢にないんです。そういうメンタルだから、上手くいっているのかもしれませんね」

だからこそ、自宅からほど近いロサンゼルスのサンフェルナンド・バレーに両親の家を購入したときには感動したのだとか。

「よく『お金を稼げるようになって嬉しいでしょう』と言われるけれど、そんなふうには思わないんです。お金があればそれだけ人助けができる、と感じるから」
10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、米『コスモポリタン』がインタビュー。
Jasper Soloff

彼女は14歳で音楽業界で挑戦するため、家族とロサンゼルスに引っ越し、「エイバ」と名乗るように。

昨年リリースした「Who's Laughing Now / フーズ・ラッフィング・ナウ」は、ティーンエイジャーで音楽活動を始めた彼女が、当時経験した逆境への報復として書いた曲。

「当時は大勢のソングライターやプロデューサーに会いましたが、全く相手にしてもらえませんでしたね。私の目の前で笑い、『君は絶対に成功しない』と言われたこともありました。本当に辛かったし、成功するのか自分でもわからなかったけれど、唯一私が大好きだったことが音楽だったんです」

そして15歳でサウスカロライナ州へ移住し、それまでホームスクールで学んできた彼女が高校に入学。“普通”の人生を送ろうと思った矢先、さらなる苦痛を味わうことに。

「転校生だということでいじめに遭いました。あるとき、男の子に告白されて、彼の家に遊びに行ったんです。そしてキスされそうになった瞬間、窓の外を見ると同級生の大勢のチアリーダーが集まって、大笑いしていました。男の子にも、『君となんか付き合いたくないよ! 全部冗談だよ!』と言われて。でも、この出来事で私はさらに強くなったと思います。泣けば、それだけ強くなるんです」
「当時は人生が終わったかのように感じていましたね。母にも『ここにはもういたくない。ここは全然私のホームじゃない』と泣きついたり、一時期は学校に行かずに部屋に引きこもろうか、と考えたりもしました。すごく悲しい一年を過ごしたけれど、この経験があったからこそ、早いスピードで成長できた気がします」
10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、米『コスモポリタン』がインタビュー。
Jasper Soloff

2年後、ロサンゼルスに戻ったエイバは、音楽活動を再開。当時は業界に知り合いがいなかったため、ソングライターやプロデューサーとの人脈を作る方法から模索したのだとか。

苦労しながらもなんとか前進していくエイバに、そのとき立ちはだかったのは、業界の“影”。 「夢を叶えるため」だと理由を付けられ、インタビューで話すのも辛いというセクハラも経験したそう。

「秘密保持契約を結ぶよう言われたんですが、それにはサインをしませんでした。どんな職場であってもセクハラは存在するし、気を付けなくちゃいけない。今は素晴らしい人に囲まれているけれど、当時の私は無名で、私を守ってくれる人はいなかったんです」

エイバのターニングポイントとなったのはカナダ出身のレコードプロデューサー、Cirkut(サーカット)との出会い。リアーナやザ・ウィークエンドをはじめとする多くのアーティストをプロデュースしたことがある彼と知り合ったのは、2014年にシャトーマーモントというホテルでたまたま居合わせたのがきっかけ。

その後、スタジオで一緒に制作をするように。今では全ての曲でエグゼクティブプロデューサーを務めるほどで、大切な親友のひとりになったという。

葛藤しながら見つけた自分との向き合い方

エイバが必ず実現させたい目標は、自分のワールドツアー開催と、他のアーティストとのコラボ。そして、これからもエンパワーアンセムを作り続けるのが最大の夢。

「人を元気づけるのってすごく大切。落ち込んでいるときに、私の曲をラジオで聴いて元気になってほしい。それがやりがいなんです」

しかし常にファンをエンパワーしている彼女でも、コロナ禍の生活に慣れるまではパニック状態で、浮き沈みがあったとのこと。

「メンタルヘルスの不調にも悩みましたね。なぜなら、私が信じていた世界の形が完全に崩れてしまい、確信を持てないことが多くなったから。仕事や家を失った人も多く知っていますし、本当に悲惨な状態だと思います」

メンタルヘルスの不調は、パンデミックだけでなく、240万人のフォロワーがいるInstagramなどのSNSが原因になることも。

「起きた瞬間から気分が落ち着いていて、とても前向きに過ごせそうな日は、ノリノリでセルフィーを投稿することもあるし、自分をブサイクに感じたり、整形している女性たちと比較したりしてしまうときも、もちろんあります。みんな『他人と比べちゃダメ』というけれど、SNSの闇からどうしても抜けられないときもあるんです」
10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。

その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、米『コスモポリタン』がインタビュー。
Jasper Soloff

落ち込んだときは、日々感謝している5つのことを書き、大好きな音楽を聴くことで乗り越えるのだとか。

「不安でいっぱいになったときには、リアーナの『SOS』を聞くんです。あとは歩いて外の空気を吸ったり、水をたくさん飲んだり、2000年代初頭のコメディ映画を見たり。ドリュー・バリモアかベン・スティラーが出ている映画ならなんでも好き!」

エイバは、ポジティブなことに目を向けるためにも「ネガティブなものから逃げることもある」という。

弱い部分があるからこその考え方だと言うものの、これまで様々な困難を乗り越えた、勇敢さを持ち合わせている彼女ならではの答えなのかもしれない。

【info】

10月のカバーガールを務めたのは、歌手のエイバマックス。2018年4月に楽曲「my way」で歌手デビューし、20カ国で1位を獲得した「sweet but psycho」で大ブレイク。その後も中毒性のある歌詞とメロディで、日本をはじめ世界中のファンを魅了し続ける彼女を、コスモポリタンがインタビュー。
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2021年6月9日リリース
最新シングル「EveryTime I Cry / エヴリタイム・アイ・クライ」
ダウンロード/ストリーミングはこちら


Words - Martha Hayes. Photographs - Jasper Soloff. Fashion Editor - Kristen Ingersoll. Hair - Marty Harper at the Wall Group. Makeup - Kale Teter at the Wall Group. Global Deputy Editorial and Brand Director - Chloe O’Brien. Translation - Nozomi Mochizuki. Special Thanks to Cosmopolitan US.

On Ava:
DOLCE & GABBANA blue jacket, skirt, pumps. FLEUR DU MAL silk purple top.

DIESEL red jacket, pants and boots. MICHAEL KORS black body suit. PANDORA rings worn throughout.

ALICE + OLIVIA green jacket and slip dress. MICHAEL KORS boots.