COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)を機に、これまで以上に地球環境やサステナビリティへの関心が高まっています。そうしたなか、消費者はどの化粧品が自分の肌に最も合っているかという点のみならず、どの製品が地球にとってもベストであるかを知ろうとしています。

英国の美容業界団体「ブリティッシュ・ビューティ・カウンシル」の最近の調査によると、2万3000人の美容関連の買い物をした人の約半数(48%)がブランドの価値観や環境問題への取り組みについて、より多くの明確な情報や透明性を求めていることが明らかに。

これまで以上に、私たちはビューティ業界における“サステナビリティ”の真の意味合いを理解する必要が。つまり、本当にサステナブルな製品は存在するのか? それとも消費者の購買意欲をそそるためのマーケティング手法のひとつに過ぎないのか? また、消費者である私たちは、プロダクトを購入するときに何を求めるべきなのか? 私たちにできること、そして購入するブランドが(環境のために)できることは何か? といった点を理解していかなくはいけません。


【INDEX】


ビューティにおける「サステナブル」とは?

環境保護に力を入れる「ザ・ボディショップ」にとってサステナビリティとは、企業活動が地球にとっての害を生み出さないことを意味します。同社の企業責任部門のディレクターであるクリストファー・デイヴィス氏は、ブランドの究極の目的は、地球と社会の両方が繁栄することだと説明。

「地球がこの先何年も繁栄できるようにするためには、私たち一人ひとりが役割を果たす必要があります。気候変動のような課題は、とても巨大で恐ろしいと感じるかもしれません。しかし、私たちは誰もが前向きな選択をすることができるのです。まずは、どのように行動するか、何を買って使うのかを選択することから始めましょう」
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消費者がサステナブル・ビューティに期待していること

サステナブルなビューティブランドの先駆けである「アップサークル」(UpCircle)の共同設立者、アンナ・ブライトマン氏は、「現在、消費者の関心は、お金を稼ぐことに急いでいるブランドではなく、変化をもたらすために急いでいるブランドに集中しています」とコメント。

「消費者はナチュラルでオーガニックなプロダクト(の販売)や、サステナブルな原材料の調達、パッケージに関する革新的な解決策など、環境問題にコミットしているオーセンティックなブランドを支持したいと考えています」
「また、そのブランドが真にサステナブルなのか、それとも単なるリップサービス(グリーンウォッシュ)なのかを見極めるうえで、透明性をますます求めるようになってきています」
「お金で企業に投票するという考え方は重要で、人々は自分の価値観に合うブランドから購入したいと考えているのです。ブランドとしては、お客様に責任を課されると、常に最高の状態を保つ励みになります」

これは、5~10年前に消費者が求めていたものとは大きく異なる、重要な変化だと言えます。

「当時、ビューティブランドの絶対的基準は、素晴らしい製品を提供することでした。しかし、今ブランドに求められているのは、製品の枠組みを超えて、主張する何かを待つことなのです。つまり、環境や社会に何らかの形で前向きに貢献する、もしくは個人の表現をサポートすることで、存在意義を証明しなければなりません」とブライトマン氏。

「英国で手作りしている当社の製品は、ナチュラルでオーガニック、ヴィーガン、クルエルティフリー、パームオイルフリー、サステイナブルで、100%リサイクルできる詰め替え可能なパッケージを使用しています。私たちは、『ナチュラルであること』をニューノーマルと捉えています」
「当社は、サーキュラリティ(循環性)をはじめとするすべての項目を満たしたもののみが、真のサステナビリティを備えたビューティ製品だと考えています」

サステナブルなビューティ製品とは?

まず、製品を作っている原料について考えよう。原料に責任を持つということは、単に高品質であることや、調達方法が適切であるということだけではありません。

このほかに、成分の長期的な影響や環境への影響についても考える必要がある。ブリティッシュ・ビューティ・カウンシルは、消費者とブランド、両者の疑問に答えるために、「プラネット・ポジティブ・ビューティ・ガイド」を発表。

原料のほかにも、サステナブルなビューティ製品には、すべての製造プロセスにおいて徹底的にサステナブルであることが求められます。つまり、調達、製造、包装、販売のすべてにおいて、可能な限り環境負荷を小さく抑えなければならないということ。

「ザボディショップ」にとって、世界中のサプライチェーンや店舗に関わる人々が、公正な報酬と待遇を受けていることも“サステナビリティ”に含まれています。

デイヴィス氏は「企業の多くは、すべての原料を海外の大規模な業者から購入しています」「しかし、私たちは異なるアプローチをとっています。当社で扱う23種類の天然原料は、2万5000人の人々に利益をもたらす先駆的なコミュニティ・トレード・プログラムを通じて入手しています」と語っています。

製品がサステナブルであることを確かめるキーワードは?

ブライトマン氏は、次のようにコメント。

「私が最もおすすめしたいキーワードは、『バイプロダクト(副産物)』『サーキュラー(循環性)』『アップサイクル』といった表現です」
「既存の原料から作られた製品を購入することは、地球に優しい買い物の好例といえるでしょう。世界の資源には限りがありますが、私たちは恐ろしい速さでその資源を枯渇させています。ですから、すでに流通しているもののライフサイクルを延ばしたり、これまで寿命だと思われていたものを再利用する方法を見つけたりしている会社の製品はとても素晴らしいと思います」

避けるべきキーワードは?

ブライトマン氏は次のようにコメント。

「サステナブルな買い物をする際に避けるべきキーワードですぐに思い浮かぶのは、『クリーン』『ケミカルフリー』『ノントキシック(毒性のないもの)』などがあります。問題は、どんな物質でも化学組成を持っているため、化学物質を含まない化粧品というものは存在しないという点です」
「多くのブランドが “ケミカルフリー・スキンケア” “ノントキシック・ビューティ”といった全くもって不正確な表現をマーケティングに使用して、消費者を混乱させています。これらの表現は、消費者にブランドのサステナビリティを証明するものとして理解されていますが、実際には、製品のパッケージにリサイクルできないプラスチックが使われていたり、膨大なカーボンフットプリントを抱えていたりして、どちらも“クリーン”とは言えないのです」
「私は自宅で100%リサイクル可能、または自宅でコンポスト可能(堆肥にできる)な製品を購入することをおすすめします。パッケージを詰め替えることができない場合でも、次善の策として、自宅でリサイクルやコンポストを行うことができるからです。こうすることで、製品がリサイクルステーションに届くまでの輸送の必要がありません」

消費者としてできること

状況を好転させるのは、美容業界だけの責任ではない。消費者である私たちにも、変革を起こす力が。まずは、製品を購入する前にラベルを見るだけで、サステナブルな選択を始めることができます。

動物実験が行われていないことを証明するリーピングバニー(飛び跳ねるウサギ)のロゴに注目してみよう。また、フェアトレードやレインフォレスト・アライアンスのロゴは、原材料がサステナブルな方法で調達されていることを示している。また、パッケージがリサイクル可能かどうかをチェックすることも忘れてはなりません。

さらに、ゴミ箱に捨てるべきものを排水溝に流さないなど、使い終わった製品は正しく廃棄しよう。パッケージがリサイクルできない場合は、空の容器をアップサイクルできないか、または別の用途がないかを考えてみよう。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya


From: ELLE JP