ミーナ・ハリスは法律家であり、活動家、そして米大統領選で勝利し、次期副大統領となることが確実になったカマラ・ハリス上院議員の姪でもある。

選挙活動中は「野心的すぎる」とも批判されたハリス議員が選挙後、支持者たちの前で行った勝利宣言を受け、ミーナがその歴史的な瞬間と「野心を大切にすること」の重要性について、US版『エル』誌に語った。


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語り:ミーナ・ハリス

「野心的」という言葉

なぜメアリー・J. ブライジの曲『Work That』が、“ストラット(曲に合わせて気取って歩くこと)のアンセム”と呼ばれているのか知らない人は、ぜひ、私の叔母であり米副大統領となることが確実になったカマラ・ハリスが雨の中、コンバースのチャックテイラーを履いて踊る姿を見てほしい。

メアリーはこの曲のなかで、「焦らないで、自分らしく」、私たちを抑え込もうとする人たちは「怒らせておけばいい」「どっちにしても、嫌がられるのだから」と歌っている。この曲は、私の叔母と私の母(そして私)を育てた、祖母のような女性たちへの讃美歌のようなもの。

こうしたタイプの女性たちを表すものとして、「野心的(Ambitious)」という言葉がある。私は自分の娘たち、そして世界中のすべての少女たちに、この言葉がとても力強く、良いものを表しているのだということを理解してほしいと思っています。

カマラ・ハリス
Drew Angerer//Getty Images

ハリス家にとっての「野心」とは?

成長するなかで私は、誰もが「野心」について、私たち家族と同じ見方をしているわけではないことに気づきました。ハリス家では、野心は勇気を意味するもの。目的を持って生きること。けれど、他の多くの人たちにとって野心、つまり女性の野心は、「あなたのために取っておかれたわけではない“場所を取ること”」を意味する暗号でした。

ここ数年、アメリカ人は性差別的な“犬笛”(仲間だけに通じる暗号)に対する理解を深めてきたように思います。その犬笛は今、まるで拡声器から聞こえる音のようになっている。今回の大統領選は、私たちが今もそうしたいくつもの暗号を耳にしていることを、改めて思い出させてくれました。さらに、「けたたましい、自己主張が強い、偉そう、しぶとい」など、この「野心」という言葉の悪意ある類語についても。こうした言葉から身を隠すようにして、一生を送ることもできる。けれど、私たちはそうする代わりに、これらの言葉の解釈を変え、改善していく必要があるのです。

女性のために、「野心」の解釈を変えたい

少女たちや女性たちに“場所を設け”、力を持つことを学んでもらう必要がある――叔母が勝利宣言で示してくれたように野心的な少女たちに希望を与えれば、彼女たちは野心的な女性に成長する。そして、野心的な女性たちは壁を壊し、天井を打ち破り、勝利することができる。

私は、女の子たちが守られ、管理され、やる気や粘り強さよりも謙虚さや礼儀正しさを大切にするよう教えられる家庭で、こうしたことも教えられることを願っている。そして、女の子は男の子より「きちんと、しずかに」、“正しい方法”で物事を行うことによって褒められることが多い学校でも、これらが教えられることを願っている。

学校では、遊んだり身体的なリスクを冒したりする自由な女の子は評価されにくい傾向にあると思います。ティーン(13歳以上)になると、女子の自分自身に対する自信が30%低下するといわれることにも、関係している気がします。さらに、性別によるこうした構造的な差は、大学生になっても、社会人になっても、ずっと残り続けるのです。

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大人には「学習解除」が必要

大人たちにも、このことを学んでほしいと願っています。それは、私たちは自分の野心についての“学習解除”が必要だと考えているから。

「女性の野心、特にトランスジェンダーや有色人種の女性たちの野心は脅威ではない」と理解すること。女性たちも、自分が成し遂げたことを称え、願望を持つことを尊重し、そのことを誰はばかることなく大きな声で、はっきりと口に出すことの大切さをわかってほしい。

こうした学習解除は、アヤンナ・プレスリー(政治家)やセリーナ・ウィリアムズ(プロテニス選手)、ミンディ・カリング(女優)、ミーガン・ラピノー(プロサッカー選手)、ミーガン・ジー・スタリオン(ラッパー)、そして叔母カマラのような、すさまじく強く、野心的な女性たちが努力の対価として得たものを手にする様子を見ることでも、実現されると私は思っています。

「勝利宣言」とともに祝ったもの

叔母は11月7日(現地時間)に改めて、初のアフリカ系、初の南アジア系、そして初の女性の次期副大統領として、世界に紹介されました。私は二人の幼い娘と一緒に叔母とステージに立ち、「勝利宣言」を聞きました。

叔母は世界中の子どもたちに向かってこう語りかけたのです。

「野心を持って夢を見て。信念を持って先導し、他の人はしないような見方をしてください」

その夜、そのデラウェアの会場で、歓喜に包まれた聴衆とまぶしい光、車のクラクションのなかで、私が祝ったのは、歴史的な勝利だけではありません。叔母をホワイトハウスにまで押し上げた「野心」がようやく、ステージ上にいる私の娘たち、そしてアメリカ中の少女たちにとって「普通のもの」になったという現実を、祝っていたのです。

※この翻訳は抄訳です

Translation:Hearst Contents Hub

From: ELLE JP