エイミー・チェシャーさんは子どもの頃から洋服が大好き、でもショッピングは大嫌いだったんだとか。理由は、同じ年齢の子より背が高くてぽっちゃりしていたため、体に合う服が見つからなかったから。

コスモポリタン アメリカ版によると、彼女はプラスサイズを扱う会社に就職したものの、扱っている商品はガバっとしたTシャツやダボダボのパンツ、ムームー、そんな服ばかり…。チェシャーさんは会社を辞め、プラスサイズのファッションブログを開設。さらにネット通販<Hey,Gorgeous!> をスタートさせ、世界中のデザイナーによるトレンド感いっぱいのトップスとボトムスを、12号以上のサイズ展開で品揃えサイト上では話題のデザイナーやモデル、プラスファッション界のオピニオンリーダーも紹介し、プラスサイズの女性たちに大きな刺激を与えているそう。

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"ジーンズをみんながカッコイイと言ってくれて、本当に嬉しかった。その高ぶった気持ちは忘れられませんでした。"

「私はいつも、クラスの中で一番太っていて背も高かったから、クラス写真は最後列の真ん中が定位置。当時カナダにはプラスサイズの洋服はあまりなかったので、学校へ着ていくのはジョギングウェアばかり。自分だけみんなと違うという疎外感を感じていました。

6年生の頃、母がメンズジーンズの中から私に合う物を見つけて、それを履いて学校に行ったんです。みんながカッコイイと言ってくれて、本当に嬉しかった。ファッションと自尊心がつながった瞬間でしたね。その高ぶった気持ちは忘れられません。

15歳の頃、トロントからバージニアへ引っ越しましたが、アメリカでも状況は同じでガッカリ。私のサイズを扱っている若者向けのショップは、黒づくめの服ばかり売るような店だけ。

ジェームズ・マディソン大学で心理学を学んでいる頃には、それらの店で買った何枚かと古着をコーディネートして着ていました。ネットでプラスサイズを探しているうちに、プラスサイズのモデルを募集している広告を見つけ、自分にもできるかもと思いたちました。そして1980年代にプラスサイズのモデルだったキャサリン・シュラーを検索して、彼女に写真を何枚か送ったんです。そうしたら『きっとうまくいくわ』と言ってもらえて、自信がつきました。心理学の道に進まないことを決め、2002年の卒業後は、ニューヨークのLIMカレッジでファッションの商品企画を勉強することに。

ニューヨークに移った1年目に、プラスサイズのモデルに応募して、事務所と契約し、Lord & TaylorMacy'sなどの、消費者を前にしたファッションショーに参加。マリ・クレールのショーにも出ましたが、1年やってみて、モデルの仕事は自分には向いていないな、と」

「そしてファッションの生産サイドに目を向けたとき、プラスサイズ市場に乗り出していた数少ない会社に出会いました。そこでは、低価格の商品をカタログを中心に販売していましたが、インターンシップとして、接客や商品コンセプト、標準サイズのファッションをどうマネするかなど、多くのことを学んだのです。

2003年にLIMを卒業すると、生産部門のアシスタントマネジャーとして正式に雇われました。何回か昇進して、あるカタログのプロジェクトマネジャーにもなりましたが、同じようなスタイルに飽き飽き。『大勢の好みに合うようにとにかくシンプルに』と指示されていましたが、流行を取り入れた商品を望んでいるのは自分だけではないと確信し、体にフィットしたTシャツやライダースジャケットのような商品を作ったんです。…が、会社には評価されませんでした

"妊娠していることを告げると、「やらなくちゃ。延期なんてしたらだめよ。子供を持つのは当たり前のこと。突き進んで」と言われました。"

2009年の夏に、自分のブログを立ち上げるために会社を辞めました。ブログの名前はマディソン・プラス。プラスサイズの女性として、自分のスタイルを発見する場、プラスサイズを扱う3つのショップで売っている商品を紹介する場、トレンディに見せる方法を学ぶ場にしました。自分たちが持っていないことに不満を言うのではなく、持っているものをどう生かすかを考えるようにしたんです。

モデル事務所とは良い関係を築けていました。ただ、プラスサイズのモデルが自分を売り込むために着る服はほとんどない状況だったので、私はそういう写真を撮って、ブログにアップ。ロビン・ローリー、タラ・リン、アシュリー・グラハム、クレモンティーヌ・デソー、デニス・ビドなど、今は有名になったモデルたちが駆け出しの頃でした。

ブログは好評で、アシュリー・グラハムの写真が、テレビ情報番組『エンターテイメント・トゥナイト』で取り上げられました。それを機に、アフィリエイト・ショッピングサイトを始め、プラスサイズを提供していた全ブランドの商品を管理することに。消費者はオンラインで商品を購入できるようになり、ブログに一定の売上が出るようになりました。インディーズのデザイナーが世に出る手助けをするのは、私にとって重要なことでした。売る場所を必要としていた彼らは、プラスサイズ市場に新風を吹き込んでくれたのです

「さらに本格的なショッピングサイトを作りたいと考えていたときのこと、技術面の勉強会やファッションイベントに参加。2013年、ニューヨークのFacebookのオフィスで行われた勉強会に行き、会場に向かうエレベーターで、デイビッド・ウェクスラーという男性(投資家で、次々と新事業を立ち上げる起業家)と一緒になり、会場でも空いている席は彼の隣だけ。プラスサイズ産業を知らなかった彼は、たくさんの質問をしてきて、『いつになったらこの人は静かになるの? 講演者の話が聞けないじゃない』と思うほど。

彼はちょうど投資先を探していて、『誰もやりたがらないこと』への投資を考えていたんだとか。私には明確なビジョンがあり、消費者の気持ちもよく理解していたし、デイビッドはプロジェクトに投資してくれそうな個人投資家のリストを持っていました。それが私たちの事業開始資金になったのです。

ですが、それでも十分ではありませんでした。私は当時、妊娠6カ月で、それは技術関係など男性優位の世界では、不安材料になることです。そこで、私たちはニューヨーク在住のジョアンヌ・ウィルソンという、子だくさんの優しい女性に会いました。ぜひプラスサイズのビジネスに投資したいという彼女に、おずおずと妊娠していることを告げると、『やらなくちゃ。延期なんてしたらだめよ。子供を持つのは当たり前のこと。突き進んで』と言われ…。肩の荷が下りた気分でした。私は自己不信に陥っていたんです」

"「ショッピングは嫌い」と言っていた彼女たちが、うれし涙を流して帰っていくんですよ。子供の頃に感じた、「私に合う服なんてない。私は価値のない人間なんだ」という声が、頭から消えていきます。"

「最初に立ち上げたマディソン・プラスは自然消滅させ、2014年4月に流行を意識した、プラスサイズの女性向けオンラインブティック<Hey, Gorgeous!>を始めました。ターゲットはキャリアウーマン、ワーキングマザー、CEO、弁護士など、収入の多くを靴や化粧品には費やしているけれど、洋服に使う機会のなかった人たちです。彼女たちは体重を落とすのではなく、今の自分を輝かせてくれるものを望んでいます。

最初、扱っていたブランドは5つでしたが、今は30以上に増えました。そのブランドの商品を管理するのが私の仕事です。仕事用から水着、高級品、デイリーウェアまで、すべてを揃えます。<Hey, Gorgeous!> は、才能豊かなデザイナーがキャリアをスタートさせる場所にしたいと思っています」

「ブロガーからモデルまで、長年の友人たちがブログやSNSで取り上げてくれました。昨年7月には、マンハッタンのショールームで、プライベートのショッピング体験ができるようにもしました。消費者は前もって、私たちのサイトから好きな商品を選び、自分の体の隠したい部分と強調したい部分をメールで伝えておきます。彼女たちはショールームで2時間、スタイリスト付きで色んな洋服を試着します。『ショッピングは嫌い』と言っていた彼女たちが、うれし涙を流して帰っていくんですよ。子供の頃に感じた、『私に合う服なんてない。私は価値のない人間なんだ』という声が、頭から消えていきます。現在、オンライン会員は3700人以上。今後はプライベートブランド<Hey, Gorgeous!> もスタートさせる予定です。

小売店は、大勢いるプラスサイズの人たちの消費力が大きいことを分かってきたようです。プラスサイズの商品も見かけるようになりました。でも私が変えたいと思っているのは、プラスサイズの女性たちのメンタルです。美しく品質のよい洋服を買うと、満ち足りた気持ちになります。その自信は人生の糧になります。それは、これまでプラスサイズの女性には経験できないことでした。プラスサイズを増やし、買い物を楽しめるようにするだけでなく、彼女たちが価値のある人間だと示す、それが私の仕事だと思っています」

※この翻訳は抄訳です。

TranslationYuko Oguma

COSMOPOLITAN US