スコットランドに暮らすナタリー・サンダースさん(30歳)は、 2018年に現在の伴侶であるイドリース・モハマドさんと交際をはじめ、ほどなくして最愛の息子、ジーク君が誕生しました。

そんな彼女が5月8日(現地時間)、グラスゴーにあるクロスバスケット・キャッスルで結婚式を挙げ、メディアの注目を集めています。なぜならこの結婚式は、彼女の人生における“最後の願い”だったから――。

昔からずっと、自分の家族を持つことが夢だったというナタリーさん。その夢が叶った矢先に、悲劇が彼女を襲いました。2019年10月、ナタリーさんはステージ3の乳がんと診断されたのです。

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Glasgow Live>によると、ナタリーさんはその後あらゆる治療を受け、2020年5月には医師から「寛解した」と告げられたそう。しかしそのわずか1カ月後、再び右胸に痛みを覚えて検査を続けたところ、がんが転移していることが判明し、9月に「余命は半年から1年」という宣告を受けました。

当初は絶望に打ちひしがれ、涙に暮れたというナタリーさん。けれど、残された時間はあとわずか…その事実に向き合った彼女は、こう決意したそうです。

「ジークのために、強くあり続けようと決めました。息子の前では病気について話さないというルールを設け、公園に行ったり動物園に行ったり、家族の思い出作りに専念することにしたんです」
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また、イドリースさんが「今すぐ君と結婚したい」と言ってくれたため、身内や友人たちからの資金援助と協力を得て、結婚式に向けたプランニングも開始しました。

しかし、パンデミックによる会合の規制や、ナタリーさんの体調が安定しないことなどから、結婚式は幾度も延期に…。「式の日まで生きられないかもしれない」という不安も頭をよぎったと言います。

それでも周囲の人々の支えと、ナタリーさんの懸命な健康管理が身を結び、今月めでたく、仲間たちに見守られながら結婚式を挙げることができました。

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「息子が生まれた日の次くらいに、人生で最高の1日でした」と、結婚式を振り返るナタリーさん。彼女がどうしても式を挙げたかった理由は、やはり息子のジーク君を想ってのことでした。

「ジークは私たち夫婦にとって、この世界の全て。結婚式を切望した理由の1つは、私たちの特別な日の美しい記憶を、息子の心に残してあげたかったからです」

さらにナタリーさんは、イドリースさんのためにも、ある準備を進めて来ました。それは、自分のお葬式の指示書を作ること。この件について、彼女は次のように述べています。

「流してほしい音楽など、自分のお葬式についての希望をすべて書き出しました。いざその日がやって来たら、イドリースはきっと冷静に対応できないと思うので、余計なストレスをかけたくないんです」
「まさか、自分の結婚式とお葬式の準備を同時にすることになるとは思ってもいませんでしたが、素晴らしい人生を生き、愛を見つけ、家族を持つことができた私は、幸運な人間だと思います」

とはいえ、ナタリーさんは決して、残りの人生を諦めたわけではありません。病気が完治する見込みはなくとも、進行をできる限り遅らせるため、食事療法や飲み水などに気を配りながら生活しているそうです。

「少しでも長く息子のそばに居られるなら、私は何だってやるつもりです」と語るナタリーさん。強く前向きな彼女と、愛する家族とのかけがえのない時間が、どうか1日でも、長く続きますように。