子どもが保育園に通っていた頃のことだった。数カ月に一回お弁当の日があり、私にとっては少し負担だった。子どものお弁当って、結構ややこしい。おはしがあまり上手じゃないから、おかずも小さめに作らなければならないし、キャラ弁旋風が吹き荒れたこともあって、なんだかちまちまとした作業が必要だった。つまり、私の中では大変面倒な日であった。
たぶん、私のそんな気持ちにうすうす気づいたのだろう、保育士さんが、「おかずおにぎりでいいですよ!」と言ってくれた。意味がよくわからなかった。おかずおにぎりってなんですか? と聞くと、「前の晩のおかずを、おにぎりの具にしてくれればいいんですよ! 簡単でしょ!? 栄養バランスばっちりだし、子どもは大好きなんですから!」
まあ、確かに簡単なんだけど、それっておいしいのだろうかとしばし考え、まあいいや、一度やってみようと作ってみた。初めて作ったおかず入りおにぎりは、冷凍のプチハンバーグとほうれん草のおひたし、それからうずらのたまごを半分にして入れた。試しに食べてみた。そして、想定外のおいしさだと気づいた。これはいいのではないだろうか!
そして今となっては、私のランチはだいたいおかず入りおにぎりだ。具はきんぴら、卵焼き、ソーセージ、ひじきの煮物、チーズ、野菜炒め、梅干し、タケノコの煮物などなど。組み合わせを変えれば何通りでも楽しめる。汁気の多いおかずを握るときは、汁気を軽く切って、具材とごはんの間に大葉を一枚入れるといい。とにかく、なんだっていいのだ。前の晩のおかずで残ったもの、あるいは、冷蔵庫にあるお漬け物など、食べやすい大きさに切って、組み合わせておにぎりにしてしまう。成功の秘訣は、卵焼きを入れることだ。なぜか卵焼きと相性がいいのだ。
ランチにもおやつにも、とても便利で簡単。なにより、ゴミが少ないのがいいし、食材を使い切ることだってできるから気分がいい。仕事が忙しい時の簡単即席ランチでこれ以上のものはない。ごはんを酢飯にしてもGOODだ。是非作ってみてください。
さて、約2年にわたりお読みいただいたこの連載も、今回が100回目、そして最終回になります。日々のごはん作りがとても大変で、なんとかして楽にならないかと苦し紛れに考えた、私の超簡単(ずぼら)なレシピが、みなさんにとってわずかでも助けになったのならば、とても嬉しく思います。
それでは最後に、アメリカの料理研究家キャスリーン・フリンのこの言葉で「村井さんちの田舎ごはん」を締めくくりたいと思います。
「焦がしても、落としても、煮すぎても、生焼けでも、味気なくても、食事の仕度に失敗したって、それでもいいじゃない。たかが一回の食事なんだもの。明日になったらまた作ればいい。百年経てば誰も違いなんてわからないのだから」
読者のみなさま、長い間お読みいただき、本当にありがとうございました。
材料 (2人前)
おかず 適宜
ごはん 適宜
塩 適宜
♦【村井さんちの田舎ごはん】まとめはこちらでチェック