“細い=美しい”という価値観が過去のものとなりつつある昨今ですが、それでもまだSNSなどで外見を揶揄する投稿やコメントが散見されたり、見た目によって差別された経験を持つ人は少なくありません。
本記事では、「体重に関わらず自分の人生に満足している」と話す、ニュージャージー在住のライター、エンジェル・マディソンさんが、日常生活のさまざまな場面で遭遇する出来事や学びを<delish>にて告白。
エンジェルさんの綴るエッセイからは、プラスサイズの人が直面する肉体的・精神的な闘い、そして体重だけが私たちを定義するものではないことに気づかされるはず。
【INDEX】
- 医師からも見た目で判断される
- SNSに投稿すると「勇気がある」と言われる
- 自分のサイズの服が見つからないことも
- 旅行には入念な計画が必要
- 食べ物のことを考える時間は多いけれど、皆が想像するようなものではない
- 人の不親切によく気がつく
- 痩せようとすることは、自分にとって幸せなことではない
文:エンジェル・マディソンさん
医師から見た目で判断される
ある時、私の食事日記を見た医師から「体重が増えているのはニンジンを食べすぎているせいだ」と言われたことがあります。カップケーキの食べすぎを指摘されるならわかります。でも食事内容は、野菜、赤身のタンパク質、そして時々のサツマイモ。食べた量よりもずっと多くのカロリーを消費しているにもかかわらずです。
またある時は、重いダンベルで首を痛めて病院へ行くと「少し痩せれば良くなるかもしれませんね」と言われたり、私は糖尿病ではないにも関わらず、見た目だけで糖尿病だと思われたり。
最も象徴的な例は、グレープフルーツほどの大きな腫瘍が見つかって、原因がわからないまま6年間で10人以上の医師や専門家をめぐったこと。最終的に原因を突き止めてくれたのは、外見だけで「食生活を変えなさい」とアドバイスしてきた人々ではなく、時間をかけて話を聞いてくれた医師でした。
SNSに投稿すると「勇気がある」と言われる
かわいい服や水着を着た写真をSNSに投稿すると、必ずと言っていいほど、肌を見せることについて「勇気がある」というコメントが寄せられます。DMでは、健康に関するおせっかいなアドバイスが送られてくることもあります。
かつて友人だと思っていた人たちからは「娘のためにも痩せたほうがいい」とか、「痩せていた頃のほうが健康的で素敵だったから、ダイエットに挑戦してみてはどうか」と言わることも少なくありません。
自分のサイズの服が見つからないことも
多くの人気ファストファッションブランドでは、サイズ16(19号相当)以上の選択肢はありません。広告で「2XL(21〜23号相当)を展開している」と書かれたブランドを見てみても、せいぜいサイズ14(17号相当)が限度。本当の意味でプラスサイズではないものをプラスサイズと表記していることも多々あるのです。
状況は、良くなってきてはいます。私が一般的な体型だった20代の頃は、ファッションの選択肢はほとんどありませんでした。今では「Torrid」や「Dia and Co.」のように、プラスサイズに特化したブランドがいくつかあります。それでも、多くの服は私よりも背の高い人向けに作られているので、パンツやスカートの裾上げは欠かせません。
旅行には入念な計画が必要
電車やバス、飛行機は快適ではありません。私の場合、隣の席の邪魔にならないように、アームレストを腰に突き刺すようにして座ることを余儀なくされます。シートベルトもきついので、Amazonで購入した延長ベルトを持参する友人もいます。
目的地に着いてからも、ミュージカルの鑑賞やレストランでの食事を楽しむには、ソーセージのように身体を押し込み、座席に収まるストレスがつきまといます。そのため、事前に通路側の席を確保したり、広めの座席をリクエストする必要があるのです。
食べ物のことを考える時間は多いけれど、皆が想像するようなものではない
四六時中、豪華なデザートのことを考えているわけではありません。それどころか、仕事が忙しいときには、食事を忘れてしまう日もあるくらいです。
でもレストランに行くと、周りの人の注文を確認して、自分だけが太りそうなものを注文していないか…と、気をつけています。痩せている友人はチーズケーキを全部食べている写真をSNSに投稿していますが、私はコメントを恐れ、食べもの中心の写真を投稿することを躊躇してしまいます。
人の不親切によく気がつく
去年の夏に家族と行った牧場で、ある女性スタッフに「馬の背中を痛めるかもしれないから、乗馬は遠慮してほしい」と言われました。これだけならそれほど悪いことではないのですが、大声で、家族やその他たくさんの人がいる前で言い放ったのです。すごく恥ずかしかったですし、このような話は他にもたくさんあります。
痩せようとすることは、私にとって幸せなことではない
もっと痩せていたら、と思うことも多々あります。足の毛を剃るのになかなか手が届かない時などもそう。でも、今より体重が140ポンド(約63.5kg)軽かった頃の私は、空腹で怪我しやすく、常に疲れていました。
ハーフマラソンやトライアスロンに必死に挑戦し、1日2回ワークアウトして摂取カロリーにも気を使っていましたが、それでも医師からは「太りすぎだからもう少し痩せた方がいい」と言われていました。
その頃、子供にも食べ物や体重の話ばかりしていたので、“痩せることが人生で最も重要なこと”という価値観を植え付けてはいないかと心配です。
今の体型では、ヨガに挑戦した後、一人で立ち上がることができないこともありますが、それでも今の自分で幸せだと心から思えること、そして10代の娘に“何が本当の幸せか”を見せることができていることを嬉しく思います。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:TOMOKO NOURRY
delish