恋愛至上主義というあなたも、しばらく恋愛はご無沙汰だという人も…。恋だけが与えてくれるトキメキや、満たされた優しい気持ち、そして胸を締め付けられるような切なさを、読書を通して味わってみませんか? 今回は、世界のコスモガールたちが推薦するとっておきの「愛」についての本を調査。初夏の太陽を浴びながら、恋愛本の世界に浸ってみて!
モスクワ(ロシア)
名前/エカテリーナ(26)
職業/デジタル・アーティスト
アーティストとして「コスモポリタン・ロシア版」、「ランコム」などのデザインを手掛けるエカテリーナ。想像力豊かな彼女の心をドキドキとさせる一冊とは?
【エカテリーナの読書プロフィール】
Q.読書をする頻度は?
A.月に1、2冊。
Q.ロシアでお気に入りの読書スポットを教えて。
A.Coffe is a Fruitにはよく通うわ。テーブルが5卓しかないコージーなカフェで、スイーツも美味しいの。
『The Best of Me』(Nicholas Sparks/ Grand Central Publishing)
「ノースカロライナ州の小さな町に住む高校生の美しいアマンダとシャイなドーソンが出会って恋に落ちるんだけど、ドーソンの逮捕や父の死などを経て、それぞれ違う道を歩むことに。そして25年後、結婚して母になったアマンダとドーソンは再会し、彼女はまだドーソンのことを愛していることに気付く、という物語。
どれだけ長い年月が経ち、たとえお互いの生活が変わっても、色褪せることのない愛の物語に感動! 『きみに読む物語』の作家ニコラス・パークスの本なんだけど、映画化もされた作品よ。
10代の頃の2人の恋が微笑ましくて、胸がキュン! 特に、2人が出会ったばかりの頃、ドーソンが駐車場でアマンダの車の修理を手伝ってあげ、何か話そうとするシーンがあるんだけど不器用さが可愛くて…。そこでアマンダが「ナンパの仕方もわからないの?」と、彼女から次の約束をこぎつけるの。私自身、学生時代にこんな初恋に憧れていたから、しばらく心に甘い幸福感が残ったわ。実際には、こんなにドラマチックすぎる展開に私は耐えられないけど、日常生活から非日常の恋の世界にワープさせてくれる魔法の一冊」
【心に残る一文】
“You might not understand, but I gave you the best of me, and after you left, nothing was ever the same.”
(きっと分かってくれないかもしれないけど、あなたには私のすべてを捧げた。そしてあなたが去った後、以前とはすべてがまったく違うものになった)
マドリード(スペイン)
名前/ヴァレンティ―ナ
職業/スタイリスト
インスタグラムでは3万8千人以上のフォロワーを誇るファッショニスタのヴァレンティーナ。オシャレ番長の彼女が推薦するスタイリッシュな恋愛本とは?
【ヴァレンティーナの読書プロフィール】
Q.読書をする頻度は?
A. 読書をしない日なんてないわ! 同時進行で2冊を読み進めていくのが私流。
Q.マドリードでのお気に入りの読書スポットを教えて。
王宮の近くにある、こだわりの本を扱っている「Desperate Literature」にはよく立ち読みをしに行く。もしくは、広大なレティーロ公園や、バラ園が美しいオエステ公園など夢想に浸れる読書スポットがマドリードにはたくさんあるの!
『Just Kids』(Patti Smith/Ecco)
邦題:『ジャスト・キッズ』(パティ・スミス/河出書房新社)
「カウンターカルチャー全盛期の1960年~1970年代のニューヨークを舞台に、パンクの女王ことパティ・スミスが写真家ロバート・メイプルソープとの「本物の愛」を描いた青春回想録。
ニューヨークに夢を持って出てきたもののホームレスのように暮らしたり書店で働いていたパティは、同じく無名のアーティスト、ロバート・メイプルソープと出会うの。その後、20代の“キッズ”の二人が、一緒に暮らしてアートを追求し、互いに成長していく様子が描かれているわ。
ロバートがホモセクシャルの世界に足を踏み入れ、エイズで息を途絶えようとしても強く繋がる絆に感動! 彼らの愛は”形式”を超え、最も自由なカタチなの。2人は恋人であり、友人。そしてソウルメイトであり、パートナーでもある。お互いを心から尊敬しあい、それぞれの人生やアーティストとしても影響を与え続けていくの。そんな2つの美しい魂が刺激し合って、一緒に偉大な表現者と成長いていく彼らの姿に、いつか私もこんな関係を築きたいと強い憧れを抱くように…。
チェルシーホテルでのアーティストとの出会いや、アレン・ギンズバーグ、アンディ・ウォーホルなど当時のアート界の重要人物との交流も必見よ!」
【心に残る一文】
“We were walking toward the fountain, the epicenter of activity, when an older couple stopped and openly observed us. Robert enjoyed being noticed, and he affectionately squeezed my hand.”
(年配のカップルが立ち止まってあからさまに私たちを観察していたとき、ロバートと私は噴水に向かって歩いていた。彼は気付かれることを楽しみながら、優しい愛を込めて私の手をぎゅっと握ったの)
ニューヨーク(アメリカ)
名前/アンジェラ(37)
職業/ブックライター、ポッドキャスター
「コスモポリタン・アメリカ版」で過去にエディターを務め、現在は「エスクァイア」でライターとして活躍する傍ら、自身のポッドキャスト「Lit up 」で作家を招いて書籍の世界を紹介するアンジェラ。本の専門家の彼女が推薦する、とっておきの一冊に注目!
【アンジェラの読書プロフィール】
Q.読書をする頻度は?
職業柄、週に1冊以上はマスト。
Q.ニューヨークでのお気に入りの読書スポットを教えて。
マンハッタンのダウンタウン、ノリータにあるブックストア「McNally Jackson」のカフェはオススメ。本がたくさんある空間でティ-イタイムを楽しみながら読書に没頭できるから、ブックラバーにとっては天国のような場所なの。
『Sea of Strangers』(Lang Leav/Andrews McMeel Publishing)
「『年齢や経験を重ねるにつれて恋心にリミットを設けてしまう…。もう一度本気で恋をする勇気をもって、恋愛が与えてくれる強い感情を味わいたい!』そんな思いを持つ人におすすめなのが、この一冊。
彼女の経験をもとに綴られた詩と散文は、心の鼓動や感情の揺れ動く様子が瑞々しく伝わってきて、つい夢中になってページをめくってしまう。恋に落ちているときの陶酔感、自分の周りの世界が一変してしまうような幸福感や、失恋の傷から回復するまでの締め付けられるような胸の苦しさ…。恋愛をしているときの一瞬一瞬の繊細な気持ちが、美しい文体で表現されているの」
【心に残る一文】
“Bravely accept the fact that I can’t keep my heart safe any more than I can stop love from taking everything from me.”
(私のすべてを奪う恋を諦めるより、以前のように心の平静をもう保てないという事実を、勇気をもって受け止めた)
ニューヨーク(アメリカ)
名前/レタ(29)
職業/グラフィックデザイナー
日本語を勉強中というレタは「グッチ」、「ニューヨーク・タイムズ」、「ブルームバーグ」など幅広いクライアントのグラフィックデザインを手掛けている。独特の世界観を表現する彼女がおススメする一冊とは?
【レタの読書プロフィール】
Q.読書をする頻度は?
3カ月に1冊ほど。
Q.ニューヨークでのお気に入りの読書スポットを教えて。
自分の部屋かしら。ジャズを聴きながら、ソファでくつろいで本の世界に浸るのが一番の贅沢な時間。
『My Cat Yugoslavia』(Pajtim Statovci/Pantheon)
「20代のフィンランド在住の作家による衝撃デビュー作なんだけど、奇想なアイデアに夢中になって読んでしまう一冊!
1980年、ユーゴスラビアにルーツを持つべキムはフィンランドで育ち、LGBTQ、移民という立場から社会的なマイノリティと捉えられるの。ある日、ゲイバーで話すことができる猫に出会ったことがきっかけで、コソボに旅をし、彼自身の内面や家族の歴史に直面することを通し、本当の愛を見出していく…というストーリー。
個人的に印象に残ったのがべキムの母親、10代の頃に結婚させられたイスラム教徒のエミンの生き方。結婚後、現状を疑問に感じるようになり、幸せじゃないと気づくの。私はいろんな状況の女性の生き方や恋愛を知ることにすごく興味があるから、そういった意味でも勉強になったわ」
パリ(フランス)
名前/ポーリ―ヌ(32)
職業/ジャーナリスト
『マダム・フィガロ』などの雑誌にアート、モードについて執筆するジャーナリストのポーリーヌ。文章を書くことが大好きというパリジェンヌをときめかせた一冊とは?
【ポーリーヌの読書プロフィール】
Q.読書をする頻度は?
A.1カ月に1、2冊。
Q.パリでのお気に入りの読書スポットを教えて。
A.日光浴ができるような天気のいい日は、ルーブル美術館とコンコルド広場の間に位置するチュイルリー公園のベンチで読書をするの。とても静かで、本の世界に浸ることができる秘密基地のような場所。気が向いたら、公園の前にある「Librairie Delamain」で立ち読みしたり、新しい本を購入したりもするわ。
『 Faire de l’amour』(Jean-Philippe Toussaint /MINUIT)
邦題:『愛しあう』(ジャン=フィリップ・トゥーサン/集英社)
「あるフランス人カップルが別れを目前に日本へ旅し、新宿や京都を舞台に繰り広げるストーリー。彼女はアーティスト兼オートクチュールのデザイナーで、エキセントリックで矛盾だらけ。語り手である彼は、塩酸のビンを持ち歩く、どこか危険な男。7年間続いた二人の関係は危機に陥っていて、論争や暴力的な感情、強い欲望がこの本には織り交ざっているの。
そして繊細な心情が巧みに表現されていて、感性を豊かにしてくれる一冊でもあるわ。特に美しいと感じたのが、語り手である彼が彼女と愛しあってケンカをした後、ホテルの最上階まで駆け上がっていき、夜中のプールで泳ぐシーン。新宿の夜景や雰囲気がとても美しく語られているの。
セックスと愛について、さまざまな発見ができる最高の一冊よ!」
【心に残る一文】
“ Elle m’avait souri, elle m’avait avoué par la suite qu’elle était tombée amoureuse de moi dès cet instant.”
(彼女は僕に微笑み、その後、僕に「恋に落ちた」と言った)
ロンドン(イギリス)
名前/デリア(28)
職業/監督、フォトグラファー
ファッション映画やミュージックビデオなどで監督、フォトグラファーとして活躍中のデリア。幻想的な世界観を表現する彼女が選んだ一冊は、動物と人間の愛の物語⁉
【読書にまつわるプロフィール】
Q.読書をする頻度は?
常に本を持ち歩いているわ。今は小説よりも、エッセイや詩集に夢中。
Q.ロンドンでのお気に入りの読書スポットを教えて。
ロンドンのチューブ(地下鉄)で読むのが一番好き。
『H is for Hawk』(Helen Macdonald/Grove Press)
邦題:『オはオオタカのオ』(ヘレン・マクドナルド/白水社)
「『愛』は男女間のものだけじゃないわ! 最近読んだ本で心を突き動かされたのが、オオタカと、深い悲しみに陥った女性の切なくも奥深い愛の物語。父の死によって悲しみにくれるヘレンが、雌のオオタカ、メイベルを育てることで、辛さから立ち直っていくまでの約1年余りのエピソードが綴られているの。
本の随所にホモセクシャルだったイギリスの作家、T・H・ホワイトの、オオタカへの絶望的な愛が述べられていて、心が痛むし、とても切なく感じたわ。
瑞々しく描かれたケンブリッジの自然を背景に、リアルな深い悲しみが生々しく描かれ、読んだ後になぜかエレガントな気持ちになる一冊よ」
【心に残る一文】
“You see that life will become a things made of holes. Absence. Losses. Things that were there and are no longer. And you realise, too, that you have to grow around”
(いつか人生は穴があるものになる。不在や喪失、今まであったものがいつかなくなる…。そして君は気づくんだ「成長するべきだ」と)