女性の人生で最も「美しい」ときを創り出すグローバルプロダクト

たった1人の花嫁のために生地から織り成すシルクドレス

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なめらかに輝く、美しいシルク生地を使ったウェディングドレスが、いま密かに注目を集めている。カンボジアの小さな村の工房で、女性たちが懸命に織り成す「メコンブルー」のシルクは、国境を超え、日本女性たちの美を彩る。その製作背景に隠された深いストーリーとは…。「メコンブルー」の事業を日本で展開する、特定非営利法人ポレポレの高橋邦之さんにお話を伺った。

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——まずは、ポレポレ(メコンブルー)の活動について聞かせてください。

ポレポレでは2011年から、途上国の作り手や文化に寄り添い、伴走しながら、職人への技術協力やハンディクラフト(手工芸品)の流通支援などを通じて、社会的課題の解決に取り組んでいます。この活動の中で、知人から「メコンブルー」のシルク製品を紹介されたことがきっかけで、2013年から事業展開を始めました。

シルクを通じ、読み書きのできない女性たちの雇用をサポート

メコンブルーの活動は、読み書きのできないカンボジア女性のための雇用創出に繋がっています。シルクを製作しているのは、カンボジアのストゥントレンという小さな村で、本当に何もないところなので、開発援助や経済発展からも取り残されてしまっているエリアなんです。そこで、メコンブルー創設者のチャンタ・ヌグワンさんという元難民の方が、地域支援のために「Stung Treng Women's Development Center (SWDC)」という工房を立ち上げ、そこで作っているシルクの織物(ストール)を日本で販売しているという現状です。

——シルクのウェディングドレスを作り始めたきっかけは?

もともと取り扱っているストールの生地が、厚手でしっかりとしているため、夏場はどうしても売れ行きが落ちてしまうんです。しかし、カンボジア女性たちの仕事は通年で確保したいという思いがあり、原反(生地)で卸すことはできないかと。そう考えていたタイミングで、たまたま当団体の副代表が結婚することになり、「メコンブルーのドレスを作りたい」と言うので、まずは一着作ってみたことがきっかけです。それを見た知人が「私もやりたい!」と、オーダーが入るようになりました。

——ドレス1着あたりの製作期間や価格はどのくらいでしょうか。

オーダーメイドで生地から織り上げる、世界に一着の特別なドレス

オーダーをいただいてから、カンボジアの工房でシルクを織り始めるので、手元に生地が届くまで約半年ほどかかります。そこから先のデザインや仕立ては日本で行います。お客様の側で、生地の持ち込み可能なドレス工房をお探しになってもいいですし、こちらで取引実績のある南青山の工房をご紹介することもできます。そちらは、デザイナーさんがメコンブルーの取り組みに共感していただいているということもあり、また実際にドレスを作った女性陣からの評価も高いのでオススメです。

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価格ですが、生地が1メートル四方で1万5千円になります。あとは、着用される方の体型やドレスのデザインによって変わってきますが、一例を挙げると、生地代15万(12メートル使用)+仕立て代15万=計30万。レンタルドレスの相場が約20万と聞くので、それにプラス10万ほどで、世界に一着の自分だけのドレスが作れるわけです。購入者からも「特別感がある割にはリーズナブル」と好評でした。

——日本の花嫁とカンボジア女性のどちらも幸せにできる、ストーリー性のある素敵なドレスですね。

そうですね。ドレスを着た女性たちは、いつかカンボジアにあるメコンブルーの工房を訪れてみたいと言っていました。そういうふうに思い入れができる一生モノのプロダクトは、今時代においてなかなか貴重だと思います。

——メコンブルーでは、年間でどのくらいのカンボジア女性たちの雇用を創出しているのですか?

現在は30名くらいで、地域住民をはじめ、さまざまな年代の女性たちが働いています。工房の大きさ的には最大100名くらいまで入れるので、今後はもっと雇用サポートの拡大に力を入れていきたいです。

——彼女たちがメコンブルーで働きはじめるきっかけは?

「ここしかない」と、命からがら逃げ込んでくる女性も

家族(女性同士)の絆が強い土地柄ということもあり、親戚の紹介や口コミからというケースが多く、姉妹で一緒に働いている方もいます。

しかし中には、代表のチャンタさんが地元のラジオで話しているのをたまたま聞いて、「ここしかない」と子供を連れて逃げこんでくる女性も…。山間部にポンポンと村が点在しているような閉鎖的な環境のため、例えば旦那さんから暴力を受けていたとしても誰も気づきようがないんです。そうした状況下で、成す術がなく困っていた女性にとって、メコンブルーはまさに救いとなる受け皿。そういう意味で、このコミュニティが果たしている役割はとても大きいと思います。

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——シルク作りの訓練期間は、1人当たりどのくらいかかるのでしょうか。

教育を受けていない女性がほとんど。まずは読み書きと算数から

シルク作りの全工程をマスターするためには、個人差はありますが、早くて半年~最大2年ほどかかります。というのも、もともとこの地域では、女性は将来的に子守や家事手伝いをする役割があるので、学校で教育を受ける必要はないという考えが根づいています。そのため、働き始める段階で、読み書きができない状態の人がほとんど。作業の中で、生地の採寸や工程管理に簡単な読み書きと算数はマストなので、まずはその教育に3カ月ほど時間を要します。現在は、従来、工房にあった技法に加え、より質感の増した織り柄を生みだすため、東京藝術大学の染織研究室の助手の方に年に1回、現地へお招きしてトレーニングをしていただいています。一度覚えると、毎日織り続けている素養があるので上達がとても早いですよ。

——メコンブルーで学習と仕事をスタートさせ、人生で初めて自分の個性を活かして社会生活が送れる女性がほとんどだと思います。実際に現地で働く女性の姿を見て、どんな印象を受けますか?

「これで私を見下す人はいなくなる」

みんな"働かされている感"がなく、1人1人がオーナーシップをもって活動をしていると思います。コミュニティ内に無料で使えるドミトリーがあり、そこで住み込みで働いている人たちがほとんどなのですが、彼女たちは仕事が終わったあと、さらに夜に勉強をしているんです。そうした学習から自信が芽生え、「これで私を見下す人はいなくなる」と嬉しそうに語っている女性もいましたね。

——メコンブルーで得たものから、さらに彼女たちの夢が広がりそうですね!

少し前に、スタートアップから働いているメンバーの1人が、メコンブルーの敷地のすぐ側に鉄筋の家を建てたんです(現地では木造住宅がメインなのでこれは豪華!)。その人は、「一生懸命に働いて、お金を貯めて、家を建てる」というように、地元では目指すべきロールモデルになっているみたいですね。自分たちが頑張ることで、将来的に子供たちの世代の生活が楽になるはずだとみんな希望を抱いています。

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ブランドの顔として、自ら展示会に立つメンバーも

仕事面でみても、最近では、製作メンバーのうちの何名かはタイで行われた展示会に自ら立ち、商談まで行っているそうで、これには驚きました。以前、日本の百貨店でのストール販売風景を収めた画像を送ったことがあるのですが、どうやらその様子が「こういうふうに売っていいんだ」というヒントにつながったようです。読み書きもできなかった彼女たちが、そこまで成長できるのは素晴らしいキャリアアップだと思います。

——シルク製品(ストール)の日本での反響はいかがですか?

有名百貨店のバイヤーも驚く、カンボジア女性たちの織り技術

繊維製品の安全性・機能性を評価する「ニッセンケン」という検査機関で品質を調べてもらったところ、染色堅牢度4~5という最高ランクの結果をいただきました。普通は微調整を繰り返しながら徐々に品質ランクを上げていくのですが、カンボジア女性たちは最初から、一生懸命に作り続けた末に自ずと高品質の織物を作り上げていたんです。これは本当にすごいことで、百貨店のバイヤーさんなどにお話するととても驚かれますね。

また、織物に使用する染料も、工房と同じ空間に彼女たちの居住施設があるということもあり、水質や土壌に汚染の少ないものを使用し、環境に優しいプロダクトに仕上がっています。そういうさまざまな背景を含め、購入者の方々からはご好評をいただいています。

——もうひとつ高橋さんが携わっている活動で、最近では、「サイゴンソーシャライト」のブーツサンダルも注目されていますね。

欧米のファッションシーン注目する「歩くアート」

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こちらは今年からスタートした事業です。ベトナムにフエという、世界遺産にも指定されている古都があるのですが、そこは洪水の多い地域でもあります。災害で孤児になってしまった子供たちを保護するシェルターを作るとともに、その子たちが将来的に働ける場を作ろうと、女性起業家のランヴィーさんが雇用創出の取り組みをスタートさせました。しかしその活動の中で、現地の伝統工芸の職人たちもいま仕事がなくて困っていることを知り、それならば裁縫や彫刻など、いろんなジャンルの職人たちが一貫して携わることのできるプロダクトを作ろうと、サイゴンソーシャライトのシューズが生み出されたわけです。

欧米などではすでに有名ファッション誌にも取り上げられ注目されているアイテムだけに、今後の日本でのマーケティングに力を入れていきたいですね。

——メコンブルーのチャンタさん、サイゴンソーシャライトのランヴィーさん、いずれのプロダクトも創設者が女性であり、積極的に社会的課題に取り組んでいる背景がありますが、実際にお2人と話してどんなエネルギーを感じますか?

目の前にある課題に対して、自分ができることをコツコツと懸命に

2人に共通して感じることは、目の前の課題に真摯に取り組み続けてきたという、ひたむきな情熱です。ランヴィーさんの取り組みは先ほどお話しましたが、チャンタさはもともと国境なき医師団で通訳・看護師として働いた後、カンボジアに入って最初はエイズの末期患者のホスピスをやられていたんです。そこに来る若い女性たちが自分の目の前で次々に死んでいく。しかもその悲惨なループが止まらない…。その原因を考えたときに、貧しくて読み書きができないので、セックスワーカーになったという話しを聞き、それならば彼女たちのために仕事を作るしかないと。それがメコンブルーにつながっています。そうした活動を10年以上も続けていらっしゃるのは、パワフルだと思いますね。

——近年、ファストファッションのような手軽なアイテムがブームの中で、メコンブルーやサイゴンソーシャライトのように、モノの価値やストーリー性を感じるアイテムを長く大事に身につけることに改めてスペシャリティを感じます。

今時代において、モノの価値を感じられる貴重なアイテム

ファッションはバランスだと思うんです。手頃な価格で着回せるアイテムもうまく取り入れながら、一生愛着がもてる製品のひとつとして、メコンブルーやサイゴンソーシャライトのアイテムを大切に身につけていただけると嬉しいです。

高橋 邦之特定非営利法人ポレポレ 代表理事

バルト3国エストニアの高齢者女性の雇用創出に携わった経験から、新興国の手工芸品の流通支援、技術協力などを通じて、社会的課題の解決に取り組む。AERA「アジアで勝つ日本人100人」選定。

メコンブルー ウェディング


イベント開催「スト-リーで繋がる新しい消費 ~ エシカルにオシャレ心を満たすヒント ~

PASS THE BATONの遠山正道氏、パタゴニア日本支社 辻井隆行氏、日本エシカル協会の末吉里花氏と高橋さんによる「自分ひとりでもできる、環境や社会によりそう消費」についてのトークイベントが11月23日(水・祝)に開催決定。心豊かな暮らしへのヒントを探りに出かけてみては?

応募はコチラから。

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