産後3カ月以内に発症することが多く、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などの症状がある「産後うつ」。
日本産婦人科学会によると、およそ10%の罹患率があり、発症の背景要因として、うつ病の既往のほか、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。
産後うつの認知度が上がってきている一方、まだまだ知られていないのが「産褥(さんじょく)精神病(産後精神病)」。イギリスでは500人に1人の割合と言われており、稀ではあるものの、深刻なケースもあると言います。
そこで<コスモポリタン イギリス版>が、心理コンサルタントでザ・チェルシー・サイコロジー・クリニックの共同創設者のエレナ・トゥーローニ医師に取材。産褥精神病の基礎知識や、産後うつとの違い、治療について聞きました。
産褥精神病とは
産褥精神病とは、出産後の女性に起こり得る深刻な心の病気のこと。通常、妄想や幻覚として現れるもので、躁的になったり、非常に気分が落ち込んだりすることが多いとトゥローニー医師は言います。
また、物事に対して必要以上に恐怖を感じたり、混乱したり、疑い深くなったりする場合もあり、もともとの性格とは異なる振る舞い方をするケースもあるとのこと。
イギリスのNHS(国民保健サービス)によると、産褥精神病は産後うつとは全く違うものであり、産褥精神病は、緊急性が高い病として扱われるべきだそう。
産褥精神病と産後うつの違い
産褥精神病が産後うつと異なるのは、重度のうつ病の期間があることに加えて、混乱しつつ興奮したり、気分が高揚したりする症状。
ただ産後うつと同様、産褥精神病発症後に子どもとの絆を築きにくくなり、「赤ちゃんとの時間を失った」と感じてしまう人も少なくないそう。
そういった場合、NHSはパートナーや家族、友人、同じ経験をした人々、メンタルヘルスの専門家と話すことを推奨しています。
産褥精神病の発症時期
産褥精神病の症状が出始めるのは、出産から2週間以内。数時間~数日以内や、出産から数週間後に発症することもあります。
一般的に深刻な症状は2〜12週間に及び、完全に回復するまでに12カ月間かかるケースもあるそう。
産褥精神病の治療
トゥーローニ医師は、早期発見がなにより大切だと強調。
「気になることがあればできるだけ早くかかりつけの医師などの医療機関に相談しましょう」
現在はさまざまな治療法があり、適切な処置を受ければ顕著な効果を示し、結果も良好だと英国王立精神科医学会は示しています。
この記事は、専門家による医学的アドバイスや診断ではありません。自身の症状について何か疑問がある場合は、必ずかかりつけの医師や医療の専門家に相談しましょう。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto
COSMOPOLITAN UK