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2011年3月11日14時46分当時、そしてそれからの10年の歩み、さらに未来に向き合うために、ぜひ、手にしたいのが、東日本大震災を綴った本。今回は「Hearst Contents Hub」から、ブックフェア開催中のブックファースト新宿店の各売り場の方々のコメントとともに12冊をご紹介します。
「50年近く丹精したバラ園は、原発事故のため立入禁止区間に。在りし日の姿と現在の姿が収められた、<喪失>を超えるための記録です」(文芸書・芸術書担当)
福島原発事故の陰で起きたバラ園の悲劇と、園主が失望から立ち直る道のりを、美しい写真と文で綴る。著者は元テレビキャスターのマヤ・ムーア。倉本聰氏による序文、当時駐日アメリカ大使だったジョン・V・ルース氏の寄稿も必読。世界バラ会連合世界バラ会議2018優秀文学賞を受賞した英語版の、待望の日本語版。
「震災直後の双葉郡消防士の活動の記録。津波の救助、原発構内の消火活動。8年目でようやく口にできた内容はまだ生々しく残ります」(文芸書・芸術書担当)
フリーライターの著者、吉田千亜 が2018年から1年ほどをかけ、双葉消防本部で当時活動をしていた消防士125名のうち66名からていねいに話を聞きとった。原発事故ゆえ他県消防の応援も得られず、不眠不休で続けられた地元消防の活動と葛藤のルポルタージュ。
「確かな足元を信じることができなくなってからの気分を震災後の小説たちは形にしています」(文芸書・芸術書担当)
大災厄に見舞われ、鎖国状態となった日本。百歳を過ぎても健康な老人と、学校に通う体力もない子ども。義郎は身体の弱い曾孫の無名が心配でならないが、無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。反響を呼んだ表題作のほか、震災後文学の頂点とされる全5編を収録。全米図書賞(翻訳文学部門)受賞。
「陸前高田の地に集まり、話し合い、<みんなの家>が築かれてゆく過程。建築の存在意義を問いながら進められた後に結実した希望の一冊」(人文書担当)
第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2012年8月29日~11月25日)において金獅子賞を受賞した日本館の展示記録であり、また同時に岩手県陸前高田市で建設が進められた「みんなの家」が完成するまでの記録集。 同市出身の写真家・畠山直哉氏による、被災後の陸前高田と「みんなの家」が立ち上がっていく様子を写真で紹介。
「著名な批評家が知のプラットフォームを立ち上げてからの顛末を記した本書は、震災後の10年を振り返る上でも示唆に富む一冊です」(人文書担当)
2010年、新たな知的空間を目指して「ゲンロン」を立ち上げ、ゲンロンカフェ、思想誌『ゲンロン』刊行、動画配信プラットフォーム開設…華々しい活動の裏で起きた、仲間の離反、資金のショートなど、予期せぬ失敗の連続。同時代に起きた東日本大震災やコロナ…10年の自身の悪戦苦闘を通して紡がれる哲学。聞き手石戸諭による語り下ろし。
「マスではなく、身近な視点から記した日録。だからこそ伝わってくるものがある貴重な記録です」(新書・児童書担当)
1954年生まれの著者は、東京で大震災に遭遇。かつて、関東大震災直後の記録を読んでいたことから,新聞・テレビ報道では見えてこない生の声を記録、ホームページなどでリアルタイムに発信を続けてきた。本書はそれらに加筆。文化財を含む東北各地の被災状況を伝える貴重な日録。
「いざ災害が起こると、現地では行政との連絡もままならず混乱する…その状況を打破した、奇蹟の避難所があったことを知っておきたい」(新書・児童書担当)
3月11日、宮城県石巻市不動町。大津波を逃れて、人びとは勤労者余暇活用センター・明友館に集まった。行政のシステムが機能不全を起こし、ボランティアグループさえ十分に機能できない状況のなか、高齢者や子どもを含む136人は生き抜くためにどう闘ったのか。傑出したリーダーのもと不思議と笑い声の絶えない避難所に長期密着したルポルタージュ。
「写真で福島の今を伝えてくれる絵本。10年がたった今でもふるさとに帰れない人がいます。原発事故の恐ろしさをわかりやすく教えてくれます」(新書・児童書担当)
地震と原発事故という二重の災害ののち、福島の人々のくらしはどのように変わったのか。『ランドセルは海を越えて』の写真家・内堀タケシが、震災後の福島の様子を取材し、人々の声とともに、ひとりひとりの表情や風景を伝える写真絵本。
「<復興>への認識を問い直させられた1冊。福島県いわき市在住のアクティビストが全国に問う新たな復興ビジョン」(社会書担当)
震災から10年、外国人との交流、福祉施設での滞在、娘の成長…、出会いや土地との交わりを通して、思考し、格闘し続けた福島のアクティビスト。自身が「ぼくがどのように復興してきたのかを記した『復興の書』である」と語り、トラウマを受け止めるナラティブにたどり着く。大佛次郎論壇賞を受賞した『新復興論』の、待望の増補新版。
「この本に出合うまで、本の紙がどこから来ているかなど考えた事もありませんでした。やっぱり紙の本って良いなぁと思える一冊です」(社会書担当)
「8号(出版用紙の製造マシン)が止まる時は、この国の出版が倒れる時です」あの日、宮城県の日本製紙石巻工場は津波に呑みこまれた。壊滅的被害だったが、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員はみな、工場のため、石巻のため、そして、出版社と本を待つ読者のために力を尽くした。 震災の絶望から、工場の復興までを徹底取材したノンフィクション。
「語り継ぐ記憶、語り合う未来 ―東日本大震災から十年」
ブックファースト新宿店では、この10年の間に刊行された多数の出版物から約500点を集め、さらに 震災に関係する著作のある著者の方々に、推薦書を挙げていただきその推薦文とともにコーナーを設置。どれも、見ごたえ、読み応えのある本ばかり。自分なりに、向き合える1冊を手にしよう。
日程:~2021年3月19日(金)
場所:ブックファースト新宿店 東京都新宿区西新宿1-7-3 モード学園コクーンタワー 地下1階・地下2階
tel.03-5339-7611
問い合わせ先:ブックファースト新宿店