アカデミー賞や英国アカデミー(BAFTA)賞、グラミー賞といった各賞の授賞式は、世界中のセレブたちの功績を称え、受賞者を選び、その賞を授与するためのセレモニー。多くのセレブや関係者がゲストとして招かれるのはご存じの通り。

ただ、ミュージシャンや映画スターたちのなかにも、私たちと同じように会場では仲の良い友人と隣同士に座りたいと思っている人がいるかもしれない。こうした授賞式の会場の席次は、どのように決定されているのだろう?

ゴールデン・グローブ賞やMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMAs)、SAGアワード(全米映画俳優組合賞)など、こうした授賞式に関わってきた人たちの話をまとめてみた。

「離してほしい人」を事前に申告できる

ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)のジョージ・カマラ会長はUS版『エル』に対し、招待されたセレブが事前に、友人や同僚と隣の席にしてほしい、もしくは席を離してほしい人がいるなどと希望を伝えてくることもある、と明かしている。

また、匿名のあるパブリシストは『ニューヨーク・ポスト』紙に、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたある俳優には、とても嫌いなプロデューサーがおり、その2人を離れた席に着けてほしいと電話で頼んだことがあると話している。「問題があるとき、アカデミーはとても良く対応してくれる」とのこと。

los angeles february 5 harry styles at the 65th annual grammy awards, broadcasting live sunday, february 5, 2023 800 1130 pm, live et500 830 pm, live pt on the cbs television network, and available to stream live and on demand on paramount photo by francis speckercbs via getty images
CBS Photo Archive

“ドラマ”は避けたい

いっぽう、ゴールデン・グローブ賞授賞式の席次を決定してきたHFPAのジェニー・クーニー氏は、オーストラリア版『ヴォーグ』誌にこう話している。

「テレビ番組の共演者と個人的な関係を持って、それが良くない結果に終わったという人たちのことは、大抵把握しています。ですから、その番組の出演者たちの席は、離れた場所にあるテーブルに分けます」

「ジェニファー・アニストン、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリーが出席する会場(の席次の決定)は、いつも大変でした」

カメラの位置も重要

HFPAのカマラ会長は、「授賞式はテレビ番組でもある」ことを忘れてはならないと指摘する。主催者側も、受賞したセレブが名前を呼ばれた瞬間の表情をカメラに収めたいもの。

SAGアワード授賞式のプロデューサーのひとり、ジェン・コイン=ハーレ氏がNetflixの公式ガイド『タダム』に明かしたところによると、ノミネートされている人や大スターたちには、カメラがその姿を捉えやすいよう、ステージや通路に近い席を用意しているという。そして、完璧な席次を考える作業は「生き物でパズルをしている」ようだと表現している。

席次に従わないセレブも

MTVミュージック/タレントのヴァイスプレジデント、ジーナ・エスポジート氏はUS版『コスモポリタン』誌に対し、セレブのなかには決められた席ではなく、一緒にいたい友人の隣に座る人もいると明かしている。

例えば、セレーナ・ゴメスとテイラー・スウィフトは離れた席を用意しても、隣同士に着席するのだとか。

los angeles, ca august 30 singer songwriters taylor swift l and selena gomez in the audience during the 2015 mtv video music awards at microsoft theater on august 30, 2015 in los angeles, california photo by john shearergetty images
John Shearer

受賞の可能性と席次は無関係

仮に、あるセレブが表彰台に向かってまっすぐ続いている通路のすぐそばの席に着いたとしても、それが受賞の可能性が高いことを示しているわけではないという。

ただそれでも、2008年に亡くなるまで20年以上アカデミー賞授賞式の席次の決定を担当していたオットー・スぺーリ氏は、2002年、米公共ラジオ放送『NPR』のインタビューで、「どの候補者が受賞するか想像し、楽しみながら席順を決めている」と話している。

the 65th annual grammy awards
CBS Photo Archive//Getty Images

最高の席を要求するのは「関係者」?

自分の席について、どの位置がいいなどと要求するのは、意外なことに大スターたちではなく、出席する関係各社の重役たちなのだそう。HFPAのカマラ会長は、「彼らにとって、自分が最高と思う席に着けることは、とても重要なこと」だと説明している 。

セレブたちも席順に興奮!?

授賞式で自分が誰の近くの席に着くかを知って、めまいを起こすほど興奮するセレブたちもいるそう。ゴールデン・グローブ賞の席次を決めていたクーニー氏はオーストラリア版『ヴォーグ』誌に、「誰が誰の近く座ったら楽しんでくれるか考え、それが実現できることは最高に楽しい」ことだと語っている。

「ジャスティン・ティンバーレイクと(妻の)ジェシカ・ビールが出会ったのは、ゴールデン・グローブ賞の授賞式。それは私たちが、プレゼンターとして招いた彼らの席を同じテーブルにしたからです」

コイン=ハーレ氏も、席順を知るのはゲストたちにとって楽しみのひとつだと明かしている。

「『どうしよう!ブラッド・ピットがいる!』と言って、興奮するセレブもいるんです」

From COSMOPOLITAN UK