幽霊に会える?実際に泊まれる、アメリカの“いわくつき”ホテル10軒
あの『シャイニング』のインスピレーション源になったというホテルも…
幼い頃に耳にした怖い話やホラー映画にたびたび登場する、「呪われたホテル」。
アメリカには、熱狂的なホラーファンなら必ず訪れておきたい、いわくつきの宿がいくつも存在しています。一般客向けにオープンしているものも多く、なかには“長期滞在者”が棲みついているものも――。
ここでは、そんなワケありホテルをまとめてご紹介。ポップカルチャーの代表作となったあの『シャイニング』を執筆する前、スティーブン・キングが訪れた有名ホテルなどもあるので、ホラー好きはぜひいつか泊まりに行って、そこに潜むモノの正体を探ってみてはいかが?
Translation: Masayo Fukaya From TOWN&COUNTRY
スタンリー ホテル
コロラド州にあるこのホテルは、米国で最も幽霊が出そうなホテルのひとつ。スティーブン・キングの小説『シャイニング』のインスピレーション源になったことでも知られています(キングはこのホテルで冬の一夜を過ごしました)。
1909年、ブルジョワ旅行者たちのために建てられたこのホテルは、すべての訪問者に車と使用人を提供していましたが、現在でもその霊魂がさまよっていると言われています。
宿泊客によると、ホテルのあちこちから、ピアノの音や狂気じみた笑い声が聞こえてくるといいます。これらの現象は、亡くなった従業員や宿泊客といった、遊び心のある幽霊によるものだと考えられています。
滞在のヒント:ホテル主催の「ナイト・スピリット・ツアー」への参加がオススメ。超常現象に精通したスタッフが、いろんな話を聞かせてくれます。
マラガ・イン
この種の唯一のブティックホテルとして現存するマラガ・インは、長い間アラバマ州で最も呪われたホテルといわれてきました。
州南部に立つこの歴史的な建物には、39の客室やヴィクトリア時代の調度品、中庭など、南北戦争時代を彷彿させる要素が残っています。
この2棟のタウンハウスはもともと、2人の義理の兄弟が家族内の2人の姉妹への結婚祝いとして建てたもので、噂によると彼らはここから決して離れなかったそう。白い服の女性や揺れるシャンデリア、勝手に点く照明、動く家具などの目撃証言が、宿泊客から寄せられています。
滞在のヒント:白い服の女性を見たいという人は、「007号室のバルコニーで彼女が歩いているのを見た」という証言を参考にしてみて。
マウント ワシントン リゾート
ニューハンプシャー州にあるこのホテルでは、不思議な滞在者――目に見えない住人、キャロライン・スティックニー(1939年没)――に遭遇することが。
彼女はドアをノックすることで知られ、(招いたかどうかにかかわらず)部屋に入ると平気で宿泊客の持ち物を借りていくそう。ただし彼女は生粋のヴィクトリア朝の女性であり、持ち物を借りた後は、元の場所にきちんと戻してくれるのだとか。
滞在のヒント:噂によると、314号室にチェックインすれば、プリンセスとして知られていたキャロラインに出会えるチャンスがあるそう。彼女の四柱式ベッドは今でもこの部屋に置かれており、運がよければ(幽霊が苦手な人にとっては「運が悪ければ」)、彼女が夜中にベッドの端に座っていることもあると言われています。
ジ オムニ グローブ パーク イン
1920年代、若い女性がここの5階(正確には545号室)から飛び降りたか、突き落とされて亡くなっています。
1世紀経った今でも、従業員や宿泊客が彼女の存在を確認しており、ピンクの霧として、あるいはゆったりとしたピンクのドレスを着た女性として報告されることが多いため、「ピンク・レディ」というニックネームも付いています。彼女に会ってみたい人は一度訪れてみては?
滞在のヒント:伝えられるところによると、幼い子どもが特に彼女を見つけやすいそう。もしどうしても彼女を一目見たいのであれば、子どもと一緒に行くという手も…。
オテサガ リゾート ホテル
100年以上の歴史を持ちながらも、不吉な物語がない大規模リゾートホテル――それはつまり、幽霊コミュニティ(しかも、フレンドリーな幽霊コミュニティ)にとっては完璧な住まいでもあるといえます。
その昔、冬の間は女学校だったというこのホテルでは、子どもが滞在していないはずの3階の廊下に、女の子たちの笑い声が今も響いているとか。それを聞いた人のなかには、どこからともなく自分の名前を呼ばれたという人もいるそうです。
滞在のヒント:数年前、アメリカのTV局Syfyの番組がこのホテルを調査した際には、現代のテクノロジーの奇跡のおかげで、人影のようなもの、何者かの囁き、夜中に聞こえる妙な物音などが確認されています。この調査では、2階、3階、5階の部屋が、幽霊のいたずらスポットであるとされました。しかし、これで事件が解決したと思わないで。このホテルは、あなたが来るのを待っているのですから…。
オムニ ホームステッド
1766年に建てられたこのホテルには、時代を超越した物語が存在します。米国最古のリゾートホテルとして知られているこのホテルの最も古い棟ではかつて、1900年代初頭に、結婚式当日に婚約者に捨てられ、失意に打ちのめされた女性が自ら命を絶ったそう。
その悲劇の日以来、彼女はその棟の14階をあてもなくさまよい歩き、ゲストや従業員を呼び止めて時間を尋ね、花婿が戻ってくるはずの時間に間に合うように、そして今度こそ彼がそこにいるようにと願っているのだとか。
滞在のヒント:いつ時間を聞かれてもいいように、腕時計かスマホを携帯しておいて。
ラ ポサダ デ サンタ フェ
ニューメキシコ州サンタフェにあるこのホテルの目玉は、ドイツ人のジュリア・シュターブ(写真右)の幽霊。リゾートになる以前ここは、1882年に商人の夫が彼女のために建てた邸宅でした。
8人目の子どもが生まれてすぐ亡くなった後、ジュリアは重いうつ状態に陥り、最終的には部屋に閉じ込もり、1896年以降は姿を現すことはありませんでした。ですが彼女は今でも、かつての寝室である「スイート100」に、煙のように漂いながら頻繁に姿を現しているそう。
滞在のヒント:お風呂が大好きだったとされるジュリア。「スイート100」の宿泊客からは、夜中に水の流れる音がするという報告があるほか、ホテル全体で水道が出たり止まったりすることもあるそう。最良のアドバイスは、バスルームを独り占めしないこと。
クイーン アン
すべての幽霊が、人間に冷たく接してくるわけではありません。1890年にこの地に開校した女子校の元校長、メアリー・レイクは、何世代も前に教え子たちにしていたように、かつてのオフィスである410号室に泊まるゲストの世話をすることで知られています。
ある人はバッグから洋服を出してくれたと言い、ある人は夜中に目を覚ますときちんと毛布がかけられていたと証言しています。
滞在のヒント:人と同じく、幽霊も見かけによらないかも?
メイフラワー ホテル
メイフラワー ホテルでの大統領就任舞踏会の伝統は、カルビン・クーリッジ大統領(第30代)の在任中に始まりました。が、舞踏会の2週間前に息子が夭折しまったため、彼は舞踏会を欠席。お祝いを埋め合わせるため、舞踏会の行われた記念日に、彼は毎年このホテルに戻ってくるといわれています。
“寡黙なカル”の愛称で呼ばれた彼の存在を感じるのは、1925年当時、舞踏会で来賓の祝辞が読まれるはずだった22時のグランドボールルームの照明の点滅と、22時15分まで彼の控え室があった8階から動かないエレベーター。22時15分が、まさに彼が舞踏会に登場する予定だった時刻なのです。
またある年には、グランドボールルームのバルコニーに豪華なオードブルの皿が残されていたそうですが、その日そのオードブルは提供されていなかったそう。
滞在のヒント:せっかくなら、舞踏会が行われるはずだった1月20日を目がけてステイを。
エスペランザ マンション
このホテルには、白い服をまとった謎の女性がホテルの敷地内を徘徊しているという言い伝えが。彼女は私たち凡人に、自分が誰なのか、どこから来たのかを正確に知られないようにすることにも非常に長けているようです――が、その方がいいのかもしれません。
滞在のヒント:白い服の女性が現れるのを待つ前に、近隣のスプーク・ヒルで一息ついて、気持ちを高めてみるのもよし。ここに停車してニュートラルにすると、車が勝手に坂道を登っていくと言われています。その答えを導き出すか、逃げるかは、あなた次第。