欧米では、結婚式に“サムシングフォー”(何か古いもの、何か新しいもの、何か借りたもの、何か青いもの)を花嫁が身に着ける習慣があるけれど、これからは「何かサステナブルなもの」もそこに加えてみるのもいいかもしれない。パンデミックの影響で購買に対する私たちの意識は変化し、今では多くの人が地球環境や人間、動物に優しいものを求めている。
そこで、ノースロンドン廃棄物局(NLWA)が設立した、オンラインでサステナビリティの知識を持つ専門家とともに英国内外の人々にウエディング関連の情報を無料で提供している団体「サムシング・グリーン」と、ウエディング業界の専門家に、花嫁が知っておきたい最新ヒントを教えてもらった。
ジューンブライドに合わせて、結婚を考えているカップルのためのサステナブルな8つのアイデアをチェックしてみよう。
Photos: Getty Images Translation: Masayo Fukaya From COSMOPOLITAN UK
1. ローカルにこだわる
ケータリング会社「Forage and Feast」のディレクター、ジャシンタ・オリオーダンは、自分が住む地域の特産品を楽しむことを提案。
地元の食材を選び、地元のサプライヤーと協力することで地域社会を支援すると同時に、フードマイレージ(食品の輸入量と輸出距離を掛け合わせた指標)を減らすこともできる。近くに素晴らしいファーマーズマーケットやブルワリーなどがあるかどうかもチェックしてみよう。
ローカルのビジネスをサポートすることで、大切な日にユニークな要素をもたらし、地域社会にお金を還元することもできる。
2. 花について調べる
NLWAによると、英国で売られている切り花の90%は海外から輸入されているそう。イギリスだけに限らず、国内で手に入る季節の花はとても美しく華やかなものも数多くあるので、空輸せずとも自分の元に届くものを使いたいところ。
そして、式の後の使い道も考えておこう。ゲストにプレゼントしたり、地元の病院や介護施設に贈ったりして、2人の幸せをお裾分けするのもいい。また、ブーケや花冠はドライフラワーにして、特別な日の思い出として保管することもできる。
3. 使い捨てのプラスチックに注意
改めて考えてみると、結婚式ではたくさんのプラスチック(および紙)ゴミが発生する可能性が。プラスチック製のカラトリーやカップ、皿、風船、使い捨てのテーブルクロス、紙吹雪などは、残念ながら最終的にはゴミ箱行きとなってしまう。
また、テーブルリネンやカトラリー、食器類はレンタルを検討したり、イベントの規模にもよるが、テーブルクロスやナプキンはユーズドのものを集めたりすれば、エクレクティックなムードを演出することもできる。
4. ヴィンテージのドレスを検討する
一生のうち、最も特別でエモーショナルで刺激的な買い物のひとつが、ウエディングドレス。けれど、英国の平均的なドレスの価格は1000ポンド超(約16万円)のため、見た目も気分も最高にしてくれると同時に、節約できる方法を模索している人もいるかもしれない。そこで視野に入れてほしいのがヴィンテージ。
もし、家族が古いウエディングドレスを持っていれば、それを仕立て直すことはできないだろうか。また、新しいドレスを購入する場合は、誰が作ったのか、どんな生地を使っているのか、靴はどこから来たのかも考えてみよう。
最近では、原材料の調達方法や製品の生産方法、地域社会への支援に配慮しているエシカルなブランドがたくさん存在する。例えば、再生テキスタイルを使用し、エシカルな製造プロセスを採用しているデザイナーを見つけることができるかもしれない。また、これらのヒントは付添人の衣装にも当てはめてみて。
5. フードロスに配慮する
2021年2月にNLWAが行った世論調査によると、既婚者の4人に1人が、結婚式で無駄になった食べ物について罪悪感を抱いていると回答しているそう。
パーティの後に廃棄されてしまったり、ゲストが満腹で夜通し踊れなかったりするリスクを減らすためにも、ケータリング業者や会場と分量を相談してみてもいい。また、業者や式場によっては、残り物をフードバンクやシェルターに寄付して有効活用してもらえるかもしれない。
6. オーガニックなドリンクを提供する小規模店を選ぶ
ロンドンのワインバー「アンワインド・バーズ(Unwined Bars)」のエマ・チャンドラーは、「ワインを選ぶ際は、小規模でオーガニックな生産者を検討してみてください。情熱を持って作られた独創的なものが見つかるはずですし、意義深く、地球にも優しい選択です」と語る。
国産メーカーを検討してみたり、地元のリカーショップやワイナリーなどでインスピレーションを得てみたりするのもいい。
7. 会場を吟味する
その空間自体がすでに素敵なら、装飾も少なくて済む場合が多い。例えば、美しい緑が茂る屋外の会場なら、そこにあるものを活用することが可能。
また、前述の使い捨てプラスチックの使用の有無や、式の終了後に食べ物をどこかに寄付できるかなど、サステナビリティについても遠慮なく会場に相談してみるべき。
8. 紙吹雪や引き出物、その他の小さなものにもこだわる
細部にまでこだわりたいのであれば、結婚式の引き出物や、見送りの際にまく紙吹雪、パーティのギフトなど、小さなものにも配慮してみよう。
プラスチック製の紙吹雪や装飾用のグリッターは残念ながら生分解性ではないが、同じくらい美しい、乾燥させた花びらやライスシャワーなどを使ってみてもいい。引き出物についても、使い捨ての物ではなく、食料品を選ぶといった案も使える。
結婚式という大がかりなプランにおいて、サステナブルな選択を何かひとつでもすることは素晴らしいことであり、どんな小さな行動も助けになる。
考慮すべき点はたっぷりあるので、時間や予算、地元で入手できるかどうかなどのさまざまな制約により、取り入れたいと思っていたエシカルなアイデアがすべて実現できない場合でも、気楽に考えてみよう。
ひとつの小さな変化が地域社会にポジティブな影響を与える波及効果をもたらし、環境のことを考えれば考えるほど、その姿勢は生活のほかの分野にも自然と広がっていくはず。
どんな選択をしたとしても、結婚式は自分にとって大切な日であり、愛を祝福するためのクリエイティブな方法は星の数ほどあるということを忘れずに。ウエディング計画を、どうか心ゆくまで楽しんで!