SNSで誰もが耳にしたことがあるトレンド、“クワイエット・ラグジュアリー”。では、“クワイエット・アウトドア”という言葉は聞いたことがあるだろうか。このトレンドは“ゴープコア”と“ステルスウェルス(知る人ぞ知る密かなぜいたく)”のトレンドを掛け合わせたもので、『ビジネス・オブ・ファッション』が2024年に爆発的に流行すると予測しているトレンドだ。

この話を聞いて途方に暮れている人たちもご安心を。ここでは、オンライン漬けになっていない人たちのために、クワイエット・アウトドアのトレンドについて解説する。

ゴープコアの「GORP」とは「Good Old Raisins and Peanuts」の頭文字をとった略語で、ハイキングやキャンプの際に食べる、レーズンやナッツなどを混ぜたトレイルミックスを指す。ゴープコアは、機能的なアウトドアファッションに特化したトレンドで、以前の“アスレジャー”トレンドと似ているが、それよりもさらにタフなスタイルだ。

具体的なアイテムとしては、柔らかいヨガウェアではなく、防水のシェルジャケット、北極でのキャンプ用にデザインされたダウンコート、ロゴ入りのニット帽、漁船やスキー場からの照り返しを反射する偏光バイザー付きラップアラウンドサングラスなどがある。

instagramView full post on Instagram

ハイキング用にデザインされたシューズ(サロモンのXT-6など)は、ハイブランドのアイテムを購入するのと同様に、トレンドの中核をなしている。人気のあるノースフェイス、パタゴニア、グラミチ、アークテリクスなどのブランドは、基本的にカジュアルなアイテムを提供しているが、これらは決して安いものではない。たとえば、アークテリクスのゴアテックスの防水シェルジャケットは600ポンド(約11万円)以上、ノースフェイスのパファージャケットは300ポンド(約5万6000円)以上、旬のハイキングシューズは180ポンド(約3万3000円)以上の価格が付いている。

ゴープコアでは、ポップなネオンや反射する高視認のストライプ、クレヨンのように鮮やかなカラーなど、遊び心のある派手なディテールが多かった。しかし今回のクワイエット・アウトドアでは、ミニマルなアースカラートーンかつ、よりエレガントでスタイリッシュな方向に変わっている。クワイエット・ラグジュアリーのトレンドと同様に、派手なロゴや色を使ったものではなく、ニュートラルカラーや上質な素材でできた、ラグジュアリーでベーシックなアイテムが好まれている。

このトレンドの変化は、アシックス×セシリーバンセンや、オン×ロエベなど、大物デザイナーとアウトドアブランドとのコラボレーションが後押ししている。パフォーマンスを重視するスポーツウェアの実用性と、ミニマルでファッション性の高いラグジュアリーブランドの美しさを融合させることで、ゴープコアがクワイエット・アウトドアという新たなトレンドへと昇華したのだ。

さらに、ケンダル・ジェンナー、ベラ・ハディッド、ヘイリー・ビーバー、エミリー・ラタコウスキーといったおしゃれセレブたちが、デザイナーズブランドの服にハイキングシューズを組み合わせているところが目撃されている。このことから、正真正銘のスタイルアイコンである彼女たちがこのトレンドを巧みに取り入れていることがわかる。多くの人は、キュートなフローラル柄のミディ丈のサマードレスに白いスニーカーを合わせたことはあるだろうが、クワイエット・アウトドアではさらに強いコントラストが必要だ。そのため、最も無骨でチャンキーなダッドスニーカーが主役級のアイテムになる。

2024年の注目トレンド「クワイエット・アウトドア」とは?
Getty Images
2024年の注目トレンド「クワイエット・アウトドア」とは?
Getty Images

ストリートファッションにおいても人気が高まっていることから、このトレンドが2024年にさらに飛躍すると考えるのも不思議ではない。このトレンドは投資価値があるだけでなく、非常に着心地が良いものだ。

クローゼットの奥で眠っているジムウェアや、父親やパートナーのアウトドアウェアを、スタイリングにどんどん取り入れてみてはいかが?

From COSMOPOLITAN UK