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サステナ先進エリア、アメリカ西海岸の「いま」がわかる10のニュース

生ごみはコンポスト必須で、棺はマッシュルーム製!? LA在住ライターが、カリフォルニアの最新事情をレポート。

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カリフォルニア サステナビリティ 最新トピック フードテック レンタルファッション コンポスト
Momo Takahashi, anti fashion week, Instagram

美しいビーチに豊かな森…雄大な自然に囲まれたアメリカ・カリフォルニア州は、昔から環境保護への意識が高いエリア。ウェルネスを重視する市民も多いだけでなく先進的なテック企業も多数存在し、アメリカ国内のみならず、世界の持続可能な社会を目指す仕組み作りをリードしてきた。そこで今回は、LA在住11年のライターが現地のサステナ最新事情をお届け!

ストイックなまでの脱プラスチックへの施策や、肉や乳製品など動物由来の食品を植物由来に置き換えた豊富な代替食品、そしてサステナブルにファッションを楽しむアイデアなど、衣食住さまざまな側面からとらえた10のトピックをチェックして。

今回レポートしたのは…
Momo Takahashi
フェミニスト&エコロジスト。趣味はサーフィン。カリフォルニア在住歴11年。メンズ雑誌『Safari』の連載をはじめ、数々のビーチライフスタイル、ファッション誌でエディター&ライターとして活躍。また渡米後にプライベートシェフ(フレキシタリアン向け)の経験も積み、米フード雑誌などへレシピも提供予定。@momo_new_account59

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1. 全米初、スーパーのビニール袋が完全禁止に!?

カリフォルニア ビニール袋禁止
Momo Takahashi

2022年10月に法案「SB1046」がカリフォルニア州知事により受理されたことに伴い、同州では2025年1月以降、スーパーマーケットやドラッグストアでは、プロデュースバッグ(野菜などを入れる小さなビニール袋の総称)が使用禁止となる。これに伴い、紙袋とコンポスタブル(生分解性)なバッグのみが使用可能となる。

2016年に、会計後の商品を入れる薄いビニール袋の使用を禁止していたカリフォルニア州。現在はその代わりに有料の生分解可能な紙袋やリサイクル&リユース可能な厚手の手提げ付きビニール袋が使用されている。しかし、野菜やフルーツ、量り売りのナッツ類など、包装されていない状態で販売されている食品を入れるためのプロデュースバッグ(プレチェックアウトバッグとも呼ばれる)はいまだ使用されていた。これらは日本のスーパー同様、無料で使用できるように各コーナーに設置されていたが、今後禁止となる運び。

カリフォルニアではこれまで、大量のプロデュースバッグが堆肥廃棄物に混ざりこみ、やがて地域の土壌を汚染するマイクロプラスチック増加につながることが問題視されていた。同時に、それらを処理するコスト増加への懸念ものぼっており、同法案施行に至った背景として、「そもそもビニール袋の寿命は15分程度だが、自然に朽ちるまでにかかる時間は400年。しかも毎年100兆枚以上ものビニール袋が世界中で使用されている」ことも挙げられている。

プロデュースバッグまでをも完全に禁止することが決定したのは、全米でカリフォルニア州が初めて。これに続き、ハワイ、ニューヨーク、オレゴンなど複数の州が同様にプロデュースバッグ廃止を決めている。カリフォルニア州がアメリカのサステナビリティをリードしていることがよくわかる好例と言えそう!

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2. 生ごみの分別&処理の新ルールが厳格化!

カリフォルニア州 コンポスト
Momo Takahashi

今までは一般ごみとして捨てられていたフードスクラップ(生ごみ)が、法案「SB1383」の施行により2022年からは一般ごみと分別することになった。

これまで生ごみは一般ごみと一緒に埋め立て地に廃棄されていたものの、生ごみを埋め立て地に投棄した際にメタンガス(強力な温室効果ガス)が発生し、環境汚染や地球温暖化の要因になることが指摘されていた。この排出量を軽減するために、新ルールが誕生。2024年1月からは、違反が発覚すると最高500ドルの罰金を要求されることとなり、市民レベルでの意識も高まっている。

今後、生ごみは一般ごみとは別の“グリーンのごみ箱”へ捨てることが義務付けられる。ここにはフードだけでなく、カットされた庭の植木の枝、食品が付着した紙ナプキンなどが捨てられる(総称して「グリーンウェイスト」や「オーガニックウェイスト」などとも)。これらは市が管理している巨大なコンポストへ集められ、そこで作られた堆肥は地元農家らに提供される仕組みだ。

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カリフォルニア州 生ゴミ コンポスト
Momo Takahashi

かなり画期的とも言えるこの新ルール。しかし、そうは言っても家庭から毎日出る生ごみをトラックで回収して指定のコンポストに運ぶだけでもガソリン代や人件費がかさんでしまう。そのため、庭がある家庭ではなるべく自前のコンポストを設けたり、キッチンの片隅で使えるコンポスター(簡易性の小型コンポスト)を使用することが奨励されている。

LAでは家庭で一時的に生ごみを保管するための専用コンポスト容器(写真)を無料で提供している。ふたには消臭剤が入っており、グリーンの袋はトウモロコシ由来の生分解可能なタイプだ。

さらに、各エリアにも生ごみ回収用コンポストが設置されているほか、いくつかのファーマーズマーケットでも回収しているので、週1回のごみ回収日を待たずに済む場合も!

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3. 「サステナビリティ・サーティフィケイト」を取得する人が増加中!

サステナビリティ サーティフィケイト la
Momo Takahashi

カリフォルニア州では近年、サステナビリティに関連する予算を大幅に増やしている。それに伴い、ビジネスやライフスタイルの根本的な見直しが行われ、サステナビリティに関する知識を深める人も増加。その知識を証明するサーティフィケイトの取得ができる機関も増えている。

主に大学などの学校や企業、民間団体などが実施しており、「人間(Human)、社会(Social)、経済(Economy)、環境(Environment)」の4つの側面から学ぶのがベーシックなプログラム。ワイナリーやワインヤードに関するサステナビリティを専門的に学ぶものもある。

例えば、UCLA Extensionでは3つの必須科目と2つの選択授業を学び、テストに合格したらサーティフィケイトが取得できる。基本的に授業はオンラインで受講可能で、取得にかかる時間は最短で6カ月、一般的には1年ほど。対象はサステナビリティに興味を持ち総合的な知識を学びたい人(学生、社会人)から事業開発や都市計画などの専門職に就いている人まで幅広い。

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サステナビリティ サーティフィケイト
Momo Takahashi

キャリアアップやキャリアチェンジのために取得する人も多く、今回話を聞いたクリステン・ショナートさん(写真)もそのひとり。元高校教師で、コスメブランドのデジタルマーケティングとしても活躍していた彼女は、2022年12月にコミュニティーカレッジのサンタモニカ・カレッジ(コミュニティーカレッジは市民であれば無料!)で「サステナビリティ・システム&テクノロジー」のサーティフィケイトを取得。その後、サステナビリティを推進する企業「Sustainable Environmental Management Company」に就職し、行政の代わりに新しいシステムやルール、テクノロジーを企業や市民に教育するほか、リサーチやコンサルティングなども行っている。

人々の興味関心が高まっているのはもちろん、一般企業がサステナビリティ人材を必要としていることも、こうしたサーティフィケイト取得が盛り上がっている理由のひとつと言えそう!

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4. 活気づくサステナファッションイベント

アンチファッションウィーク la
anti fashion week

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが落ち着いてきた昨今、LAでは各所でイベントやフォーラムがめじろ押しに。アパレル業界では、サステナブルファッションにフォーカスするイベントが増えている。

2022年秋にLAで行われた「アンチ・ファッション・ウィーク」もそのひとつ。同イベントは、ファッション産業による環境破壊、目まぐるしく変わるトレンドが促す大量消費、短いサイクルで行う生産・販売などに警鐘を鳴らすことを目的に開催。会場ではLAを拠点とする17のサステナブルブランドによる展示会が行われたほか、ファッションショーも実施。ランウェイ後に参加ブランドの商品をその場で購入できる“シー・ナウ・バイ・ナウ“も盛り上がった。

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アンチファッションウィーク
anti fashion week

参加ブランドのひとつ、ユニセックスブランドの「ライアン・アンド・リース(RHYAN & RHYSE)」は既存の洋服をカスタマイズし再生する“リパーパス”が主軸。希少性の高い一点物やリミテッドアイテムに生まれ変わらせることで、不要となった服の価値を高めている。

ストリートウエアブランド「ナターシア・ミヤザキ(NATASHIA MIYAZAKI)」(写真)は、LAでのローカルメイドにこだわることで、余計な輸送を削減。さらに地元の職人たちに公正な賃金を支払うことを保証し、安全な労働環境作りにも努めている。

農薬使用への問題意識からすべてのアイテムにオーガニックコットンを取り入れる「サイ(SAI)」も参加。これは、LA在住日本人デザイナーによるブランドだ。

こうしたイベントはユニークな取り組みを行うスモールブランドを発見する絶好の機会。会場にはファッション業界人のほか、サステナ意識の高い20~30代のファッショニスタが集結。なかにはサステナブルファッションを奨励するLA在住のスタイリスト、水嶋和恵さんの姿も。参加ブランドのデザイナーと熱心に話し込む彼女の様子からも、本イベントの重要性が伝わってきた。

また、LAと同様にサステナ意識の高いサンフランシスコでもこの手のイベントやフォーラムが盛ん。なかでも「サンフランシスコ・サステナブル・ファッションウィーク」は2014年以来、年々規模が拡大中だ。ファッション業界が与える環境負荷の問題が叫ばれるなか、今後もこのようなイベントは盛り上がりを見せていくはず!

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5. レンタルファッションで賢くおしゃれ♡

collection of trendy women's garments on rack indoors, closeup and space for text clothing rental service
Liudmila Chernetska//Getty Images

サステナブルなファッションを意識するようになった人々のあいだで支持を集めているのがレンタルファッション。大量生産・大量消費の温床となってきたファストファッションへの依存から脱却し、ひとつのアイテムの寿命を延ばす“スローファッション”実践へのカギとして注目されている。そもそも、カリフォルニアでは生活費の高騰もあいまって、頻繁に使用しない物は購入せずに必要な時だけ“借りる”という考えが浸透していた。

レンタルの方法として一般的なのは、レンタルサービスのウェブサイトを使う方法。オンライン上で借りるアイテムをセレクトすると、指定日に自宅にデリバリーされるという流れ。また、実店舗を構えるサービスもあるほか、返却はシッピングラベルを貼って配送するだけという簡単さも受けている。かつてレンタルファッションといえばウエディングやパーティ用のドレスが主流だったけれど、最近ではデイリーユースやマタニティー、ビジネス仕様のものまで、ラインアップも充実してきている。

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以下はLAで実際に人気を集めるレンタルサービス。

オープンクロジット
ローカルデザイナーやハイエンドブランドのドレッシーなアイテムが揃う。アカデミー賞のパーティ用にレンタルしたカスタマーもいたことで話題に。サンタモニカに実店舗を構えており、料金は1アイテム1週間のレンタルにつき約150ドル。

レント・ザ・ランウェイ
デイリーユース、ビジネス、パーティまで幅広いセレクトが魅力。1カ月に5アイテムで69ドル、2カ月に10アイテムで99ドルなどのプランが人気。

ハヴァーダッシュ

ジャンプスーツ、カジュアルドレス、マタニティーまでレンタル可能。1カ月無料のお試し期間があるので、気軽にトライできる。

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6. 食べ物から棺まで!? 多方面でキノコがブーム

カリフォルニアでも5年ほど前からスーパーフードとして人気が高いキノコ。シイタケやシメジなどスーパーで扱われる種類も増え、その旨味成分は天然の調味料としても評価されている。さらには栽培から収穫までに必要な水や電気の量、そして土地の広さが、他の野菜と比べても格段に少ない“効率的な作物”として知られている。しかし、最近ではフードとしてだけでなく、サステナブルな素材としても注目を浴びている。

その代表例がマッシュルームレザー。マッシュルームの根元部分の菌糸体(菌が構成する根のような糸状の組織体)を培養して加工されたバイオベース素材のレザーは、カーフスキンやシープスキンのような見た目と、柔らかなテクスチャーを持ち合わせている。動物性レザーは、牛や豚など家畜の飼育の過程で温室効果ガスが発生するため、環境破壊に繋がることが懸念されてきた。また、合成皮革は布地にポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂を使用しているため、自然分解が非常に困難だ。

このマッシュルームレザーのパイオニア的存在が、カリフォルニアのエメリーヴィル(サンフランシスコ近くの街)に拠点を置く企業「Bolt Threads」だ。ここから生まれた「マイロ(MYLO)」という名のマッシュルームレザーはファッション業界からも注目され、「ステラ マッカートニー」や「アディダス」などのプロダクトに採用されている。

そのほか、意外なところでは棺の素材としても注目されている。アメリカは棺のまま土に埋める土葬が主流だけれど、一部の棺のなかには土の中で分解不可能なメタルやファイバーグラスが使われているものも。これらの代わりにマッシュルーム素材で作られた自然分解する棺がオランダの会社「Loop」から販売されており、これがカリフォルニアでも話題を呼んでいる。

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7. ハリウッドセレブが続々ヴィーガンコスメをプロデュース

ビューティ業界ではハリウッドセレブプロデュースのヴィーガンコスメが盛り上がりを見せている。カリフォルニアを含め、アメリカでは若い世代ほどヴィーガン文化に関心があり、フレキシタリアン(なるべく肉を減らしつつ、基本はプラントベースの食事をとる柔軟なベジタリアン。筆者もこのひとり)を含め、動物性のプロダクトをなるべく避ける層が増加中。セレブたちも起業家としてこれを無視するわけにはいかないというわけ。

なお、ヴィーガンコスメとは、「動物性由来の成分を使わず、プラントベースの原材料を使用。パラベン、フタル酸エステル(可塑剤)、サルフェート(硫酸塩)や化学香料のような人体に悪影響なケミカルも含まない」プロダクトのこと。同時に、製造から消費者の手に届くまでの工程で動物実験を行わない「クルエルティフリー」を掲げるブランドも多い。

自身も動物愛好家としてヴィーガニズムを貫くアリアナ・グランデがプロデュースするブランド「r.e.m. beauty」もそのひとつ。ブランドのポリシーページには、「ハチミツ、ミツロウ、ラノリン(羊などの毛からとれる油)、コラーゲン、卵白、カルミン(コチニール虫からとれる色素)、コレステロール、ゼラチンも不使用」の旨が明記されている。

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レアビューティ ヴィーガンコスメ
Momo Takahashi

そのほか、同じくヴィーガンセレブとして知られるグウェン・ステファニーのブランド「GXVE」や、フレキシタリアンのカイリー・ジェンナーが手掛ける大ヒットブランド「カイリー・コスメティクス」、ヴェジフリーク(肉や乳製品も取り入れるが、基本的に野菜を多くとる食習慣)であるレディー・ガガの「ハウス ラボラトリーズ BY レディー・ガガ」もヴィ―ガンブランド。さらに、自身はノンヴィーガンであるセレーナ・ゴメスの「レアビューティ」(写真)もヴィ―ガン&クルエルティフリー処方となっている。

これらのブランドは動物愛護の観点からも支持される一方、リサイクル素材のパッケージやコンポスト可能な緩衝材を取り入れるなど、環境に配慮した運営も評価されている。

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8. フェイクミートとしてのカリフラワーが密かにブーム

2022年頃からカリフォルニア州で注目度を高めている食材がカリフラワー。ビタミンCや食物繊維が豊富に含まれているために美肌や免疫力アップを促す働きがあると見直されている。また、体内から余計な塩分を排出するカリウムを多く含む一方、炭水化物が少ないのでダイエットにも最適。ハル・ベリーなどウェルネスを重視するハリウッドセレブのカリフラワー愛好家も多い。

ただ、カリフラワーは健康・美容面だけでなく、“代替食品”としてサステナブルな一面においても評価されている。これまではカリフラワーライスなどが有名だったが、最近の定番人気となっているのが、カリフラワーを“フェイクチキン”として使用したメニュー。カリフラワーを原料にしたプラントベースのナゲットやチキンウィングは、サクッとしていながらもジューシーで、本物のチキンを超えるおいしさと、リピーターも続出中!

環境負荷を与える畜産物といえば、牛肉をイメージする人も多いかも(牛のげっぷやおならからメタンガスが発生し温室効果ガスを大量に発生させていることが問題視されている)。しかし、鶏肉も決して無害ではない。スウェーデンの企業「CarbonCloud」が運営する食品のカーボンフットプリント情報を提供しているサイト「ClimateHub」によると、カリフラワーは1キロあたり0.32キロCO2e(ひとつの製品が最終製品として店頭に並ぶまでに排出されるさまざまな温室効果ガスの合計を、CO2量に換算したもの)と試算されているのに対し、鶏肉(調理前、丸ごと1羽分)1キロの場合は2.4キロCO2eと、7倍以上の数字に!

また、環境保護団体「グリーンピース」によれば、近年では牛肉より鶏肉の消費量が増加しており、ニワトリのエサとなる大豆を大量栽培するための農場を、森林を破壊して作っていることも憂慮されている。これらの問題をおいしくヘルシーに解決する手段として、カリフラワーが注目されているのは当然のことなのかもしれない。

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9. フリーフードで食品ロス削減

食品ロス la フリーフード
Momo Takahashi

日本でも大きな問題となっている食品ロスの問題。カリフォルニア州のグロッサリーストアは、まだ食べられるにもかかわらず店頭で提供することができなくなった食品を、フードレスキュー団体に寄付することが義務付けられている。

2022年からは、市や郡などすべての管轄区がエリアごとに食品回収プログラムを設立。食品提供者はできるだけ食品の廃棄を削減するようアレンジしなければならず、それでも生じたフードウェイストやフードロス(※)は、フリーフードとしてホームレスをはじめ食事に困っている地域住民に無料で提供されるようになった。

これにより、提供される食品のグレードもアップ。アーティチョーク、カリフラワー、タヒニといったトレンドの食材から、オーガニックブレッドなど高級スーパーから提供された商品も揃うようになった。なかには賞味期限を過ぎたものもあるが、食べるのに問題はないものが提供されている。

基本的にこのフリーフードは、「Abound Food Care」や「LA Food Bank」といった団体によりスーパーやレストランなどから回収され、必要とする人々に提供される。このようなグループは、カリフォルニアに数えきれないほど存在するが、今後ますます重要な役割を担い、数も増えると予測される。

なお、ホームレスだけでなく一般市民もフリーフードを受け取ることは可能。事実、近所の人がフリーフードで受け取った食品をおすそ分けしてもらうことも多く、「余った食品はシェアする」というカルチャーが根付きはじめている。

※農地から栽培・収穫されてから小売店にたどり着くまでのあいだに発生するものを「フードロス」、スーパーなどの小売店やレストラン、家庭から発生するものを「フードウェイスト」と呼ぶ

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10. 西海岸がフードテックの聖地に

カリフォルニアといえば、シリコンバレーに代表されるIT企業をイメージする人も多いかもしれないけれど、実はフードテック企業の聖地にもなりつつある。これらの企業は最新のテクノロジーを駆使することで多種多様な代替食品を開発し、世界の食糧問題に取り組んでいる。

今やフードテックのリーダー的存在であり、エル・セグンドに本部を置く「ビヨンド・ミート」は2022年、キム・カーダシアンをチーフ・テイスト・コンサルタントに任命し、認知度が急上昇。同年、同社のフェイク・チキン・テンダーは『ピープル』誌の“フード・アワード”を受賞し、注目を集めた。

サンフランシスコ発の「ジャスト・エッグ」はプラントベースのヴィーガンエッグを開発したパイオニア企業。鳥インフルエンザによる世界的な卵不足でも注目を浴びている。また、オークランドを拠点にする「インポッシブル・フーズ」は、植物性タンパク質を使った多種多様なフェイクミートを開発しており、「ビヨンド・ミート」に並ぶ存在感を放っている。

これらの成功と同時に、新しい企業も続々と参入。見た目もリアル(卵白と卵黄が存在する!)なヴィーガンエッグ「ヨー・エッグ」や、カリスマシェフ、マシュー・ケニーが手掛けるレストランでも採用されたプラントベースのラム肉を展開する「ブラック・シープ・フーズ」などが注目株だ。

進化するフードテックは、西海岸の食文化にも変化を与えている。こうした代替食品を活用したドーナツアイスクリームショップ、さらにベーカリーなどはファッショナブルなグルメスポットになっていて、幅広い世代から人気。今後ますます代替食品が身近になっていくことは間違いなさそう。

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