――突然ですが、なぜ、農業を始めようと思ったのですか?
以前はロンドンでメンズのバッグなどのデザインをしていたの。でも、その仕事は、1個のバッグのデザインを20~30分でデザインしないといけなく、とてもハードだった。2カ月で約70個のバッグをデザインしていたわ。
仕事を辞めた一番の理由は、自分のデザインしたレザーバッグに、数多くの牛の命が失われている状況に気が付いたこと。それに、一日中オフィスで座ってパソコンで仕事をしていることで、腰痛を感じていた。
だから、パソコンをもう使いたくない、太陽の下で外の空気を吸って体を動かしたい! 今までしてきたことと、まったく違うことを学びたい! そう思い立ったのがきっかけで、農業に興味を持ったの。
――その後、仕事を辞めてからどのように農業を学んだのですか?
私は生まれも育ちも都会で、当時はまったくの農業未経験者。そこでまず農業について知ろうと思い、モロッコのバイオダイナミック農家に、「寝る場所と、少しの食べ物を頂ければ、タダで働きます」とメールを送ったの。そしたら受け入れてくれることになり、モロッコの山の中で、イタリア人のオーナーのもと、モロッコ人たちと一緒に3カ月農園で働いた。
日光を浴びて瑞々しく輝いた植物、鳥の声など、そこにある自然のすべてが生命力に満ち溢れていて、すごく心身が解放され、私自身も喜びに満ち溢れていたわ。
農業の仕事はとても大変だけど、同時に論理にかなっている。この仕事を、ずっと続けていきたい…! そう強く感じた。
その後は、他の農家からも農業を学ぶため、イギリスのウェールズ、沖縄の農家でも働いたわ。