日本はもちろん、全世界のZ世代や子供たちに大人気の大坂なおみ選手(23歳)。2019年から2年連続で『TIME』誌の「最も影響力のある100人」にも選ばれた彼女は、今までのスター選手とどこが違うのでしょう? 大坂選手の魅力に、コスモポリタン独自の視点で迫ってみました。
大坂選手に会えて、嬉しさのあまり泣き出す少女。
【INDEX】
魅力1:アスリートとしての強さ
「勝とうと思っていた訳ではなく、ただ競技をすることだけを考えていたら、最終的にはトロフィーを掲げていた」(2020年全米オープン後のインタビューにて)
まず特筆すべきは、20歳の時に初めて全米オープン女子シングルスで優勝して以降、既に3度もグランドスラムを制覇してきた異例の勝負強さ。技術だけでなく、メンタル面においてもめきめきと強さを増す彼女の姿が、同じく成長過程にある若い世代の憧れの的となるのは、ごく自然なことと言えるでしょう。
また、今年の全米オープン優勝直後には、かねてから親交があり、今年1月にヘリコプター墜落事故で急逝した元NBA選手、コービー・ブライアントの「8番」のジャージを着てトロフィーを持ち上げる姿も話題に。
かつて落ち込んでいた時に、自分を励ましてくれたというコービーへのオマージュは、多くのスポーツファンの感動を呼ぶと同時に、義理と人情を大切にする彼女の人柄を感じさせる一幕でもありました。
「毎回、試合後はこのジャージを着ていたの。心から、私に強さを与えてくれていたと思う。ずっと愛してるわ」
魅力2:独特のウィットと謙虚さ
2018年の全米オープンでセリーナ・ウィリアムズに勝利した時、観客からブーイングを受けながらも「試合を観てくれてありがとう」と述べ、「全米オープン決勝でセリーナと戦うのがずっと夢だったので、それが叶って本当に嬉しいし、あなたと戦えて感謝しています」と語った場面を覚えている人も多いはず。大坂選手の謙虚な姿勢は、世界中のメディアからも大きな注目を集めました。
また、日本で帰国会見を行った際には、今の気持ちについて聞かれ「今? 眠い」と答えるなど、飾り気のない発言の数々が「なおみ節」と呼ばれ大人気に。
その後もSNSにおける発信力や、インタビューでの親しみやすく朗らかな語り口で人気を獲得し続けている大坂選手。率直でありながら、謙虚さを兼ね備えた独特の魅力は、「ユーモアがあって可愛い」と多くのファンから支持されています。
魅力3:抜群のファッションセンス
カラフル、スポーティ、エレガント…時にはエスニックなプリントも取り入れるバラエティ豊かなファッションも、同性代から注目されるポイントの1つ。背が高く、エキゾチックなビジュアルを持つ大坂選手には、スポーツウェアブランドだけでなく、モード界からもラブコールが。
今年は日本人デザイナー、前田華子が手がけるファッションブランド「アディアム」とのコラボコレクション「アディアム × ナオミ・オオサカ(ADEAM × Naomi Osaka)」を発表し、NYファッション・ウィークのランウェイにも登場。実は昔よく、テニストーナメントの移動時間に、車の後部座席で姉のまりさんとデザイン画のスケッチをしていたそう。
魅力4:対戦相手への思いやり
試合に勝っても驕らず、常に相手を気遣うところも大坂選手が広く支持される理由の1つ。
2019年の全米オープンで大坂選手に敗れ、落胆して涙を流す15歳(当時)のコリ・“ココ”・ガウフ選手を気遣い、本来なら勝者だけが受けるインタビューに誘うという前代未聞の行動に出た大坂選手。優しさと思いやりに満ちた彼女のスポーツマンシップが、多くの人々の感動を呼びました。
「ココの家族とチームの皆さん、以前よく練習場で会っていたことを今でも覚えています。私たち2人ともここまで来ることができたし、お互いに努力を重ねて進歩を続けている。それは素晴らしいことだと思います」(コリ・“ココ”・ガウフ選手との対戦後のコメント)
魅力5 : 発信する力
見事優勝を果たした今年の全米オープンで、もう1つ大きな話題となったのが、アメリカで警察官や白人市民らの行為によって命を落とした、7人の黒人犠牲者の名前が書かれた7枚のマスク。試合に勝ち続けることで7人すべての名前を披露するという、プレーを通じて行われた人種差別に対する抗議活動に、世界中から注目が集まりました。
3度目のグランドスラムを制覇した後、彼女はこのマスクに込めた思いについて、「(犠牲者たちの名前を)もっと見せたいという気持ちが、勝ちたいという思いに繋がり、私を強くしてくれた。人々が話し合うきっかけにしたかった」と述べています。
魅力6: 自分を貫く強さ
全米オープンで7人の名前が入ったマスクを着用した際、「スポーツに政治を持ち込むな」という批判を受けても、「(私がやっていたのは政治じゃないけど)そう言っていた皆さんが、私の勝ちたいという意欲を刺激してくれました」と切り返す頭の回転の速さ。
水着姿の写真をSNSに投稿して、「清楚なイメージを維持するべきだ」というコメントがついたときも、「私が何を着るべきかについて、どうしてあなたが意見するの?」と堂々と反論する強さ。
コートの中だけでなく外でも毅然と振る舞い、媚びることも誤魔化すこともせず、ウィットを交えながら自分の意見をしっかりと口にする。大坂選手はアスリートとしてだけでなく、自分を貫く1人の人間としても、まさに現代を生きる若者たちのロールモデルと言える存在。
だからこそ、これほど多くの人々が彼女に共感し、その魅力に惹かれてやまないのでしょう。