「出産可能な年齢の女性は、妊娠中以外も飲酒を控えるべき」とした世界保健機関(WHO)の勧告案が、批判の的となっている。

「出産可能年齢」といえば、18歳から50代までの女性も含めることができる。つまりWHOは、すべての成人男性に認められる飲酒の自由を、“女性の大半”には認めるべきではないとの見方を示したことになる。

また、このWHOの提言にはさらに興味深い点がある。それは、アルコールの乱用は、女性よりも男性の間にはるかに広くまん延しているという事実。2016年のWHOの統計では、飲酒が原因で死亡した人は世界で約300万人にのぼり、このうち男性は約230万人で、女性の3倍以上となっている。

『インディペンデント』紙によると、中絶の権利を擁護するイギリスの慈善団体「BPAS」のCEOクレア・マーフィーさんは、このWHOの勧告案について、「女性の体と選択権をコントロールしようとするものであり、女性たちが苦労の末に手に入れた権利を危機にさらすもの」との見方を示している。

hispanic women drinking beer and wine together
JGI/Jamie Grill//Getty Images

この勧告案は、「女性の体は最も健康な子孫を生み出す『もの』として維持されるべき」との考えに基づいていると考えることができると指摘するマーフィーさんは、WHOはそれにより「女性を、『生殖能力を持つにすぎないもの』におとしめています」と非難。

また、責任ある飲酒を呼びかけるイギリスの団体「ポートマン・グループ」のCEOマット・ランバートさんも、WHOのこの勧告案は「無視すべき」との考えを示し、次のように述べている。

「提言は性差別的であり、家父長的です。さらに、大半の女性たちの自由を制限するものとも考えられます。WHOに委ねられた権限を越えるものであり、科学に基づいた見解でもありません」「このような無責任な形で人々を不安に陥れることも、アルコールが女性にもたらすリスクを子どもや妊娠中の人と関連づけることも、間違っています」

こうした批判を、WHOはどのように受け止めるのだろうか……?

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

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