今回のテーマは"美"ですって。ド直球!まあファッション好きのコスモ女子はもちろん、たいていの女性やオネエさんにとっても、もらえるもんならいくらでももらいたいものの筆頭でしょうよ。「美容にいいらしい」って聞くだけで、みんななりふり構わず、妙にお高い水を飲んだり、アナルからコーヒー注入してきたわけだもんね(みんなじゃないわ)。

でもあらためて"美"って何なのって考えてみると、そう単純なもんじゃない。一応、四半世紀近く女装という"偏った美の地点"にいた身ですから、そこから見えてきたものもあるのよね。

そもそも、ゲイの変身文化「ドラァグ・クイーン」のメイクや衣装って普通の感覚の"美"をぶっちぎってるのは、見れば分かるでしょ。厚み2cmくらいありそうなアイラインとか、ハエとり草みたいなつけまつ毛とか、そんなの観たらそこいらの殿方は勃起する前に怯えるわけ。ヒーローのそばでサポート役に徹するヤッターマン2号的なポジションの大人しいかわいさじゃなくて、ドロンジョ様やヘドリアン女王的な過剰な装飾と攻めの姿勢こそクイーン文化なんだもん(相変わらず例えがババア向きでわかりづらい)。

コスモ女子なんかは、この「自分がしたい美の表現に寄せていったら、男子モテから遠ざかっちゃった!」というのを実感してるコは多いんじゃないかしら。うちの店でも「そのハネすぎのアイライン…オカマにはウケるけど男子には威嚇よね」ってブルゾンちゃん風アイメイクのコに声かけてるわ。

そう、そもそも美の方向性には大きく「相手の感覚に合わせて喜ばせるモテの美」と「自分の感覚を満足させる装飾の美」があるのよね。自分の中で「オトコにウケてこそ美!」と、本心から一致してたほうが、全力でユルフワの甘め女子として装飾できて、そのまま王道の趣味の男性に見初められて、お互い満足で幸せなのかも。でも、そんな女と男だけで固められていったら、全員一緒の制服着せられるみたいでクソつまんなくね? 特にコスモ女子は、オトコウケのためだけに生きてないでしょ!

なのでまず美しくなりたいのは共通項として、その目的が「オトコたちにチヤホヤされる」ためなのか「自分自身が憧れる形に近づきたい」のかを意識するのは大きいと思うの。もちろん、昼は男性同僚ウケする抑えめオフィスビジュアルで、夜は盛り場用の自分が楽しくなるビジュアルでって切り替えるタイプも昔からいるけどね。普段は女装で仕事してるおじさんが、プライベートのホモデートの時には、なけなしの無精ヒゲ生やして男性性を盛ろうとするのも似たような使い分けなのよ(あんまり効果ないけど)。

自分らしさをぶっちぎってる女子も、的確にオトコウケを利用できるしたたかな女子も、それぞれステキだと思うの。ただなんとなく流行りに乗っかってる薄ぼんやりしたモテ狙いや、逆にそれに迎合したくないからってモテファッションを敬遠してるだけの卑屈さとかのほうが、中途半端で魅力的じゃないと思うわ。

で、どっちコースにも間違いなくプラスになるのは、ベースの「お手入れの美」よね。方向性がいろいろあっていい装飾メイクに対して、健康でみずみずしいお肌とか、ヘアや指先のケアとか、基礎化粧品的な範ちゅうの美を嫌がる人はほとんどいないんだから。そこは気にして損はない。そしてもうひとつ、自分のありように自信を持ててるマインドも、美肌と同じくらいに大事な土台。これは卑屈視線と自虐芸風で長年生きてきたアタシだからこそ、痛感してるポイントだからね。「かわいいね、きれいだね」って言われたら、「そんなことないですよ、自分なんてぇ」じゃなくて、「やったー!ありがとう」って素直に言える人間のほうが間違いなく美しいのよ。

実際、2丁目ウケする女子たちって、骨格の造型や肉付きより「ちゃんと気を使ってるオシャレ」と「自分の生き様を楽しむ姿勢」を併せ持ってるコってイメージ。ストレート男子は、欲望のせいで見抜けなかったりするんだけど、同性やゲイはちゃんと見てるものよ。オシャレデブとか、神経の行き届いた個性派フェイスとか、男子には分かりにくい可愛さや美しさって愛おしいわ。

コスモ女子もアタシも、今までももこれからも自分や周り基準のいろんな"美"に一喜一憂していくんだろうけど、自分の外側の作られた像に追いすがるんじゃなく、自分の内側から引き出す"美"に目を向けてみて。オトコ目線に合わせて纏うだけじゃなくて、自分が考えて楽しんで美を生むの! 「今年のスタイル」「今日のテーマ」な自覚と、「モデルきどり」「女優ごっこ」な意識があれば自分主導で"美"を楽しめるはずよ。最悪オトコにはわかんなくても、女子同士、オネエ同士で褒め合いまっしょ。まだ気づいていない自分の"美"へと、HAVE A NICE FLIGHT~!