記事に移動

様々な美酒が勢揃い!女性杜氏が活躍する酒造の、おすすめ日本酒14選

初心者でも飲みやすい銘柄や、お酒好きに勧めたい1本まで。こだわりを感じる酒造りに注目!

3月8日は国際女性デー。かつては女人禁制と言われたお酒造りの場で、酒造りの最高責任者(=杜氏)として手腕を振るう女性が増えてきています。ここでは、そんな女性杜氏(とうじ)たちが活躍する注目の酒蔵と、そのおすすめ銘柄をご紹介。「富久長」「御前酒」「月の輪」など、個性豊かな美酒とともに、おいしく楽しく伝統と女性を応援してみませんか?

かつては女人禁制の時代もあったと言われる日本酒造りの世界。しかし最近では、杜氏(とうじ)、つまりその酒蔵における酒造りの最高責任者として、手腕を振るう女性が増えてきています。蔵内の管理や原料の扱いにはじまり、数あるお酒のなかでもとりわけデリケートで複雑といわれる日本酒造りのすべてを統括する彼女たち。日本の伝統技術を継承しつつ、新たな文化を生んでいる存在です。

ここでは、3月8日が国際女性デーと制定されていることを記念して、そんな女性杜氏たちが活躍する注目の酒蔵を日本全国から選りすぐってご紹介。さらにそれぞれのおすすめ銘柄も教えていただきました。「富久長」「御前酒」「原田」「川中島」「月の輪」など、個性豊かな美酒を味わって、おいしく楽しく、伝統と女性を応援してみませんか?

「国際女性デー」を見つめて64年!伊藤セツさんが感じる変化と希望

今田酒造本店(広島)

女性杜氏 今田酒造本店
前 康輔

瀬戸内海に面し、古くから杜氏の里として知られる広島県安芸津(あきつ)町に蔵を構える今田酒造本店。明治元年から日本酒「富久長(ふくちょう)」を製造している、歴史ある酒蔵です。

その杜氏であり、代表取締役も務める今田美穂さんは、BBC放送の2020年「今年の女性100人」に、影響力のある女性として選出されました。世界から注目される存在ですが、とはいえ、女性杜氏だからと「特別に意識していることはない」と言います。

ひたすら酒質の向上にまい進するなかで、今田さんは100年以上姿を消していた広島県の在来品種である酒米、「八反草(はったんそう)」の復活にも成功しています。収量が少ないうえに栽培も難しい品種ですが、素朴で温かみのあるやわらかな味わいと、心地よい余韻とキレ味を両立させる個性は「八反草」ならでは。

試行錯誤しながらも、地元の広島県安芸津町らしさにこだわるという酒造りへの姿勢も、国境を越えて愛される秘密のひとつかもしれません。

問い合わせ/info@fukucho.jp

今田酒造本店公式ホームページ

今田酒造本店のおすすめ①

女性杜氏 富久長

富久長 八反草 純米吟醸

今田酒造本店が復活栽培した酒米「八反草」を、広島県安芸津伝統の吟醸造りで醸(かも)しました。

口あたりはやわらかで旨味たっぷりなのに、スカッと切れるあと口の良さは、飲み飽きることがありません。「富久長」のフラッグシップともいうべきこの銘柄は、国内のみならずフランスやスペインのコンテストでも数々の受賞歴を誇っています。

1,760円(720mL)
3,630円(1,800mL)

詳細はこちら

今田酒造本店のおすすめ②

女性杜氏 富久長 海風土 seafood 純米

富久長 海風土 Seafood 純米

こちらは「富久長」のなかでも、レモンのような爽やかな飲み心地が魅力の1本。まるで白ワインのような感覚で楽しむことができます。

その軽快な口あたりは、広島名物牡蠣をはじめとするシーフードはもちろん、和食、イタリアン、フレンチと、幅広い食事との相性も抜群です。

1,650円(720mL)
3,300円(1,800mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

辻本店(岡山)

御前酒 辻本店

1804年創業の辻本店は、すべての酒を地元岡山県産の希少な酒米「雄町(おまち)」100%で醸す、全国でただひとつの酒蔵です。さらに、室町時代の製法「菩提(ぼだい)もと」も取り入れ、唯一無二の味わいをもつ「御前酒(ごぜんしゅ)」を生んでいます。

その蔵元の家に生まれ、伝統を守りながらも、革新的な酒造りを行うのが、杜氏の辻麻衣子さん。若者や女性向けの新商品も企画し、業界の常識にとらわれない挑戦をしけてきまつづした。女性であることを意識して酒造りをおこなうことはないそうですが、「自分らしい造りをすれば自然とそこに女性らしさが醸し出されるもの」と考えているそう。

もちろん、これまでには苦労も。先代が急逝し、29歳で杜氏となった辻さんは、2年目に妊娠、出産を経験されました。「授乳しながら夜中に麹を混ぜたり、かなり無茶をしていました」と、そのときの様子を振り返ります。聞くだけでも大変さが目に浮かぶようですが、そんな困難も、蔵人や家族、女性杜氏仲間の存在が心の支えになり乗り越えられたのだそう。

伝統と革新、そして抜群のチームワークによって守られてきた味は、多くの日本酒ファンを楽しませています。

問い合わせ/Tel. 0867-44-3155

辻本店公式ホームページ

辻本店のおすすめ①

御前酒 1859

御前酒1859

岡山を代表する酒造好適米「雄町」の魅力を味わうのにぴったりな、まさにスタンダードとも呼ぶべき1本。地元の篤農家(とくのうか)、岸本甚造により「雄町」が発見された1859年を銘柄に冠し、全量「雄町」で醸していくという意気込みが込められているのだそう。

蔵付きの乳酸菌を取り込む「菩提もと」という仕込みにより生まれる独自の味わいは、肉料理や乳製品ともよく合います。

1,540円(720mL)
3,080円(1,800mL)

詳細はこちら

辻本店のおすすめ②

辻本店 御前酒

御前酒 菩提酛 貴醸酒

“貴醸酒(きじょうしゅ)”とは、水の代わりに日本酒を使って仕込んだ濃厚でとろみのある甘いお酒のこと。こちらは、「菩提もと」の生酒で「菩提もと」の酒を醸すという、「御前酒」でしかなし得ない贅沢な手法で“貴醸酒”に仕上げました。

メロンのような爽やかで艶のある香りが魅力で、甘口ながら後に残らないため、食事にも合わせて楽しめます。

2,750円(720mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

月の輪酒造店(岩手)

月の輪酒造店

日本三大杜氏と呼ばれる岩手の南部杜氏。その発祥の地とされている紫波(しわ)郡紫波町で酒造りをおこなうのが、月の輪酒造店です。日本酒だけでなく、酒粕入りの商品なども展開していて、特に敷地内の直売店「わかさや」で販売されている米麹のジェラートは地元の人や観光客にも大人気。

そんな、お酒を飲めない人でも親しみやすい酒蔵で杜氏を務めているのが、横沢裕子さん。女性杜氏であるがゆえに、どんなに努力しても「女性だから」というフィルターを通して見られてしまう苦しみも経験したと言いますが、「女性だからということなく、しなやかでやわらかなお酒を造ろうと思っています」というコメントには、その柔軟な姿勢が映し出されています。

創業から変わらぬ味のスタイルを継承する一方で、日本酒には不向きとされるもち米を100%使用した純米酒の製造(紫波町はもち米の名産地)など、新たな取り組みにも挑戦する月の輪酒造店。今後の歩みにも注目が集まる酒蔵のひとつです。

問い合わせ先/Tel. 019-672-1133

月の輪酒造店公式ホームページ

月の輪酒造店のおすすめ①

宵の月 大吟醸 月の輪

大吟醸 宵の月

月の輪酒造店のロングセラーとなっている1本で、大吟醸ながらコストパフォーマンスの高さも魅力。岩手県産米を使用した、華やかでやわらかい味わいが特徴で、毎日飲んでも飽きがくることなく楽しめます。

1,958円(720mL)
3,916円(1,800mL)

詳細はこちら

月の輪酒造店のおすすめ②

月の輪 大辛口純米

大辛口純米 月の輪

酒瓶を持った月の輪熊が吠える、ユーモラスなラベルの「大辛口純米 月の輪」は、その名の通り超辛口。ですが、飲み口はやわらかく、食中酒としてもおすすめ。夏はロックで爽快に、冬は熱燗で楽しみたいお酒です。

1,496円(720mL)
2,992円(1,800mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

新澤醸造店(宮城)

女性杜氏 新澤醸造店

お料理のおいしさを引き立てる、なくてはならない存在――そんな、“究極の食中酒”をモットーに掲げ、「伯楽星(はくらくせい)」や「愛宕(あたご)の松」などの銘柄を世に送り出しているのが、宮城県の新澤醸造店。最先端の設備や世界最高峰の精米技術を用いた酒造りで、高い評価を得ている酒蔵です。

そんな新澤醸造店で酒造りの責任者を務めるのが、当時日本最年少、弱冠22歳で杜氏となった渡部七海さん。家業を継ぐ形で杜氏になる人が多いなか、渡部さんは日本酒業界と無縁の家庭で育ちました。しかし、大学時代に出会った酒造りに魅了され、その理論を学ぶことに。その後、新澤醸造店に就職すると、やがてその情熱とセンスが買われ、2018年に杜氏に大抜擢されました。

「ブリュッセル国際コンクール」の“SAKE selection”本醸造酒部門で最優秀賞を受賞するなど、すでに華々しい実績も積み上げている渡部さん。女性杜氏としての苦労を聞けば、「(男性と比べ)単純に力では適わない部分がある」としながらも、それが「逆に省力化につながる」とポジティブにとらえているよう。フレッシュな感性で醸される美酒を、ぜひお試しあれ。

問い合わせ先/Tel. 0229-52-3002

新澤醸造店公式ホームページ

新澤醸造店のおすすめ①

愛宕の松 新澤醸造店 女性杜氏

愛宕の松 別仕込本醸造

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ 2022」にて、“コストパフォーマンスに優れたお酒(Sake Great Value Awards)”部門で、世界一に輝いたのが「愛宕の松 別仕込本醸造」。

米表面のタンパク質を効率よく削る扁平精米を使用した、キレ味抜群の本醸造です。このお酒を口に含むことで、次のお料理をより引き立てることができる、まさに新澤醸造店が指針に掲げる“究極の食中酒”を体現するお酒と言えます。

1,100円(720mL)
2,200円(1,800mL)

詳細はこちら

新澤醸造店のおすすめ②

あたごのまつ はるこい

あたごのまつ はるこい 純米吟醸

うららかなピンク色が春の宴を華やかに盛り上げてくれる、季節限定のお酒です。実は非常に扱いが難しいとされる赤色酵母を使用し、蔵人の経験と技術によってこの絶妙な色に仕上げているのだとか。

いちごを思わせるような甘酸っぱい味わいに、シルキーな舌触りが特徴です。生酒特有のはつらつとしたフレッシュ感は、わくわくする春の季節にもってこい。

1,760円(720mL)
2,998円(1,800mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

森喜酒造(三重)

女性杜氏 森喜酒造

2代続けて女性杜氏が活躍するのが森喜酒造です。初代女性杜氏を務めた森喜るみ子さんの名を冠した銘柄「るみ子の酒」も有名で、そのラベルには、女性杜氏を描いた名作マンガ『夏子の酒』の作者である尾瀬あきら氏が描き下ろしたイラストが使用されています。

現在は、2000年の入社以来同蔵で蔵人として働いてきた豊本理恵さんに杜氏職をバトンタッチ。醸造用アルコールを一切添加しない、米と麹、水だけで醸す手造りの“純米酒”のみを作るという森喜酒造のこだわりを守りながら、ここ最近では山廃(やまはい)や生酛(きもと)と言った自然発酵の純米酒にも力を入れています。

酒造りには力仕事も多く含まれますが、それでも「女性ならではの苦労は特にない」と言う豊本さん。そんなフラットな酒造りへの姿勢が、魅力あふれるお酒を生む要因なのかもしれません。

問い合わせ先/Tel. 0595-23-3040

森喜酒造公式ホームページ

森喜酒造のおすすめ①

rie style 森喜酒造

RIE STYLE 山廃特別純米酒

豊本理恵さんの杜氏就任を記念し、その名を冠して生まれたのが、「RIE STYLE」。日本最古とされる「伊勢錦」というレアな酒米を原料にした、酵母無添加の山廃特別純米酒です。

豊本さんが猫好きなことから、ラベルには小さな猫が。そんな可愛らしい見た目とは裏腹に、力強い味わいが特徴。お燗にすると味幅も広がり、どんな料理にも合う1本です。

1,540円(720mL)
3,080円(1,800mL)

詳細はこちら

森喜酒造のおすすめ②

英 森喜酒造

英(はなぶさ) 生酛 特別純米酒

自社田および契約農家で栽培された農薬不使用の「山田錦」を使用しているのが、この「英」。江戸時代後期の日本酒の伝統的な醸造方法である“生酛作り”で醸されました。

自然の力を活用し、酵母を添加せず、自然発酵によって低温でゆっくりと丁寧に仕込まれた1本です。シャープでありながらボディもしっかりとした逸品で、こちらもお燗でいただくのがおすすめだそう。

1,815円(720mL)
3,630円(1800mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

はつもみぢ(山口)

女性杜氏 はつもみぢ

山口県周南市に蔵を構える老舗、はつもみぢは、代表銘柄「原田」に象徴されるように、「正真正銘山口の地酒」を届けることをポリシーに、酒米から水にいたるまで、すべて厳選された“山口産”にこだわっています。さらに、いつでも搾りたての新酒を味わってほしいとの想いから、1年中酒を造る四季醸造をおこないます。

そんなはつもみぢに女性杜氏が誕生したのは2022年のこと。それまで副杜氏を務めていた阿部美恵さんがその職に就任されました。「子どもを心配するようにお酒にも愛情を注いでいます」という阿部さん。その活躍の裏には家族の支えもあるようで、「夜もろみの様子を見に蔵に入ったりすることもありますので、家族の協力があっての仕事だと思います」と語ります。

実は蔵人の半数が女性だというはつもみぢの日本酒は、おしゃれでかわいらしいデザインのボトルも目立ちます。普段日本酒を飲まないという人も、手に取ってみたくなるお酒が揃う酒蔵です。

問い合わせ先/Tel. 0834-21-0075

はつもみぢ公式ホームページ

はつもみぢのおすすめ①

原田 純米大吟醸

原田 純米大吟醸

山口県産「山田錦」を50%精米し、南国のフルーツを思わせるようなすっきりとした味わいの純米大吟醸。雑味がなく、お料理の味を引き立ててくれます。華やかで上品な香りも特徴で、繊細で優しい口あたりのなかには、米の旨味を存分に感じることができるはず。

2,200円(720mL)

詳細はこちら

はつもみぢのおすすめ②

酒母搾り酒 末摘花

酒母搾り酒 末摘花(すえつむはな)

低アルコールで、甘味と酸味の絶妙なバランスが特徴の「末摘花」。通常日本酒造りには米、麹、水を加え発酵させますが、こちらは酒母(しゅぼ)のみを使用するため、1回の仕込みで仕上がる量はごくわずかなのだそう。

グレープフルーツのような味わいで、わずかな発泡感もあり、普段日本酒を飲まない人も楽しめる1本となっています。

1,650円(720mL)

詳細はこちら

ADの後に記事が続きます

酒千蔵野(長野)

酒千蔵野 女性杜氏

実は女性杜氏が多いと言われる長野県。そのなかでも、信州最古の酒蔵である酒千蔵野(しゅせんくらの)で辣腕を振るうのが、杜氏の千野麻里子さんです。酒千蔵野の創業はなんと1540年。遠く400年以上前に遡る伝統の酒造りを静かに受け継ぎながら、最新技術も取り入れて酒造りをおこなっています。

代表銘柄「川中島」の名に表されているとおり、蔵を構えるのは、肥沃な土壌と豊かな水に恵まれた川中島。さらに酒米は地元・信州のものにこだわっているのだそう。そんな米の選定から洗米、そして“一麹、二酛、三造り”と表現される酒造りの工程すべてに目配りし、管理する――繊細かつ長期間にわたる杜氏の仕事に対し、「母親の気持ちで子どもを育てる感覚を生かしています」と語る千野さん。

無事に育ってくれるよう、「深夜にも気になって様子を見に行くなど、出来ることのすべてを尽くす」という言葉からも、個性あふれるお酒たちへの真摯な愛情が伝わってきます。

問い合わせ先/Tel. 026-284-4062

酒千蔵野公式ホームページ

酒千蔵野のおすすめ①

酒千蔵野 川中島

川中島 特別純米

長野県産酒造好適米を全量使用し、59%精米という贅沢な磨きにしたことで、お米の旨味をぞんぶんに引き出したのが「川中島 特別純米」です。

ふくよかな味わいを持たせながらも、キレの良い酸のおかげで、ついつい杯が進んでしまうことうけあいです。

1,430円(720mL)
2,640円(1,800mL)

詳細はこちら

From: Fujingaho JP
ADの後に記事が続きます

女性史月間

ほくほく北欧ニュース

「私はサンナ・マリンと踊る」ダンス動画から世界に広がった連帯の輪

a cartoon of a man and a woman

歳をとるのが怖かった過去の自分に「45歳の私」が伝えたいこと

a collage of a person in a dress

レディー・ガガ、誹謗中傷が殺到したトランスジェンダー女性をサポート

a person with a flower crown

国際女性デーに想い出す…私があこがれを抱いた先輩の「リーダーシップ」

ADの後に記事が続きます
ADの後に記事が続きます