2013年、オーストラリア出身の写真家ジェイ・ワインスタインさんは、写真を撮りながら旅をしていました。ある日、インドのビーカーネールの街中を歩いていると、道端のバイクに寄りかかっている男性が視界に入ったそうです。

ジェイさんは男性に惹かれるものを感じましたが、素通りして別のものを撮影し続けました。すると、男性の方から「俺の写真も撮ってくれよ!」と声をかけて来たのだとか。

ジェイさんは咄嗟に、「笑って!」と言ってシャッターを切りました。これがすべての始まりとなり、以降彼は7年以上に渡って、人々に笑顔の魅力を伝える「So I asked them to smile(そうして私は、彼らに『笑って』と言った)」というシリーズを撮り続けているそうです。

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インドのケーララ州にて。
中国福建省泉州市にて。

ジェイさんの作品の被写体は、すべて旅先で出会った見知らぬ人たち。

「このプロジェクトで最も好きなのは、恐怖心と向き合いながらも、初対面の人に声をかけざるを得ない点です。(相手の笑顔を見たら)自分が彼らに抱いていた先入観が、いかに間違っていたかを繰り返し思い知らされるのです。そして何より、人々の分断が生じている今の時期に、このプロジェクトは私たちが多くの共通点を持っているということを、心の奥深くの、愛に満ちた部分で思い出させてくれます」と、ジェイさんは<boredpanda>に語っています。

オーストラリアのメルボルンにて。
インドのナガランド州にて。

ジェイさんは長年インドに滞在していたため、彼の作品の大半はインドで撮影されたものですが、他にも中国やシンガポール、ケニア、ネパール、そして自国のオーストラリアなどで撮影を行ってきたそう。

コロナ禍が落ち着いたら、地球上のすべての国を訪れて、人々の笑顔をカメラに収めることを夢見ているのだとか。

ケニアのナイロビにて。
中国の北京にて。

ジェイさん本人は、このプロジェクトについて「特に伝えたいメッセージがあるわけではない」と述べていますが、撮影を続ける中でわかったことがあるそうです。

「『So I asked them to smile』を通じて、我々人間には、思っていたよりも遥かに多くの共通点があることに気づきました。ただ笑顔を浮かべるだけで、階級や経済的地位、民族、性別、宗教、住んでいる場所など、あらゆる壁を超えて相手の心に語りかけることができるのです

オーストラリアのメルボルンにて。
インドのウッタル・プラデーシュ州にて。

彼の作品を見ていると、「笑う」というシンプルな行為で、人の印象が大きく変わることに驚かされるだけでなく、笑顔は見ている側の気持ちまで明るくしてくれるものなのだと、改めて感じることができるはず。

ちょっと疲れたときや、温かい何かに触れたくなったとき、是非ジェイさんのInstagramを覗いて、人々の笑顔からパワーを貰ってみてください。

インド最北の村、トゥルトゥクにて。