ホームレスや貧困など、一見ハンデのように思える要素を、成功の糧にするには?
それを実践したパワフルな女性たちが、今回ご紹介するレンカ・ルトンスカさん(写真左)と、マリアトゥ・トゥライさん(写真右)。レンカさんはファーストフード店の清掃係から、世界中の有名企業の女性CEOをコーチするビジネストレーナーに転身。マリアトゥさんは、ホームレスからファッションブランドのオーナーになった。
イギリスで移民としてゼロから努力し、成功への道を築いていった彼女たち。そんな2人は口を揃えて「厳しい状況や失敗は、将来の自分への贈り物になる」と言う。
困難に打ち勝った「セルフ・メイド・ウーマン(自力で成功した女性)」が、コスモポリタン日本版に夢を叶えるアドバイスを伝授!
【From United Kingdom】
清掃係から、世界中の女性CEOのビジネス戦略を立てるコーチへ
レンカ・ルトンスカさん/NLPトレーナー
NLP(神経言語プログラミング)を使用した、ビジネス戦略のトレーニングをオンラインで展開し、世界中の女性CEOを業績アップに導いた実績を持つレンカさん。NLPとは人間心理とコミュニケーションに関する学問で、オバマ元大統領が演説に取り入れたことでも有名。
現在レンカさんは、ケンブリッジ大学の科学者や有名企業の女性役員をクライアントに抱え、私生活では3児の母でもある。
そんな彼女が、母国スロバキアから10代で単身ロンドンに渡り、清掃係の仕事からNLPトレーナーとして成功に至った経緯とは?
30ポンド片手にスロバキアから渡英
【レンカさんの履歴書】
19歳 母国スロバキアから、ロンドンへ
30ポンドをポケットに入れ、スロバキアからロンドンへ渡る。
当時はあまり英語が話せず、マクドナルドで清掃係からスタート。一方で空き時間や休日に、心理学やNLPのコースを取得し、専門知識を深める。勉強をする中で、起業を志すように。
26歳 NLPトレーナーとして事業を始める
6年間勤務したマクドナルドを辞め、NLPトレーナーとして事業を興す。
資金調達のために家を売り、家賃を払えない日々が続いたことも…。当時は起業に関する知識が足らず、手探りの状態で事業を手がけていた。
28歳 NLPトレーナーとして成功し始める
2年間、毎日インターネット上に広告を掲載するなど、マーケティングを実行。資金を稼ぐためのアルバイトと並行し、私生活では出産、子育てをしながらもNLPトレーナーとしての活動を強化していった結果、クライアントが増え成功の兆しが見え始める。
32歳 事業に失敗。資金も顧客も失う
ビジネスパートナー選びに失敗し、事業が急転落。資金も顧客も失ってしまう。この経験で自信を喪失。
34歳 オンラインに特化させた結果、大成功を収める
再度事業に挑戦した後、思い切ってオフラインでのNLPトレーナーの活動から、オンラインに特化した活動に切り替える。結果、世界各地に女性CEOのクライアントを抱え、現在では6桁(約1.480万円以上)の年収を得られるようになった。
ここは自分に喝を!辛口アドバイス3カ条
1.一見「目標」とは異なる過程でも、自分のベストを尽くす
「マクドナルドで勤務していた頃、ここが私の最終目的地ではないと思っていたの。それでも、同僚よりも英語が話せなかったこともあり、全力を尽くして働いた。結果、5年以内に100人以上の部下を抱えるビジネスマネジャーに昇進し、大きな成果を上げることに。
一見、今の仕事と関係ないように見えるこの経験は、自立心、人生に積極的になること、良いリーダーになること、折れないタフな心をつくるなど、数えきれないほど多くの「成功」の要素を私に与えてくれたわ」
2.「失敗」を恐れてはダメ!
「失敗は、自分をより強い人間にしてくれるチャンス。32歳で事業に失敗をしたことで、次に活かすべきことを学び、結果的に今、以前より充実して働けるようになったの」
3.物事を判断するときは、「なりたい未来の自分」の視点で考えてみる
「多くの人が、『今の状況では難かしいから…』など、現状だけを基準に物事を判断してしまいがち。でも、未来の目標を叶えた自分の視野に立って考えてみると、見え方が大きく変わり、正しい判断ができることも。
34歳の頃、事業をオンライン中心の活動に切り替えようか迷っていたけれど、『世界中の女性をコーチングしている未来の自分』を想像し、思い切ってオンライン中心の活動にシフト。結果、さらに活動の幅が広がり、業績アップにつなげられた」
時には自分に優しく!自分を「甘やかす」ためのアドバイス3
1.自分を一番大切にすると、生産性が上がる
「自分でも驚いたことだけど、優先順位を仕事から家族・自分自身へスイッチしたら、生産性が上がったの!
例えば、朝は『良い気分』になるまで、メールは見ない。まず散歩をしたり、『最近感謝したこと』や『今後したいこと』をリストアップして、自分に向き合ってみる。こうして心が満たされることで、判断力も高まり、仕事もはかどるように」
2.考え方が似ている人たちに、囲まれる
「同じ職種や、思考が似ている人たちが集まるコミュニティ―に身を置くことは、自分に自信を持てるきっかけになる。
32歳で一度事業に失敗した時、自分は敗者だと感じ、人前で話しても自信が持てず、まるで仮面を被っているようだったわ。
そこで、起業家のネットワークを立ち上げ、20~30人の女性起業家を集めて成功も失敗も話してお互いサポートし合ったの。彼女たちと交流することで『失敗するのは普通』だと気づいて、それからは自分を偽らなくなったわ」
3.直感を信じる
「初めの事業で失敗した原因が、ビジネスパートナー選びだった。当時、話を重ねているうちに『何かがおかしい』と心の奥で感じていた。すると予感は的中し、事業は急転落…。
一方で、時に論理的でないと頭で分かっていても、『これは上手くいく!』と、心が反応することもある。そして、たいていの場合、それは信じる価値があるわ」
【From United Kingdom】
ホームレスから起業を果たし、アフリカ系女性をエンパワーメント
マリアトゥ・トゥライさん/「Gitas Portal」創業者、デザイナー
内戦で母国シエラレオネを離れ、アメリカ、イギリスなどでホームレスを経験。努力を重ね公務員として働いていた際に、アフリカにインスピレーションを受けたファッションブランド「Gitas Portal」を立ち上げたマリアトゥさん。
私生活では5児の母でもあり、夢を叶え続けてきた彼女の存在は、ロンドンのアフリカ系コミュニティをエンパワーメントしている。
内戦を逃れ、外国で努力を重ねて夢を叶える
【マリアトゥさんの履歴書】
16歳 戦火を逃れ、母国シエラレオネから渡米
戦時中のシエラレオネで家が破壊され、ホームレスになる。その後、渡米。ヘアサロンで働きながらお金を稼ぎ、事務作業など将来役立つスキルを学ぶ。
19歳 渡英。働きながら、カレッジへ通う
渡英後、ヘアサロンで稼いだお金でカレッジに通い、経済や政治、行政学を学ぶ。
26歳 イギリスで公務員として働く
大学を卒業し、ロースクールへ進学した後、公務員の仕事に就く。
34歳 副業としてファッションブランドを創業
公務員の仕事と並行しながら自身のファッションブランド「Gitas Portal」を立ち上げる。週に7日、休まずに数年間働く。
39歳 公務員の仕事を辞め、フルタイムで「Gitas Portal」を展開する
女性を勇気づけ、アフリカのブランドを宣伝するという自身の情熱のあることに集中するため、13年間働いた公務員としての仕事を辞める。ロンドンにブティックを開く。
ここは自分に喝を!辛口アドバイス3カ条
1.無駄なことなんてない! 「起きるすべての出来事に意味がある」と、ポジティブに受け止める
「ホームレスだった頃は一番困難な時期だったし、人生が厳しいことも身を持って学んだ。だけど、その経験こそが努力をすることや希望を持つこと、人に親切でいることの大切さを教えてくれたわ。
それに公務員として13年間働いた経験を通して、今の事業にも役立つ多くのことを学んだの。人生という「旅」の過程で起こることや出会う人は、すべて自分自身の成長のために必要で、意味があるから起こっている。そう捉えることで、現在や未来の状況は良くなるわ」
2.目標は曖昧ではダメ! 明確にビジョンを立てる
「叶えたいことを明確にし、どんなステップを歩むべきか思考することは重要。一方で一番難しいのが、停滞期にもモチベーションを保ち、集中し続けること。そんな時は、達成したことや目標をノートに書いて、ビジュアル化して常に見返すことがオススメ。次の目標に挑むときに、そのノートを見返すと、自分に自信が持てるはず」
3.立てた計画から脱線しない
「計画を妨げる出来事が起こったときには『NO!』と言える強い意志を持たないといけない。私は5児の母でもあるから予定通りに進まないことがあるけど、そんな時は目標を達成できるよう、毎回計画を練り直しているわ」
時には自分に優しく!自分を「甘やかす」ためのアドバイス3
1.自分の健康を気遣い、ケアしてあげる
「健康面のバランスが取れてこそ仕事に集中ができ、生産性が上がる。ブランドを立ち上げたばかりの頃、公務員としても働いていたから、当時は疲労困憊で、ストレスが溜まっていた。でも、2年前に自分のブランドだけに集中して働くようになり、セルフケアにも気を遣うようになってから、仕事、家族、私生活すべてにプラスの効果が見られるようになったわ」
2.自分に「優しい言葉」をかけてあげる
自分の価値を認め、愛してあげることは何より大切。だから、ポジティブな言葉を自分にかける習慣を持つことで、自分の人生への向き合い方や、他人との接し方も変わってくる」
3.年齢、世間の目は気にしないで。従うと、最後に自分が後悔する
「『30歳までに家族を持ってキャリアを築かないといけない』、『自分は今までの人生で何も大きなことに達成していない…』。これらの社会的プレッシャーからくる不安を抱いている人も多いはず。でも、それはせっかくの自分の自信を失ってしまう原因になる。
私の知り合いの多くの女性が、他人の意見に従って、もしくは誰かに尽くすために自分の人生を我慢し、本当にしたいことを実現してこなかったの。そして、彼女たちは今、後悔しているわ。
自分の道を選ぶことは、自分自身の責任。心の奥から情熱を持てる道を選んだら、エネルギーに満ちた、充実した日々を過ごせるはず!」