2023年アカデミー賞授賞式が3月12日（現地時間）、LAで開催され、ミシェル・ヨーがアジア系として初めて主演女優賞を受賞しました。そのほかインド映画『RRR』の挿入歌が「テルグ語」の歌として初めて受賞するなど、95回目を迎えた今年の授賞式では、「史上初」となる7つの出来事がありました。
また、今回は俳優部門でノミネートされた人が20人にのぼり、そのうち過去最多となる16人が、初のノミネートでした。これも、アカデミー賞に刻まれた新たな歴史のひとつとなりました。
1. ミシェル・ヨーが主演女優賞を獲得
ミシェルはアジア系として初めて、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス（エブエブ）』で主演女優賞を受賞。同時に、この賞に輝いた2人目の有色人種の俳優となりました（1人目は2002年に同賞を獲得したハル・ベリー）。
ミシェルは受賞スピーチで、喜びを次のように語っています。
「今夜（この授賞式を）見ている、外見が私に似たすべての小さな男の子、女の子たちにとって、これは希望と可能性の光です」
「実際に夢は叶うのだということの証明です」
「そして女性のみなさん、あなたの全盛期は過ぎたなどと、誰にも言わせないでください。決して諦めないでください」
2. キー・ホイ・クァンが助演男優賞を受賞
キーはアカデミー賞で賞を獲得した初のベトナム生まれの俳優、助演男優賞に輝いた2人目のアジア系の俳優となりました。
受賞スピーチでは感情的になりながら、「私の旅は、ボートの上から始まりました」と語ったキーは、1978年にベトナムを離れ、家族とともに香港の難民キャンプに避難。翌年、アメリカに移住しました。そしてこの日、ハリウッドの大舞台に立ちこの賞を受け取ったのです。
アジア系で最初にこの賞を受賞したのは、1984年制作の『キリング・フィールド』に出演した、中国人の父とベトナム人の母を持つハイン・S・ニョールです。
3. ルース・E・カーターが黒人女性として初の2度目の受賞
ルースは2019年、黒人の衣装デザイナーとして初めて、衣装デザイン賞を獲得し、歴史にその名を刻みました。
受賞スピーチでルースは、次のように語っています。
「今日の受賞は、この業界が自分たちのためのものではないと感じているかもしれない若い衣装デザイナーたちに、扉を開くものになったと思います」
4. 制作・配給会社「A24」が主要6部門の賞を独占
今回は作品賞、監督賞、そして主演・助演の男優賞と女優賞をすべて、A24が手掛けた作品が受賞しました。6つの賞のうち5つは『エブエブ』が、主演男優賞は『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーが獲得しました。
ブレンダンは受賞スピーチで、「このような大胆な映画を作ってくれたA24に、感謝します」と語っています。
5. インド映画の挿入歌が初めて歌曲賞を受賞
インドのアクション大作『RRR』の劇中歌が、リアーナ、レディー・ガガ、ダイアン・ウォーレンといったほかの候補者を抑え、歌曲賞を受賞。アカデミー賞の歴史に名を刻みました。
「ナートゥ・ナートゥ」はテルグ語の歌として、インド映画の劇中歌として、初めて同賞を獲得し、『RRR』は国際長編映画賞以外の賞に輝いた、初のインド映画となりました。
6. ジャド・ハーシュが新記録を達成
『フェイブルマンズ』で助演男優賞にノミネートされた87歳のジャドは、前回と今回のノミネートの間を最長の41年と341日に延ばし、記録を更新しました（以前はヘンリー・フォンダが、この記録の保持者でした）。
また、ジャドは同賞にノミネートされた2番目に高齢の俳優でもあります。
7. ギレルモ・デル・トロ監督が初の「三冠王」に
『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』で長編アニメーション賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督は、2017年に『シェイプ・オブ・ウォーター』で作品賞と監督賞に輝いており、3賞すべてを獲得した初の監督となりました。
