職場で責任のある仕事を任されているにも関わらず、無力感や自信喪失に苛まれたことはない? そんな、実際には優秀なのに、それがただの見せかけのもので自分は周りを騙していて、いつ化けの皮が剥がれるか常に不安に駆られる症状は「詐欺師症候群」と呼ばれるんだとか。コスモポリタン イギリス版によれば、この症状を感じている人は意外と多いそう。

「不思議と、有能な人ほど自身の実力を過小評価してこの症状に陥りやすいのです」と語るのは、『Reach: A New Strategy to Help You Step Outside Your Comfort Zone, Rise to the Challenge and Build Confidence.(飛び越えよう:コンフォートゾーンから1歩踏み出し、困難に打ち勝って自信をつける方法/原題訳)』の著者であるアンディ・モリンスキー教授。

あの名女優も!

アカデミー賞のノミネート最多記録を持つメリル・ストリープでさえ、詐欺師症候群を経験したと思われる1人。かつてメリル・ストリープは「いったい誰が私の映画なんて観たいの? って思っちゃうわ。演技は下手くそだし、なんで女優なんてやっているんだろう?」と話したことが。ゴールデングローブ賞に30回もノミネートされるなど映画界からの称賛をよそに、自分はそのような評価に値しない大根役者で、"詐欺師"なのだと感じずにはいられなかった様子。これは、成功している女性の多くが持つ感情なのだとか。

優秀な女性ほどリスクあり!?「詐欺師症候群」とは?
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有名大学の若手講師も

レベッカさんはイギリスのトップ大学で講師を務める32歳。彼女も自分の実力に自信が持てないと告白した1人。「自分の研究は基本的に質が悪く、周りがそれに気付くのも時間の問題だっていつも思ってしまうんです。最近本も出したんだけど、出版に至るまでことあるごとに、ひどい原稿だと思い続けたわ」と、自分のこれまでの成功がまるで偶然だと思い込んでいる模様。これも詐欺師症候群によく見られる症状なのだそう。

「研究内容がひどいのに成功している理由は、いくらでも思い付いた。たとえば、批評家が論文をしっかり読まなかったんだとか、私の研究分野の専門家じゃなかったんだとか。前職の採用が決まったときも、ありもしないスキルを私が持っていると皆が信じていて、採用された暁には失望されるんじゃないかと思ったわ」

女性の方が多い?

男性でも詐欺師症候群になることはあるものの、専門家によれば、女性の方が症状は深刻とのこと。最近の調査では、ミレニアル世代の3分の1が職場で自信喪失を感じるという結果が出ており、なかでも目上の人の前で怖気づくと答えた回答者は、男性が22%だったのに対して女性は40%。

また、<Institute of Leadership and Management(リーダーシップと経営研究所)>はマネージャー職の人を対象に、仕事に対する自信の程度を調査。仕事に自信がないと答えた回答者は、男性が3分の1以下だった一方で、女性は半分という結果に。

なぜ女性に多いのか?

詐欺師症候群について研究してきたヴァラリー・ヤング博士によれば、女性の方が症状が出やすい一因は、"性差別的なステレオタイプが依然として残っており、職場で女性の方が男性よりも厳しく見られる"から。「意識的であれ無意識的であれ、女性は自分たちが男性とは違う基準で評価されていることを分かっているのです」とのこと。

もう1つの理由は、男性は失敗してもそれを環境や他人のせいにする傾向があるのに対し、女性は自分のせいにしたり、成功してもたまたま運が良かっただけだと考える傾向があるからだそう。

なお、女性が少ない職業や専門分野の方が、詐欺師症候群に陥りやすくなるよう。ヤング博士によれば「教室、会議、現場、オフィスなど特定の状況や、役員クラスなど特定の役職に自分と似ている人が多ければ多いほど、自信は高まるもの。逆に、実力に関する性差別的な偏見がはびこるようなグループに所属すれば、周りを騙していると感じることが多くなります」とのこと。

また、詐欺師症候群は女性の社会進出にも影響を及ぼす場合が。女性は新しい仕事や職種を検討する際、すべての応募条件を満たさないと応募しない傾向があることが様々な調査から分かっているそう。専門家は、これは女性の方が男性よりも自己肯定感が低いからだと考察しているとか。

4つの対策

それでは、詐欺師症候群にならないためにはどうすれば良いの? ヤング博士による4つのポイントをご紹介。

1.悩みを打ち明ける

「まずは、自分が詐欺行為を働いていると感じることを打ち明けることで、後ろめたさを軽減しましょう。そして、今度自分が詐欺師だと感じたら、名俳優や著名な作家、CEOを含め、7割の人が同じ気持ちを味わったことがあるのだと思い出してみましょう」。

2.思考を改める

自分が詐欺師だと感じない人が、感じる人より有能だというわけではない――この事実を頭に留めておくこと。詐欺師症候群とそうではない人の違いは、単純に"考え方の差"なのだとか。試練に直面したら、「私にこんなことできる訳がない」ではなく、「色々と新しいことが学べる機会だ!」と前向きに捉えてみると良いとのこと。

3.前進あるのみ!

どんなに自信を失くしても、とにかく前に進み続けること。「詐欺師症候群の人は、四六時中、自信を持っていたいと思っています。でも、自信とは常に満ち溢れるものではありません」。

4.完璧な人なんていない

最後に、おそらく一番重要な点として、一見かなり冷静沈着な人でさえ、自分が何をしているのか正確には分かっていないことを覚えておくと良いとのこと。そうすれば、いくらか気も楽になるはず。

デキるキャリア女子にも多い詐欺師症候群。原因不明の自信のなさや自己否定の背景が分かれば、もっと堂々と胸を張って、前向きに仕事にも取り組めそうですね。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)

COSMOPOLITAN UK