モデル、俳優、お笑い、スポーツ…さまざまな世界で、日本では日本育ちのハーフのタレントたちが注目を浴びている今。
日本ではハーフというと「注目を浴びやすい」「華やかな毎日」というイメージがあるものの、その反面、当人たちは「疎外感を感じる」「自分のアイデンティティに悩む」ということが多いみたい…。では、日本から離れた海の向こうで育つ日本人と外国人のハーフの人たちはどんな暮らしをしているの？
イギリスで生きる、日本人のお母さんを持つ10代の男女3人に、等身大の自分や夢について語ってもらいました。
とってもうるさい子供だった―クミ・マッケナさん
ファイナンス関係で働くキャリアウーマンの母親の元、スコットランドで生まれ育ったクミさんは、もうすぐスコットランドのアバディーンの大学に進学予定。外国人のほとんどいない町で育ったクミさんは母親ともとっても仲良し。趣味はコスプレと語る、涼しげな目元が印象的な女の子です。
―子供時代は、どんな子だった？
とっても声が大きくてうるさい子供でした。反面内弁慶で、馴染みのある人には生意気に振る舞うのに、見ず知らずの人の前では借りてきた猫のように大人しかったですね。公園に行ったり、走り回るのもお絵描きも大好きでした。その頃の私の親友は幼稚園で2歳から一緒だった子。今ではたくさん友達ができました。
―日本の好きなところと苦手なところはありますか？
日本で苦手なのは「周りと同じに振舞わないといけない」と感じること。日本にいるとジロジロと、しかも人によっては堂々と私を見る人がいる…これが苦手です。人と違っていることは日本では困難なことなのかなと感じます。みんな（外見で）いろいろ憶測してきますからね。将来、日本のこういうところは変わってほしいなと思います。
私が日本で好きなのはファッションと都市。東京と福岡はまるでSF映画みたいでした！ それとファッションも独特ですね。私の持っている服のほとんどは日本で買ったものなんですよ。
―今、夢中になっていることや将来はどう考えてる？
今は高校を修了するのにあくせくしている真っ最中です。夏休み明けには大学進学が控えていて、そこでコミュニケーション・デザインのコースに進むんです。コースにはイラスト、グラフィックデザイン、写真などの科目があります。私の希望は大学院まで進むこと。将来は出版社や新聞社で紙面のレイアウトの仕事がしたいですね！
―好きな日本の食べ物は？
私は天ぷらが大好きなんです！ 日本では必ず「天や」に天丼を食べに行くんです。ヘルシーじゃないのはわかってるんですけどね。イギリスの食べ物で大好物はマッシュポテト。すごく単純ですよね、でも何と一緒に食べるかで味が変わるから好きなんです。
―ハンサムだと思う日本のセレブは？
日本のセレブはあまりよく知らないんですけど…福士蒼汰さんはアニメ関係の仕事もしていてとても可愛いと思います！ イギリスのセレブでとてもハンサムだと思うのは（ダイビングの）トム・デイリー選手。人柄もいいし、才能のある人だと思います。
ちょっと普通じゃないキャリアを邁進中―ジャスティン・キャンベル＝プラット君
イギリス人の元大学教授の父親と日本人の芸術家兼教師の母親を持つジャスティン君は、イングランド南部出身。小学生の頃プチ家出をした時に、バッグの中に入っていたのは食べ物でもお金でもなく「『ジョーク集』という本だった」というお母さんが話してくれた通り面白いキャラクター。高校生の頃からデザイン事務所でデザイナー見習いをしたり、自分のプロジェクトを立ち上げたりととてもアクティブ！
昨年ロンドン美術大学に進学するも、コースに飽き足らず進路変更し、若干19歳ながらデザイナーとしてロンドンで就職。そんなジャスティン君に子供時代、青春時代そして将来の夢を語ってもらいました。
―子供時代は、どんな子だった？
明るく、人に囲まれた子供時代でした。幼稚園に行くとまず「何をしようかな」より「誰と遊ぼうかな」と考える子でしたね。人に興味があって、人といるのが好きな子供だったんです。なので高校生になった時、友達が僕と一緒にいるより、学校の人気グループとつるむのを選んだ時には結構傷つきました。でもその経験から、本当の友情を大切にすることや、自分自身の時間を持つことの良さに目覚めたんです。
僕は、「周りから浮く」というのはどんなことなのか、よくわかってる子供でした。僕の友人はみんな白人のイギリス人ばかりでしたから。周りに合わせる子でもありましたね。でも、成長するにつれ、自分が周りと違うのは見た目だけのことじゃなくて、興味の方向性や熱意の方向性じゃないかなと思うようになったんです。
僕にはいろんな近しい友達がいますが、中に1人、同じようにイギリス生まれで日本人と非日本人のハーフの友達がいるんです。僕は彼とは他の誰とも共有できない理解と共感を持ってるんです。
―日本の好きなところと苦手なところは？
僕の頭の中では、日本は静寂で、喜びと、愛に満ちた夢の世界ですね。僕のお母さんは1人っ子なので、いとこもいないし、僕の日本の家族はとても小さなものです。その反面、僕の友達は日本中のあちこちに散らばっているので、彼らを訪ねることでそれぞれの地域社会からの側面で見る機会がありました
日本に関して面白いなと思うのは、過去と未来が絶妙なバランスで共存していること。明るくてカラフルな東京のような大都市の風景は、馴染みがありながらどこか斬新で、友人たちの多くも惹きつけられるだろうと思うんです。同時に、代々受け継がれてきた、豊かな日本文化も大好きなんです。壮大な寺院、こじんまりとした庭園、幾重にも重なった屋根瓦…この日本の両極端が、僕は大好きなんです。両極端の世界が魔法のように混在して描くコントラストに僕は強い魅力を感じるんです。
残念ながら、同時に人々が過酷な労働をしていることも知っています。僕は一部日系のUKの技術系企業で働いたことがあるんですが、そこにある重圧や非生産的な側面を垣間見ました。僕自身ワーカホリックで向上心旺盛な人間ですが、生産性の低い労働環境というのはやる気が削がれますね。
―今夢中になっていること、将来のことを教えていただけますか
僕は自分の周りの19歳とはちょっと違ったキャリアを歩んでるんです。
今は、UI/UXデザイナーとしてTouchNoteという、ロンドンのアプリ制作会社で働いています。スマホで撮った画像から、実物のハガキや、その画像が印刷されたキャンバスを制作できるアプリを作っている会社です。顧客や製品にきちんと気を配る会社、これは昨今では珍しいんじゃないかと思うんです。
あと、早朝5:00から出勤までは、僕は書き物をしてるんです。僕はbetterforcused.comというサイトを運営していて、生産性、集中力、人生のレッスンについて発信しているんです。最近では、Thought Catalogというオンラインマガジンの記事にも執筆しました。
今のところの僕の夢は、好きなことを常に続けていくことですね。今までいろいろな人にアイディアをクリアにして集中する方法を教えてもらったので、今度はそれを僕が紹介していく…人の役に立つ仕事だと思っています。
―好きな日本の食べ物は？
うどんです。もう言葉は要りません！ （日本食の枠を超えて）僕の最も好きな食べ物です。
皮肉なことに、実は僕はサーモンにアレルギーがあるんです（注：イギリスではサーモンはお寿司の最もポピュラーなネタ）。なのでお寿司はダメなんですよね。
―ハンサム／美人だと思う日本のセレブは？
僕は渡辺謙の大ファンなんですよ。彼は本当にクールなオーラを発している人だと思います。静かで自信に満ちた容貌と演技力。そして僕の大好きな映画『インセプション』を始め、彼がハリウッドでも質の高い映画に出演しているのも納得です。
女性のセレブですか…ちょっと思い浮かばないです。でも日本に行くたび、日本の女性が派手なメークをしてなくて、ナチュラルなのは、素敵だなあと思っているんですよ。
親友の存在が私を変えた―エイミー・キャンベルさん
エイミーさんは、スコットランド生まれ。母親はなんと日本人の日舞の舞踏家。もうすぐ大学進学を控える忙しい毎日を送っている彼女は、幼稚園から中学卒業まで現地校と日本語補習校に11年間も毎週通っていたという努力家！
日本から遠くスコットランドにいながら、日本人や日本人社会に触れることが多かったというエイミーさんの日本への想いはどんなものなのでしょうか。
―エイミーさんはどんなお子さんでしたか？
静かな子だったと思います。でもある日、道を挟んで反対側にメレディスという女の子が引っ越してきて。彼女とは親友になったんですが、メレディスに出会ってからどんどん自分に自信が持てるようになってきたんです。
―日本の好きなところと苦手なところを教えてください
文化と食べ物が大好きです、それに日本には私の親戚も住んでいますからね。苦手なところというと特に思い浮かばないんですけど…時々ちょっと奇妙な伝統に直面して戸惑うことはありますね。
―今、夢中になっていることや将来のことを教えていただけますか？
今は運転免許を取ろうと頑張っているところなんです。それと、カレッジのコースのプロジェクトに時間を費やしています。私の夢は世界中を旅すること。グラフィックデザイナーになる勉強をしているんですが、グラフィックデザインの仕事をしつつ、できるだけ多くの国に行き、そこに住んでみたいですね。
―好きな日本の食べ物は？
焼きそばと餃子です。餃子は私のお母さんの故郷の栃木県宇都宮の名物でもあるんです。一番好きなイギリスの食べ物は、チップス（フライドポテトのイギリスの呼び名）！ いっぱいお酢とかけて、トマトケチャップを添えたもの！
―ハンサムだと思う日本のセレブは？
特に思い浮かびませんね、でもイギリス人に関して言えば、バンドをやってる男性はみんな魅力的だなぁと思います。
