ボディポジティブや多様性が広がった今、ありのままの姿に自信を持ち、人生を謳歌している人を目にする機会が多くなったはず。けれど過去には誰しもが悩みを抱え、自分の本当の姿と向き合ってきたよう。

今回ご紹介するのは、体型が原因でいじめにあっていたという、ライターのステファニー・イェボアさん。彼女は自分の見た目を好きになれず、いじめられること自体すべて自分が悪いと思っていたことも。けれど今ではありのままの自分で十分素敵だと知り、心から幸せな人生を送れるまでに変化したそう。

自分の体を愛せるようになったステファニーさんのストーリーからは、きっと自分を愛するためのヒントが見つかるはず。

語り:ステファニー・イェボアさん

女性用の学生服が着れず…

11歳のある真夏の日、母と私は入学準備のために中学校の学生服を買いに出かけました。様々なサイズのシャツやジャージを何時間も試着しましたが、自分に合うサイズはありませんでした。すると、店員は私の体をじっと見ながら、母に申し訳なさそうにこんな言葉を投げかけました。

「男の子用のジャージのサイズの方が、合うかもしれません」

店員は小声で母に伝えたため、私には聞こえていないと思っていたみたいです。けれど母の失望して決まりの悪そうな表情と、店員の哀れんだ表情から、原因は私にあることにすぐ気が付きました。そして最終的に、ダボダボで地味な男の子用の学生服を購入することになりました。

それは私が自分の体に初めて嫌気がさした瞬間であり、他の人よりも体が大きいと感じるようになったきっかけになりました。

悪化し続けた学生時代のいじめ

それ以来、私の心と体にはネガティブなものが生まれ、中学校での生活がいじめの中心となりました。そこから5年間は、自分の見た目に恥ずかしさと嫌悪感、そして憎しみを感じていました。

体型を理由に学校中でいじめられた私は、数年後にはうつ病を引き起こしてしまったんです。そしてストレスでさらに過食に走り、その結果さらに体重が増え、いじめは悪化し続けました。

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STEPHANIE YEBOAH

私にとって体育の授業は、特に恐怖感で溢れていました。更衣室では、自分よりもはるかに小柄な子たちばかりだったんです。それは周りと比べて、私が“太っている”と一番感じてしまう場所になりましたし、他の女の子がかわいいトレーニングブラを着ているのに、どうして私はすでに垂れ下がった胸なのか。どうしてマタニティ用のようなブラを着けているのか、疑問に思いました。

そしてある日、体型のせいでいじめられていると父に打ち明けたとき、「じゃあ太っていなければ、いじめられないかもしれないだろ」と言われたんです。

私のことを一番に気にかけてくれるはずの人からそんな言葉を聞いたら、私はこのままいじめられ続け、幸せになる権利はないと決定づけられた気分になりました。

過度なダイエットや肌のブリーチをしたことも

自分の体に対する苛立ちは、自傷行為や問題のある食生活に繋がりました。私はすべての憎しみと否定的な言葉を受け入れ、太っていて醜いことを自分のせいにし始めたんです。

私はこれらのマイナスな考えを20代になっても持ち続けました。肌をブリーチして、より白い肌を目指したこともありました。そうすることで、少なくとも社会的に認められやすくなると思ったからです。私は職場で、“生意気な浅黒い肌の女の子”として解雇されるのではなく、魅力的な人として見られ、もっと対等に扱ってもらいたかったんです。

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しばらく肌をブリーチしていましたが、肌が見苦しい灰色になって火傷していることに気付き、やめることにしました。しかし肌のブリーチができない代わりに、次は体重を減らすことに注力しました。

私はたくさんの高額なダイエットクラブに参加し、下剤も使って食べたものをすべて出しました。さらに断食もし、過食症などを患いながらも、4カ月で約25キロを落としたこともありました。

もともと大きい体型だと、体重が減ったことに周囲の人々が気づきやすく、まるで「今までで最高の自分だよ」と言われているような気持ちになりました。その結果、摂食障害になっても私は見て見ぬふりをしていたのです。人々から痩せたと認められることで、減量することが中毒になり、私はカロリー計算と過食の日々を続けました。

心の変化

2012年のバルセロナ旅行の前に、私はビキニを着こなすために危険なほど体重を落としました。その頃の私は今までで一番痩せていましたが、結果的にメンタル面がボロボロになっていました。私は幸せを感じることができず、自分自身を信じられないほど病的な体にしてしまっていたんです。

ホテルの部屋の鏡に映った痩せた自分の姿を見ていると、「周りから認められたい」という気持ちが一番の動機になっていることに、ようやく気づくことができました。私は自分の体を限界にまで晒し、何年もの間、自分の体を傷つけてきました。

他人に対して「自分の体が醜い」ことを申し訳なく思う必要はなく、自分の心と体を危険に晒していたことを申し訳なく思うべきだと気づいたんです。

私は、独りじゃない。

旅行から家に帰った後、私は自分に似た人を見つけようとしました。そんなときTumblrで偶然見つけたのが、「太っていて浅黒い肌」という自分と同じ体の特徴を持つ人々がたくさんいる、ボディポジティブコミュニティ。

彼らの体にはシワがあり、肌の色も浅黒くて、ストレッチマークもありました。しかしそれらのことがまるでアートかのように、彼らは輝いていたんです。その瞬間、人生で初めて「私は、独りじゃない」と気付くことができました。

そのコミュニティに参加したことは、私にとってのターニングポイントとなり、Tumblrのページにも自分の写真をアップしました。私は自分のSNSのフィードを、自分の体型と似た人だけを表示するように制限し、自分の考えや気持ちをすべてブログでシェアして、自分の心と体を治療し始めました。さらに自分の体に与えたすべての痛みと傷、そして自分自身へかけてきた否定的な言葉について、謝る手紙も書くことにしたんです。

そして徐々にもっと大胆な服を選び始めるようになり、クロップドトップスや短いスカートも取り入るようにもなりました。人々が私をじろじろ見てきても、自分の感情をコントロールし、それをポジティブな感情に変えることもできました。

たとえば、じろじろ見られる理由は「みんなが私に夢中になっているから」と、自分に言い聞かせてみたり。

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STEPHANIE YEBOAH

自身との葛藤を乗り越えて…

16年もの間、苦痛や苦しみを感じて自己嫌悪に陥り、涙もたくさん流しました。けれど31歳のとき、ようやく自分の体を愛していると、自信と誇りを持てるようになったんです。

ありのままの自分を愛するまでの道のりは、決して簡単ではありません。何事もポジティブにと意識していても、時々自信をなくすこともありました。けれどこういった気持ちになることだって、時にはあると知ることも大事です。

私は今、かつてファンデーションでカバーしていたストレッチマークも受け入れているし、レギンスで隠していた太もものセルライトのキュートな凹凸も、誇らしげに披露しています。さらに肌の色を際立たせるように、カラフルな色の服もたくさん着ます。

そして何よりも、自分の胸と背中のはみ出した脂肪を美しいサテンとレースのブラで飾ると、信じられないほど自分を魅力的に感じるようになりました。

過去の傷跡は、強さと勇気の歴史

私の過去の痕跡と傷跡は、自分自身の強さと勇気の歴史を表します。私の垂れ下がった胸はいつの日か、私の子どもたちに栄養を与え、彼らを丈夫な体にするでしょう。

私の肌の色は、その美しさや粘り強さ、優雅さや強さで知られる人々の国から受け継がれています。 体型に関係なく、私は自分が美しいことを知っています。そして最終的には、私たち全員が自分自身を認め、価値があると考える必要があるのです。

太っているか痩せているか。背が高いか背が低いか。身体が不自由か自由に機能するのか。不健康か健康か。どんな人間であっても、私たちはみんなリスペクトされ、穏やかな日常を送る権利があります。

特定の見方をした場合にだけ、誰かに愛される価値があると教えてきた今までの社会。しかしそれでは、自分自身を愛する方法を学ぶことは難しいです。あなたの体が愛に値するということを自分自身に告げることによって、自分を愛する最初の一歩を踏み出すことができます。そうすればきっと、人生がもっと楽しいものになるはずです!

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARISA ISHIMOTO

Red UK