いまだ絶大な人気を誇るEMS

今回の内容は、クライアントからの質問が発端です。

「よくある"お腹にベルトやパットつけて外側から筋肉を刺激するやつ"って、どうなの?」と。

あのベルトは、EMS(Electrical Muscle Stimulation)という筋肉に電流を流す運動方法を利用したもので、もともとは1960年代に医療機関でのリハビリ用に開発されたものです。

一応私はパーソナルトレーナーとして、日本女子にトレーニングをしてもらい、ライフスタイルに運動を取り入れることを啓蒙しているわけで、この種の「簡単に!」とか「○○だけ!」という商品は推奨しないスタンス。だから今から書くことは、超バイアスがかかったものですが(笑)、この記事が、世の中の「ラクして痩せたい」ゾーンの人達にちょっとでも刺さるとうれしい!

私の思う問題点は2つ

この種の商品には、大きく分けて2つ問題があると思っています。

1つは「筋肉はまったく強くならない」

2つは「外見は特に変わらない」

まず1つ目の「筋肉が強くならない」という理由は、EMSは、筋肉の表面を刺激しているだけで、奥の筋肉にはまったく届いていないから。仮に、電流だけでお腹全体の筋肉を刺激しようと思ったら、かなり強い電圧でやるか、実際に電極をお腹に刺さないといけません。どちらも相当な痛みを伴うので、非現実的です。

2つ目の「外見は変わらない」というのは、100歩ゆずって筋肉が強くなったところで、見た目に変化は出ないということ。脂肪が落ちてる、落ちてないってことは別問題としても、筋肉が鍛えられた感が見えるかどうか、割れてるかどうかは「お腹に力を入れて収縮させる」という行為を、自分で意識してやらないとできないからです。

自分でやるから割れる!

極端な話、1日1万回腹筋運動(シットアップ。仰向けになって足を固定し上体を起こしてくる動き)をしたとします。すると「お腹に力を入れる」という神経系が発達していくんです。つまり、"使いたい(収縮したい)筋肉を動かす"という脳を、トレーニングすることができるわけ(シットアップはバイオメカニック的に意見が分かれるトレーニングなので、これが良いというわけではない)。

ここで言いたかったのは、外から収縮したとしても神経系が発達しない限り、お腹の割れ目を出すことはできない、ということ。EMSに任せて無意識に適度な収縮を与えたところで、見た目は変わらないということなんです。

【中編】につづく

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