ファッションの影響力は絶大。特に、日常的に注目を集めるファーストレディにとっては最重要項目の一つ。長い歴史の中で、ファーストレディたちはレースのドレスやローカットのトップス、またはパンツスーツを着用してアメリカの人々とコミュニケーションをとってきた。
うまくいけば、ファーストレディは自身のファッションにメッセージを込めることもできるが、一歩間違えれば大炎上につながることも...。そんな彼女たちのファッション史を「Hearst Contents Hub」がおさらい!
マーサ・ダンドリッジ・カスティス・ワシントン(1789年)
18世紀後半、当時最も裕福な女性の1人だったマーサ・ワシントンは、最高の生地で作られたガウン・マント・ヘッドピース・グローブをチョイス。
マーサの最も注目すべきファッションであり、結婚式で履いたロイヤルパープルシルクの靴は、“当時のマノロ・ブラニク”とも言われている。
アビゲイル・スミス・アダムズ(1800年)
他のファーストレディとは異なり、フランスのファッションを否定していたアビゲイル・アダムズは、ハイカラーのドレスを着用。
マーサ・ジェファーソン・ランドルフ(1805年)
幼い頃に母を亡くしたマーサ・ジェファーソン・ランドルフは、1801年に父トーマスが米国大統領に就任すると、ファーストレディの役割を引き受けた。
ホワイトハウスにいることはあまりなかったそうだが、ヴィクトリア朝に流行していた、パープルのリボンがついたフリルのハットがお気に入りだったよう。
ドリー・ペイン・トッド・マディソン(1810年代)
元クエーカー教徒のドリー・マディソンは、信仰により控えめな衣装に身を包んでいたが、棄教するとそれが一変。ナポレオンの時代に人気のあったローカットドレスをまとうようになり、“女王らしい”ルックに。
エリザベス・コートライト・モンロー(1820年代)
夫が大統領になる前、エリザベス・コートライト・モンローは、パリとロンドンで4年間暮らしていた。
欧州のファッションに馴染みのあった彼女は、ホワイトハウスでのイベントには大抵キャップスリーブのドレスとショールを着用していたという。
ルイーザ・キャサリン・アダムズ(1825年)
ルイーザ・キャサリン・アダムズは、夫の希望に反して、手作りのフェイスパウダーと口紅を使ってメイクを施した最初のファーストレディと言われている。
彼女は、真っ白な肌とは対照的なダークカラーのドレスを着ることが多かったため、肌の色とドレスの色のバランスを取るためにメイクをしたいと思ったのだそう。
アンジェリカ・シングルトン・ヴァン・ビューレン(1840年)
大統領になる前に妻を亡くした義父を助けるため、21歳の若さでファーストレディになったアンジェリカ・シングルトン・ヴァン・ビューレン。
当時のトレンドに合わせ、髪型は縦巻きロールにフェザーのヘアアクセサリーを身につけ、オフショルダーのガウンをまとっていた。
サラ・チルドレス・ポーク(1845年)
19世紀の多くの女性たちと同様に、サラ・チルドレス・ポークもパリのファッションに夢中に。フランスから輸入した、エレガントなドレスとヘッドピースを着用していたと伝えられている。
生地はベルベットやサテン、シルクのような高級な素材で、フリンジやリボン、レースの装飾が施されていた。
アビゲイル・パワーズ・フィルモア(1850年)
外見にとても気を遣っていたアビゲイル・パワーズ・フィルモアは、髪を整えてもらったり、ドレスをデザインしてもらうための人材を雇用。
彼女は、ミシンで作られたドレスを最初にまとったファーストレディとも言われている。
ジェーン・ピアース(19世紀)
夫の就任式に向かう途中、列車の事故により11歳の息子ベンジャミンを亡くしたジェーン・ピアース。そのため、ファーストレディとしての最初の2年間は喪に服し、黒のドレスとアクセサリーのみを身につけていた。
ハリエット・レベッカ・レーン・ジョンストン(1860年)
1860年当時の“ジャッキー・ケネディ”とも言われていた、ジェームズ・ブキャナンの姪ハリエット・レーン。最も注目したいのは、彼女が伯父の就任式に着用していた“かなり”ローカットなヨーロピアンスタイルのドレス。
通常よりも首のラインが2.5センチほど下げられたこのドレスは、当時女性たちの間で大ヒットした。
メアリー・トッド・リンカーン(1861年)
ご覧の通り、派手なものを好み、お金に糸目をつけなかった彼女は、予算を20,000ドル(現在で約200万円)も上回っていたという…!
イライザ・マカーデル・ジョンソン(1865年)
他のファーストレディのような、オープンな振る舞いを好まなかったイライザ・マカーデル・ジョンソン。普段は、襟の詰まったダークカラーのドレスや髪を覆うようなショールなど、保守的な着こなしをしていた。
ジュリア・デント・グラント(1876年)
国立アメリカ歴史博物館によると、ジュリア・デント・グラントは、アメリカ製の服にこだわって選んでいたという。高級感のある生地に、パールやダイヤモンドのようなジュエリーを合わせてゴージャスに。
ルーシー・ウェッブ・ヘイズ(1877年)
ルーシー・ウェッブ・ヘイズは、当時のトレンドだったモデストな装いにこだわり、首元や腕をカバーする柔らかな色合いのドレスを着用していた。
ルクレティア・ガーフィールド(1881年)
わずか半年でファーストレディの務めを終えた、ルクレティ・ガーフィールド。夫の就任式の舞踏会では、ラベンダーのハイカラーガウンをまとっていた。
フランシス・フォルサム・クリーブランド(1886年)
肌の見えるドレスを着続け、物議を醸したフランシス・フォルサム・クリーブランド。『タイム』誌によれば、キリスト教夫人矯風会は彼女のそんなスタイルを良しとせず、着用を止めるように嘆願書を出したものの、フランシスは無視していたという。
キャロライン・スコット・ハリソン(1889年)
キャロライン・スコット・ハリソンのファーストレディとしてのファッションを、『フィラデルフィア・タイムズ』は“アメリカ人女性の賢明な模範”と評していた。
控えめなワードローブが多く、ビーズがあしらわれたニュートラルカラーの花柄ドレスは、アメリカ製なのだそう。
アイダ・サクストン・マッキンリー(1900年)
ベルギーへの旅行中、アイダ・サクストン・マッキンリーは自分が購入したレースを作る労働者たちの状況を知り、ショックを受けて、労働者たちのためにできる限りサポートすることを決意。
イーディス・カーミット・ルーズベルト(1902年)
プライバシーを守ることにこだわっていたイーディス・カーミット・ルーズベルトが頻繁にまとっていたのが、トリムスカートとギャザースリーブのハイウエストドレス。
同じ服を何度も着用し、記者に対して「あなたは私よりも大きなクローゼットを持っているでしょ?」と思い込ませていたという。