世界のロイヤルたちの婚約指輪の背後には、その美しさもさることながら、魅力的な物語がつきもの。なかでもエリザベス女王の婚約指輪には、あまり知られていない感動秘話があると<Good Housekeeping>が伝えています。

エリザベス女王の婚約指輪は、ラウンドカットされた3カラットのダイヤモンドがセンターストーンとして使われ、サイドには10粒の小さなダイヤモンドがプラチナのアームに埋め込まれたデザイン。実はこの豪華な指輪は、エリザベス女王の夫・エディンバラ公フィリップ殿下の母であるアリス妃(ギリシャおよびデンマークのアンドレアス王子の妻)がひと肌脱いだおかげで作られたものなんだとか。

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アンドレアス王子とアリス妃の息子であるフィリップ殿下は、ギリシャの王子として生まれたものの、家族は決して恵まれた状況ではなかったそう。ギリシャ陸軍の軍人でもあった父は、1922年に起こった軍事クーデターにより亡命を余儀なくされ、一家はパリに亡命。10年ほどパリで過ごした後、父は南仏に移り住み、母は精神を病んでスイスのサナトリウムへ。4人の姉はドイツ貴族に嫁いだため、フィリップ殿下は幼くして家族と離ればなれになり、家族の愛を知らず、孤独な子ども時代を送ったという過去があります。

1946年にフィリップ殿下がエリザベス女王にプロポーズしたときも、殿下の財政状況は“王位継承者の配偶者”としては決して理想的なものではなかったそう。そこで助け船を出したのが、彼の母であるアリス妃。

Princess Alice of Battenberg *25.02.1885-05.12.1969+ later Princess Andrew of Greece and Denmark  - Portrait, in the chair  - about 1906 - Photographer: Karl Boehringer  - Published by: 'Berliner Illustrirte Zeitung' 03/1906  Vintage property of ullspinterest
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Town & Country>によると、彼女は自身が結婚した際に贈られたティアラに付いたダイヤモンドを、愛する人との絆の印である婚約指輪に使うよう息子に提案したんだとか。

殿下は母の寛大な贈り物を受け取り、宝石商のフィリップ・アントロバス社と協力して指輪を製作。こうして1947年7月10日、エリザベス女王とフィリップ殿下は正式に婚約を発表しました。

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指輪の美しさを否定する人はいないものの、ジュエリーの専門家がイギリスのテレビ局ITVの番組『A Very Royal Wedding』で語ったところによると、センターストーンが3カラットの指輪は「(女王の指輪にしては)やや控えめ」とのこと。これについてイギリスのタブロイド紙<デイリー・エクスプレス>は、当時第二次世界大戦直後だったため、時世を考慮してこの大きさにしたのではないか?と指摘しています。

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また、1947年11月20日に行われた女王と殿下の結婚式は、王家の挙式としては決して贅沢なものではなかったそう。実際、挙式に着用するドレスのために、エリザベス女王は戦時下の配給クーポンをためていたというエピソードも。

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エリザベス女王は公務の際、彼女のトレードマークとして知られる白い手袋を着用していることが多いものの、手袋をしていないときの左手薬指には、輝くエンゲージリングが。

イギリスの新聞<メトロ>は、この婚約指輪には現在約25万7,000ドル(約2,860万円)の価値があると伝えています。でも美しい指輪の裏に隠された感動的な物語を、お金に換算することなんてできないはず。

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

GOOD HOUSEKEEPING