アスリートモデル兼柔術家として活躍の幅を広げる東あずささん。そんな彼女のルーツに迫るべく、故郷の岩手で過ごした幼少期、東日本大震災の経験、モデルになった経緯について教えてもらいました。

――故郷の岩手大槌町について教えてください

太平洋に面する岩手県大槌町は、海だけでなく山にも囲まれる静かな町です。四季折々の風景や、自然に恵まれた土地ならではの食事を味わうことができます。時間を気にせずにゆったりと、穏やかなひと時を過ごせる場所だと思いますね。

――どんな子ども時代を過ごしましたか?

とにかく天真爛漫で、何をしでかすかわからない活発な女の子でした! 6歳の時の夢が「ライオンになりたい」だったんです(笑)。 女の子の輪に入れず、男の子とばっかり遊んでいましたね。両親に「女の子と遊ぶと怪我させちゃうから、男の子と遊びなさい」と言われるくらい。特に好きだった遊びが「サンショウウオ獲り」で、家の裏山の沼で見つけては、サンショウウオを持ち帰って飼育していました。過去に一度、捜索願いを出されたこともありましたね。クマがたくさん出没する山に友達と冒険しに出掛けて、気づいた時にはもう夜で、いつもの帰宅時間をとっくに過ぎてしまっていたんです。それで心配した家族が、警察に捜索願いを出すまでの大事になってしまって。その時は当時生きていたお爺ちゃんに鬼説教されましたね…。今思えば、大変な迷惑をかけてしまいました。

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東あずさ

――そんな活発な女の子の初恋はいつ?

初恋は幼稚園の時。相手の子はとにかく頭が良くて、スポーツができる子でした。最近、地元に帰った時に大人なった彼と会う機会があったんですけど、今でも変わらずかっこよかったです! 子どもの頃と大人になった今を比べても、あまり好きなタイプが変わっていないんじゃないかな(笑)

――中学と高校では、どんな学生代を送りましたか

当時の夢は建築士でした。実家が立て直しをしていた時期は、休日は大工さんについて、一軒家が建つまでの工程をこの目で確かめながら勉強していました。家の壁紙やカーテンのデザインを選ぶ権利をもらった時は嬉しかったですね。部活は中学、高校と柔道部。中学では女子柔道部は学年で私だけで、平日は毎日男子と稽古。帰るのもご飯行くのも男子(笑)。当時高校生だった姉も柔道をやっていたので、休日はひとりで高校に行き、姉と姉の友達に稽古をつけてもらっていました。先輩達にすごく可愛がってもらったのを覚えてます。

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東あずさ

――日本大震、どんな体をしましたか?

東日本大震災が起こった時、私は17歳の高校1年生でした。私自身も友人や親戚を亡くし、大好きだった近所のお店、通っていた小学校、遊んでいた公園はすべて津波に流されてしまいました。その時は悲しいというよりも生きるのに必死で、泣く暇もなかったように思います。ただただ、前を向いて歩くしかないんだと自分に言い聞かせて、震災から6年経った今日も生きています。

――芸能界入りすることになったきっかけを教えてください

震災当時、親戚のお姉ちゃんが勤めていたアパレル関係の会社の社長さんが、被災地に物資支援をされていました。その時、その方がたまたま私の実家に立ち寄った際に私に声を掛けてくださって、今の事務所を紹介していただいたんです。モデルの仕事に挑戦したい気持ちはもちろんあったのですが、震災で多くの方が大変な思いしている中、私だけが華やかな世界に行ってしまっていいのだろうかという思いで、決断をするまでとても迷いましたね。ただ、決断してからは一切恐れもなく、やるからにはどんなことがあっても諦めないで努力しよう! と心に誓いました。これらの出来事が糧となり、今の自分を作っていると思っています。どんなにつらい過去であったとしても、無駄なことなんてひとつもない! 自分で選んだことに後悔はありません。

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東あずさ

――京でアスリートモデルとして活する今、故へどのような思いを抱いていますか?

私がこの仕事を頑張ることで岩手の素晴らしさを日本中に伝え、おこがましいかもしれないですが、故郷を守っている方々の力に少しでもなれたら、それ以上に嬉しいことはないですね。先日、所属事務所の先輩のユージさんと岩手の観光地を案内するロケがあったのですが、世間から見て岩手県、特に私の故郷である大槌町は震災や津波のイメージがいまだに大きいのだなと感じました。でも、実際は明るいニュースもたくさんある町だし、震災前と変わらずに誇れる素晴らしい土地なんです。今後は、私がその魅力をもっと発信していきたい、その時心から思いました。岩手のために、少しでも力になっていきたいです!