2021年グラミー賞授賞式ベスト&ワースト・ドレッサー
テイラー・スウィフトのフェアリーテイルルックから、デュア・リパの透け感ドレスまで!
2021年グラミー賞は、本来のレッドカーペットのリアルさを取り戻し、錚々たるファッションの襲来に私たちの心の準備ができていなかったほど。毎年、グラミー賞授賞式の夜には人目を引くスタイルがたくさん登場するけれど、今年参加したスターやパフォーマー、ノミネートされた人たちは1年間の自粛生活を経て、明らかにハイファッションを選ぶ傾向にあった。そのため、ここ数年間で最もスタイリッシュなグラミー賞のひとつだったと言えるかもしれない。
ファッション性の高いスタイルはいつでも歓迎するけれど、残念ながら今年はドルチェ&ガッバーナを選んだスターが多かった。このブランドが不品行や攻撃的な発言によって長年反発を受け、いかに物議を醸してきたかを考えると、セレブたちはその選択をすべきではなかったように思う。だからこそ、セレブやスタイリストたちには、D&Gを脱ぎ捨てるときがきたと伝えておきたい。
とはいえ、ここでは今年注目のTOPルックをピックアップした。シックなものから、野暮ったいもの、理解不能なもの、そしてただただ良くないものまで、今年のベスト&ワースト・ドレッサーを見ていこう!
Photo: Getty Images, Courtesy of Louis Vuitton Translation: Masayo Fukaya From Cosmopolitan
テイラー・スウィフト/オスカー デ ラ レンタ
5年ぶりにグラミー賞の複数の部門にノミネートされたアルバム『Folklore』のシンガー、テイラー・スウィフトは、ファンタジーな色彩のオスカー デ ラ レンタのドレスで登場。
この衣装は、ドリーミーでおとぎ話のような彼女のパフォーマンスの世界観にピッタリだった。ここ最近のテイラーは、大人なテイストのロマンティックな衣装がお気に入りのよう。
ビリー・アイリッシュ/グッチ
『Everything I Wanted』のビリー・アイリッシュは、着心地の良さ、カバー力、大胆な色使い、実用的な形、際立つ装飾など、あらゆる面で自身の揺るぎないスタイルを追求。
今回、グッチはそれをすべて再現した上で、タイガーの柄をうまく取り入れている。彼女のパブリックスタイルは驚くほど一貫性があり、最高のデザイナーがそのニーズと意思を見事に解釈している。ビリーならではの華やかさが凝縮された素晴らしいルック。
デュア・リパ/ヴェルサーチェ
ときに女子に必要なのは、キラキラした透け感のあるヴェルサーチェのドレスと、パープルのアイシャドウ、そしてストレートに下ろした髪だけということもある。ただし、その女子がデュア・リパならば。
『Don’t Start Now』のシンガーであり複数の部門にノミネートされた彼女は、内面の美しさを写すかのごとく、グラミー賞授賞式にクラシカルでセクシーなルックで現れた。このルックが壮麗だったことは間違いない。
BTS/ルイ・ヴィトン
いつものごとく、BTSのメンバーはポップミュージック史上、最もスタイリッシュなグループからスタイルのヒントを得つつ、モダンでフレッシュ、かつシュっとしたルックを披露した。
ポップスターにしては珍しいベージュやグリーンの組み合わせをはじめ、グループの各メンバーが個性的でありながら統一感を生み出す工夫など、そのカラーストーリーは秀逸。これぞまさに、究極のステージウエア・ファッション。
ハリー・スタイルズ/グッチ
『Watermelon Sugar』のシンガーで、最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞にノミネートされたハリー・スタイルズは、ブラックレザーのセクシーなグッチのスーツにフレアパンツ、フェザーボアのスカーフで完璧な“ロックスター”の着こなしをお披露目。ロックスターにシャツは不要!
ノア・サイラス/スキャパレリ クチュール
音楽業界のスター一家のメンバーなら、最優秀新人賞にノミネートされたノア・サイラスのように女王のような衣装を纏って登場するのも当然だろう。
とてつもなくシックで、巨大で、場所をとって、奇妙で、ファッション性が高いこの衣装をチョイスした彼女を称えたい。
「私を見て」と言わんばかりの、目に焼きつくようなこのルックは、エレガントで独特な雰囲気を見事に表現している。
H.E.R./デュンダス
楽曲『I Can’t Breathe』で受賞したシンガーのH.E.R.は、この逸脱したファッションで私たちを驚かせてくれた。ゴージャスなサルワール・カミーズ(インドの女性が着用するチュニック×パンツ)に、ゆったりとした魅惑的なパンツを合わせて、リッチでラグジュアリーなボヘミアンなスタイルを表現している。
アイシャドウとネイル、サングラスもルックに合わせてカラーコーディネートしているため、全てがバランスよく調和して見える。こんなにピースフルなシックがあるのだろうかと思わせるほど、見ているだけで心が穏やかになってくる。
メーガン・ザ・スタリオン/ドルチェ&ガッバーナ
メーガン・ザ・スタリオンは、『Savage』で最優秀ラップ・パフォーマンス賞を受賞する前に、マリリン・モンローにインスパイアされた人目を引くドレスで、オールドスクールな魅力を披露した。
セクシーで大胆なこの衣装は、彼女にスーパースターの貫録を与える。メッセージ性のあるファッションとしては、これに勝るものはない。
リゾ/バルマン
『Good as Hell』で知られるシンガーのリゾは、きらめくミントグリーンのパーティ用ドレスを着て、ワクワクするような雰囲気を演出。その姿はまるで、自力でロックダウンを終わらせたかのようだった。
クロエ&ハリー・ベイリー/ルイ・ヴィトン
この2人は決してドレスコードを見誤ることがない。複数部門にノミネートされた『Wonder What She Thinks of Me』のシンガーである2人は、姉妹としての一体感を保ちつつ、それぞれのスタイルを具現化したオーダーメイドのルイ・ヴィトンのドレスを身に纏って現れた。
リュクスでグラマラス、そしてセクシーで洗練された雰囲気を醸し出したルック。クロエの太ももまであるブーツと、ハリーのシックなヘッドバンドが、姉妹それぞれの個性を演出している。
トレバー・ノア/グッチ
ベーシックな黒のディナー・ジャケットは取り立てて目を引くものではないけれど、この日の司会を務めたトレバー・ノアがパーフェクトなフィット感で登場したことは間違いない。
正統なファッションを身にまとうだけでこれほど目立つのだから、たまにはグラミー賞授賞式でもクラシカルな装いを選ぶのもいいかもしれない。
フィービー・ブリジャーズ/トム ブラウン
『Kyoto』のシンガーとして知られ、複数の部門にノミネートされたフィービー・ブリジャーズは、自身のシグネチャーであるスケルトンモチーフのジャンプスーツをハイファッションでアレンジして授賞式に参加。
この衣装はシャープで人目を引くだけでなく、ブランディングとしても優れている。グラミー賞は他のどの賞よりもパフォーマーとしてのヴィジュアルブランディングを披露することが重要視されるが、フィービーはこのシックで遊び心あるルックでそれを成功させた。
ドージャ・キャット/ロベルト カヴァリ
グラミー賞授賞式は、人目を引くファッションのための夜だとお伝えしたが、ドレスを選ぶときは、シックさとのバランスを考慮しなければならない。
バイカートップスとショーガール風のボトムを掛け合わせたこちらの衣装は、理論上は面白そうな組み合わせだけど、なんとも奇妙なバランス。とはいえ、簡単に忘れ去られるようなルックではないため、50点といったところ。
バッド・バニー/バーバリー
今回の授賞式に限らず、すでに2021年の“ベスト・オブ・ザ・イヤー”に候補入りしたのがこちら。プリーツスカート、ゴージャスなテイラードコート、笑ってしまうほどキュートなニット帽、サングラスとヒマワリのカラーコーディネートなど、すべてのディテールがツボなこのルック。バッド・バニーのセクシーでキュートな姿は圧巻だった。
ダベイビー/ドルチェ&ガッバーナ
複数部門にノミネートされたダベイビーは、グラミー賞を楽しみにきた遊び心満載のスタイリングでお目見え。カラフルで鮮やかなこのルックに魅了された人は多いはず。
チカ / ナイキ&ヴェルサーチェ
グラミー賞のレッドカーペットにナイキのスポーツウェアが登場したことで、ネットは騒ついたかもしれないが、現実を直視してみよう。この1年は多くの人が、ジャージやタイダイ柄のパンツで過ごした時期だった。
だから、2020年にヴェルサーチェのバッグを手に入れることができていたら、こんなルックになっていたかもしれない。リアルさと快適さを両立させたチカの功績は大きい。
マレン・モリス/ドルチェ&ガッバーナ
最優秀カントリー・ソング賞にノミネートされた『The Bones』のシンガーソングライター、マレン・モリスは、こちらのドレスをチョイス。ドレープは美しく、カラーもトレンドを押さえているが、ビーズや光沢感が残念ながら写真映えしなかった。
ブリタニー・ハワード
『Stay High』で最優秀ロック・ソング賞を受賞したブリタニーは、光沢感のあるブラックのドレスに、きらめくパフスリーブのガウンで存在感を示した。
パワフルでグラマラスな印象を与えた彼女は、まるで裁判官や祭司、そして歌姫を思わせるこの衣装で登場。この日の夜、最も記憶に残るユニークなルックのひとつとして私たちの目に焼き付いている。