「あまりにも痩せすぎ」「すべてがひどい選択!服、髪、痩せすぎ…老けて見える」「痩せすぎ、衰弱しているようにさえ見える。見ていて悲しくなった

――まさに、「ボディ・シェイミング」にあたるコメント。だが、これらは意外にも、いつも人の(主に女性の)外見をからかうタブロイド紙のコメント欄に寄せられたものではない。インスタグラムに投稿された、イギリスの歌手ロビー・ウィリアムズの姿に向けられている。

体重、身長、あるいは年齢を理由とする「シェイミング(けなすこと)」や、人の外見に関して不適切、または否定的な発言をすること(そして、それをその人の価値に結び付けること)は、絶対にすべきではないこと。

だが、残念ながらこうしたことに、女性たちはずっと以前から慣らされている(最近の例では、フローレンス・ピューやアリアナ・グランデが体重について、ドラマ『And Just Like That… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』に出演するクリスティン・デイヴィスが「(美容外科に頼って)年齢に逆らっている」ことについて、批判されている)。

ただ、最近ではこうした扱いを受けるのは、女性にとどまらないことが指摘されるようになっている。そのことについて語ろうとする人は少ないようにみえるものの、ロビーと同じような経験をしている男性は、ほかにも大勢いるはず。

つまり、これは“ジェンダーにかかわらず”私たちがともに闘うべき問題であり、急を要する問題といえる。

「醜形恐怖症」に悩んでいることをオープンにしているロビーへのボディ・シェイミングには、とりわけ胸が締め付けられる。ロビーは7月、ファンに対し「自分は身体醜形障害である」と語り、「自らを醜いと感じることの醜さ」や「紛れもない苦しみと、恐ろしいほどの悲しさ」について、心情を吐露している。

これは、男性にも女性と同じようにその悪影響を訴える人たちがいるにもかかわらず、私たちが「男性の外見を批判するのは普通のことであり、“許容される”と考えている」ことの証拠ともいえる。

――私たちはこの問題においても、「男女平等」を目指すべきではないのだろうか?

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Lionel Hahn//Getty Images

ボディ・シェイミングについては、主に女性に向けられる言葉が問題視され、批判されてきた。そして、(女性と同じように、否定的な言葉の影響を受けることが証明されている)男性の場合、そうした発言は見過ごされ、「からかっただけ」などと軽視されてきた。

だが、イギリスの慈善団体「Campaign Against Living Miserably(CALM)」が行った調査では、男性の48%が、「ボディ・イメージがメンタルヘルスに悪影響を与えたことがある」と答えている。そして5人のうち2人が、「完璧な体型でなければならないというプレッシャーを感じている」という。

この調査結果は、「男性は自らの外見に関して不安を感じたり、敏感だったりすることはない」という考えが、完全な誤りであることを示している。

ロビーは「醜形恐怖症」が自分にとってどれほど大きな問題であるかということに、とても敏感であるはず。“衰弱している”という言葉が彼の自己肯定感や精神にどれほどの悪影響を及ぼすかについて、考えてみてほしい。こうした発言をする人たちは、それでも「からかっただけ」で済ませようとするのだろうか?

さらに、あれこれ言われるのは、男性の体重やいわゆる“男らしさ”だけではない。年齢もまたシェイミングの対象になっていると考えられる。

ジェンダーを巡る問題も取り上げているグレタ・ガーウィグ監督の映画『バービー』に出演したライアン・ゴズリングは、「ケン役には年をとりすぎている」と指摘され、SNSへの投稿では、「#NotMyKen(私のケンではない)」などのハッシュタグが使用されている――こうした言動は、一体いつになったらなくなるのだろう?

celebrity sightings in los angeles june 27, 2022
MEGA//Getty Images

2023年3月に公開された映画『ALL OF THOSE VOICES』のプレミアに登場した(イギリスのボーイズグループ「ワン・ダイレクション」のメンバーだった)リアム・ペインは、このとき撮影された写真が多くの人にからかわれ、美容外科医たちまでが、「フィラーや脂肪吸引、ボトックス注射をしたのでは」など、現在の外見について議論を交わしたほど。

リアムが美容外科で何らかの処置を受けたかどうかが、本人以外の誰にとって問題だというのだろう?多くの女性セレブたちが外見を批評されることでいかに精神面にダメージを受けてきたか、私たちはもうずいぶん多くを聞き、学んできたのではないのだろうか?

ザック・エフロンやティモシー・シャラメも、こうした問題についての自らの経験を語っている。

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Karwai Tang//Getty Images
リアム・ペイン

イギリス議会が2020年に実施した調査によれば、成人の61%は自分自身のボディ・イメージについて、否定的な感情を持っているという。そのうち「非常に否定的」と答えた人は、男性の14%、女性の13%で、わずかながら男性の方が多くなっていた。

「ケン」も「バービー」も、それを目指すのは同じくらい大変だということ。私たちは男性の外見をけなすたびに、女性、そしてすべてのジェンダーの人たちに、悪影響を与えている。

結局のところ、人の外見は文字通り、本人以外には関係がない。人に何か言うのであれば、称えるようなことを言いたいもの。学校では昔、クラスメートに「何も優しいことが言えないなら、何も言わないこと」とされていた。この言葉は今、かつてないほど“的を射たもの”になっているように思える。

From COSMOPOLITAN UK