映画『ザ・リング』や『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などに出演している、女優のナオミ・ワッツ(54歳)。

更年期の症状に悩んでいた過去を明かしている彼女は、閉経や更年期障害について語ることがタブー視されている現状に疑問を抱き、社会や女性の考え方を変えていくための活動を続けている。

“更年期ポストカード”を作ったことでも注目を集めている彼女の、閉経・更年期との向き合い方とは?

「閉経に近づいている」と言われ…

Oprah Daily>のインタビューに応えたナオミは、30代後半で不妊治療をはじめたことが、閉経や更年期と向き合うきっかけになったと告白。それ以前は、ナオミ自身も閉経や更年期について「よく理解していなかった」という。

「私の母は、45歳頃に閉経したと言っていた記憶がうっすらとある程度で、母と閉経や更年期について話したこともほとんどありませんでした」

現在は、2人の子を持つ母でもあるナオミ。30代で当時のパートナーであるリーヴ・シュレイバーと出会い、36歳頃に家族を増やしたいという思いがあったものの、なかなか子供に恵まれなかったそう。

そこでホルモン数値を確認する血液検査を受けたところ、閉経に近づいていることが伝えられたという。

「当時はとてもショックで、まるで自分がダメな人間かのように感じました。どうすれば良いのか分からなかったし、誰とも話せなかった。それに、当時は情報もそれほどなかったんです。ただただ病院で『血液検査の結果は閉経が近いことを示している』とだけ言われて帰ってきました」
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▲ 二人の子どもとナオミ・ワッツ

キャリアに対する不安も

ナオミは幸いにも2人の子を授かったものの、産後に「閉経前期」に突入し、多量の寝汗をかくなど様々な症状が現れたという。また、「自分の性的魅力についても不安を抱くようになった」、とも。

「(閉経を迎えることで)自分の魅力が薄れてしまうように感じていました。特に芸能界は恐ろしい場所で、かつて『女優のキャリアは、性的魅力がなくなったら終わり』と聞いたこともありました。だから、卵巣が以前のように機能していない私のキャリアは終わったのかも…なんて考えたり。本当に孤独な気持ちでした」

友人たちに相談しても笑いでごまかされたり、まともに取り合ってくれなかったと話しているナオミ。そういった環境で「誰も話したがらないんだから、私も隠さなきゃ」と一人で抱え込んだ時期もあったという。

ところが次第に「同じような経験や悩みを持つ女性はいるはず」と思うようになり、閉経や更年期をタブー視する風潮に疑問を抱くように。そこでナオミは、積極的に講演会などで発信を続けたほか、閉経に向かう経験を語り合えたりサポートするブランド「Stripes」を創業。

「できれば私も母から閉経についてもっと教えてもらいたかった。でも、母も彼女の母から教えてもらうことがなかったし、さらにその前の世代だってそうだったでしょう。でも、こうして(閉経や更年期について)隠すのは、おかしなことだと思うんです。思春期の反対側にあるものですから。すべての女性が経験することです。だから、知識を次の世代に伝え、心構えができるように会話をしましょう」
「閉経前期は転換期です。アップダウンが激しいので、愚痴を言って泣けるような場や、共に笑いに変えられるような場所がなければ、本当に辛い時期になります」

更年期ポストカードの意義

最近では、「更年期ポストカード」を制作したことでも注目を集めたナオミ。

カードには、更年期の症状について記されているほか、「でも、素晴らしいパワーを感じられるようになるはず」や、「少なくとも一緒にパニックになれる友達がここにいることを忘れないで!(朝4時に連絡してきてもOK)」、「更年期と思春期は似たようなものなのに、ときめく更年期の映画が存在しないなんて」といったユーモアを交えた言葉なども添えられている。

更年期ポストカード
Noam Galai//Getty Images

偏見をなくすことや、更年期を迎える人にサポートを表明することを目的としてつくられており、「悩んだり愚痴ったりすることと同じくらい、笑える余地を残しておくことが大切。そうすることでもっとオープンに語られていくようになると思うから」と、インタビューでも語っている。