マーベル・スタジオの最新作『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で、初のアジア系マーベルヒーローを務めているシム・リウ。そんなシムが、アジア系アメリカ人・カナダ人コミュニティでの“男らしさ”へ問題提起をしたことが話題に。

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The Hollywood Reporter's Hollywood Remixed』のポッドキャスト番組では、これまでのハリウッドのアジア系の描かれ方について言及。白人監督の作品の場合、アジア系はエキゾチックで不思議な存在として描かれていることが多かったと話した。

こうしたことからシムは、幼い頃からステレオタイプに悩まされ、自分に自信が持てず、アジア系男性の友人の多くも同じような苦悩を抱えていたとコメント。

gold house special screening of marvel studios' "shang chi and the legend of the ten rings"
Michael Loccisano//Getty Images

しかし、中にはそのような経験をしたアジア系男性が、アジア系女性を批判するという問題が起こっていることも指摘。

「コミュニティの中では、アジア系男性が『アジア系女性は優遇されているじゃないか』と攻撃し、危険な言い分が話されていることもあります。これは、アジア系女性の方が、アジア系男性よりも魅力的で、社会的地位が高いと見られているからです」
「私はこういったコミュニティ内の争いを憎んでいます。お互いに高め合って、支え合うべき。それ以前に、アジア系男性もアジア系女性も、同じような問題に直面しているのは明らかです。私たちの経験の多くは主に白人の視点で定義されてきました。お互いにその影響を受けているものの、場面が異なるだけです」

シムの話す「優遇」とは、ある特定の人種や性別のグループに属する人が、得ている特権のこと。ここでいうアジア系女性の特権とは、欧米でアジア系女性の方が、アジア系男性よりも“モテる”傾向があることを指している。

しかし、これは必ずしも良いこととは言い切れない。たとえばハリウッド映画では「アジア系女性=シャイで性的な存在」として描かれていることが多く、そのイメージが偏見や差別にもつながっているという。

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Axelle/Bauer-Griffin//Getty Images

そしてシムは、こうした状況を改善するためにも、アジア系アメリカ人・カナダ人の“男らしさ”へのステレオタイプを変えていかなければいけないと話した。

「私の望みは、アジア系男性が“男らしさ”について語ること。“男らしさ”を奪われてきたことや、これからどのように発展させたいか、そして“男らしさ”の本当の意味を再定義することです。なぜなら、アジア系男性の“男らしさ”という言葉は長いこと存在しなかったから。だからこそ、昔から言われてきた欠点だらけの“男らしさ”を使う必要なんてないんです」

そして“男らしさ”も、ボディイメージに対して包括的であっていいと話し、次のように加えた。

「男性の弱さや、男性の友達や周りの人と気持ちについて話せることは良いことだと思いませんか? そして女性を尊敬し、アジア系女性、すべての人種マイノリティグループと共にお互いを高め合い、お互いのより良いアライ(味方)になることについて話しませんか?」
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※この翻訳は抄訳です。

Translation: Haruka Thiel

Digital Spy