【悶々30】「女子のユートピア」はどこにあるのか?

あらゆる女子が心地よく働き、子供を産み、安心して子育てできる世界、って。

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「子供を作るのに、男は不必要」の世界があるらしい

つい12カ月前のことでしょうか。科学雑誌「ナショナル・ジオグラフィックで、食べていた納豆ご飯を危うく吹きそうになるビックリ記事を発見しました。それはトカゲの仲間であるサラマンダーに関するもので、彼らには一部メスだけの集団があり、そこでの繁殖にオスが必要でないというのです。

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『ファインディング・ニモ』でおなじみの魚類クマノミや、カタツムリなど雌雄同体の動物はこれまでも知っていましたが、わざわざ雌雄異体であるにもかかわらず交尾しないで繁殖することを選んだ、というか、繁殖できるように進化しちゃったサラマンダーって……ちょっとどういう意味か分かりません。

「男ってなんか臭くてイヤ」とか「子作りのためだけの交尾はしたくない」とか「女だけのほうが安らぐ」とか「浮気されるくらいなら一人のほうがマシ」とか「暴力はこりごり」とか、なんかそういう意志の力がトカゲ界にあったのか、なかったのか、よくわかりませんが、よくわかんなくなっちゃうくらいビックリな事実です。

厳密にいうとその繁殖は、交尾による受精ではなく、メスが自身で自分のクローンを作りだす、みたいな方法らしく、種としては600万年も前に分化した系統だといいます。

そこで私は思いました。こういうことが人間でできるようになれば、救われる女子は結構いるだろうなあ、と。例えば、一人娘なのにお婿に来てくれる人がなかなか見つからない、とか、忙しいので恋愛と結婚をすっ飛ばしたい、とか、お母さんが育ててあげるから孫の顔を見せて、とか、結婚はしたくないけど子供は欲しい、とか、結婚が決まらないからって子供まで諦めるのはイヤ、とか。

「女子が優位な集団」は実現可能か?

というわけで今回のネタも、前回に引き続き『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。

放射能に汚染された近未来、人々に隷属を強いる支配者イモータン・ジョーの元から逃げ出した女戦士フュリオサと5人の花嫁たちは、フュリオサの生まれ故郷である「緑の土地」を目指します。そこは砂漠の中のオアシスがごとく汚染されていない緑が生い茂り、自給自足が成り立つために殺し合いとは無縁の、女だけのユートピアです。

そして一行は、ようやくその住人と思しきおばあちゃんたちと遭遇。故郷の人々との再会を喜ぶフュリオサですが、次の瞬間に彼女たちの言葉に耳を疑います。「緑の土地はもうないわ」。フュリオサが去ってから20年の間にすっかり汚染されてしまった「緑の土地」は、彼女たちが今さっき通り過ぎてきた不気味な沼地へと変わってしまっていたのです。

「緑の土地」のおばあちゃんたちを見て、私はサラマンダーの「メスだけ集団」を思いました。男に虐げられてきたのでしょう、おばあちゃんたちはフュリオサの逃亡を手助けしたマックスへの警戒心をむき出しにし、自らの妊娠した腹をさすり「悪魔の子よ」と呟く花嫁の一人を、「きっと女の子だよ」と慰めます。おばあちゃんたちは、おそらくほぼ女子だけで幸せな社会が成立すると信じ、男女の社会から分化したのでしょうが、今、若い人が一人もいないのはそれが夢であった証拠です。

さて、理想の国を信じた末に希望を打ち砕かれたフュリオサは、結局どうしたか。なんと砦に戻ることにするのです。結局のところ、理想の世界を他に探してもありはしない、今ある世界を自分の手で理想に近づけてゆくしかないと、肚を決めたわけです。

生物学的に言えば多くの場合で「メスの系統」は長くは続かない、「緑の土地」のおばあちゃんたちよろしく、行き詰まってしまうそうです。でも実際に、サラマンダーの「メスの系統」は600万年も残っているのですから、遺伝子とか社会とか気候とか何らかの変化、そしてメスの努力によって「メスの系統」――「メスだけ集団」ではないにしろ「メスが優位な集団」ができないとも言い切れません。

まあ優位なんて贅沢は言いません。ただ平等であれば、それで十分なんですけどね。

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