「早く寝なきゃ」と思うほどに眠れなくなってしまう夜は、不安になってしまうもの。 寝返りをうったり身をよじったりしているうちに、むなしくも時間が過ぎていく…という経験がある人も多いはず。
そんな夜にぜひ読んでほしい、眠れないときに考えられる主な原因と対処法を専門家の解説を交えてお届け!
【INDEX】
体温や室温の影響
睡眠科学の専門家で『睡眠こそ最強の解決策である』の著者であるマシュー・ウォーカー氏は、「体温が睡眠に与える影響」の大きさについて説明。
体温や脳の周辺の温度で構成される温度環境は、質と量の両面で十分な睡眠に重要な影響を及ぼす要因なのだとか。
「本来ならば、自然の摂理で夕方になると気温が下がるもの。ところが現代人は、エアコンや快適な寝具などによって、快適な室温を調整し続けることができるがゆえに、自然な気温下降によるメラトニン(眠気を誘うホルモン)の分泌を妨げてしまう可能性があります」
良質な睡眠のために適切な室温は、 摂氏15~19度。少し肌寒く感じるかもしれませんが、体温の低下が引き金となって深い眠りにつけるようになると言います。
対処法
- 体温が高い時は、ほてりを鎮めるために扇風機を使用する。首振りタイプのものを寝室に置いて空気を循環させて。
- できるだけ織り目の粗いシーツを使うようにする。目の細かいシーツは通気性にが悪いことが多く、汗をかきやすくなることも。
- 低反発タイプのマットレスは体温が上がりすぎてしまう恐れがあるので、寝つきが良くないという人は避けるべき。体温を拡散させるなど通気性に優れたマットレスなどもあるので、自分に合った寝具に買い替えてみて
照明が明るすぎる
先述のウォーカー氏によれば、「明るすぎる照明によって体内時計が狂わされることもある」と言います。
「明るすぎる照明が原因で、毎晩のように体内時計が2~3時間巻き戻される状態になるという研究結果もあります。心身ともに“おやすみモード”に移行するためにも、夜は照明を暗くして、明るさによる影響をできるだけ軽減してみてください」
スマホを触りすぎている
質の良い睡眠を求めるのなら、スマートフォンやタブレットなどは寝室に持ち込まないように。
ハーバード大学の発表によれば、デジタルデバイスの画面から発せられる光の影響で、ストレスホルモンの一種であるコルチゾールの分泌が増え、一方で睡眠導入に有効なホルモンであるメラトニンの生成が90分ほど遅れると言います。これによって、寝つきが悪くなるということなんだとか。
また、眠る直前までスマートフォンを触り、起きてすぐにまた触るような生活習慣を持っている場合には、通知やSNSの動きが気になる不安感から睡眠が浅くなってしまうこともあるんだそう。
就寝時には電子機器を別室に置いておくのがベストであるものの、どうしてもアラームとして使いたい場合は、通知機能などが睡眠を妨げないように、必要に応じてナイトモードなどの機能を活用してみて。
騒音による影響
救急車のサイレンや近所の騒音で、穏やかな睡眠が妨げられることも。
住環境を変えることがでいない場合には、騒音をブロックしたり、深い眠りを促すと言われている次のような「ノイズ」を活用するのも手。
ホワイトノイズ
扇風機がの音や雨の音などの環境音は、気分を和らげるホワイトノイズを発生させるのだそう。こうしたホワイトノイズは、夜間に目が覚めてしまうのを防ぎ、睡眠時間を延ばす効果があると証明されているとのこと。
ピンクノイズ
高低にわたる周波数帯域の音が均等に含まれるノイズ(ビーチに押し寄せる波や滝の音など)はピンクノイズと呼ばれています。深い徐波睡眠(ノンレム睡眠のうち、振幅の大きいゆっくりとした脳波が現れる睡眠)を促進すると同時に、記憶や学習などの能力向上に役立つとされているのだとか。
お腹が空いている
夜は、その日1日に食べたものを消化するに従って、血糖値が下がっていくのが普通。けれど、その下がり方が大きい場合、お腹がすいて目が覚めてしまうことがあるのだそう。
そういうときは、就寝90分前に炭水化物やタンパク質、脂肪を組み合わせた250カロリー程度の軽食をとって、就寝1時間前に大さじ1杯のはちみつを食べると良いのだそう。生の蜂蜜は加工されたものよりも消化に時間がかかり、夜間の血糖値を安定させる効果が期待できるのだとか。
トイレに行きたくなる
夜中に頻繁にトイレに行くという人は、昼食の後はカフェインの摂取を控えてみて。カフェインは利尿作用がある上、体内で半減するまでに6時間はかかるとも言われています。昼間のコーヒーが、夜の眠りを妨げている可能性も。
また、夕食後に塩分を含むスナック菓子類を食べることも控えるべき。のどが渇いて水分が欲しくなるため、夜間にいっそうトイレに行きたくなってしまうのだそう。
ストレスを抱えている
仕事や金銭関係、家族、人間関係などについて悩みがある場合、なかなか寝つけないとしてもそれは自然なこと。これは多くの人が抱える悩みで、保険会社のアビバが行った睡眠に関する調査では、68%の人がストレスから睡眠障害に陥ったことがあると答えたそう。
悩み事が増えると睡眠不足になり、睡眠不足が悪化するとさらに悩むことが多くなるという悪循環に陥ることにもつながります。
対処法
- 寝る前に、ストレスの原因を考えられる順に3つ書き出し、それぞれに取るべき対策も文字にしてみる。ストレスの原因を把握することは非生産的な堂々巡りの思考を断ち切り、気分を切り替えることの助けに。
- 筋肉の興奮を鎮める。足先からはじめて、筋肉の各部分を引き締めてからリラックスさせるという動きを2〜3分ずつ繰り返し、体の上の方に向かって頭部にたどり着くまで続ける。この動きによって全身に緊張とリラックスする感覚を行きわたらせ、睡眠の態勢に入る合図を筋肉に対して送ることができるのだそう。
- 加重毛布などの重めの寝具を使用する。包み込まれる感覚がハグのようで、心を落ち着かせる作用があるのだとか。
生活リズムによる影響
健康的な生体リズムを保つためのルーティンは朝起きたときから始まるべきで、そうすることでよりスムーズに夜の眠りにつくことができるのだとか。快眠に効果が期待できる朝のルーティンは以下の3つ。
- 毎日同じ時刻の30分以内に(週末も含めて)必ず起床するようにする。これは毎晩同じ時刻に就寝するよりも重要なことで、夜の訪れとともにすんなり眠りに向かえるよう、体内時計を調整する働きになるそう
- 朝起きたらまず500mlの水を飲み、脳を活性化させ、生体リズムをリセットする
- 朝起きたら、心臓の動きを活発にさせるため運動をする。最近の研究で、1週間のうち5日間、朝45分間のエクササイズを行った女性の70%に、何もしないときと比べて睡眠の改善が見られたという結果も
コーヒーを飲む時間を変えたり、室温を調整したり…と毎日の習慣を変えるだけで、睡眠も改善できるはず。まずはできることを今日から少しずつはじめてみて!
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 西山佑(Office Miyazaki Inc.)
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