自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。コスモポリタン日本版では、人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介していきます。

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モデル/ダフネ・セルフさん

大英博物館の近く、ロンドンを象徴するレンガ造りの建物が並ぶ道の一角にあるのが大手モデル事務所「MODELS1」。案内されたミーティングルームに入ると、春らしいピンクのニットを纏ったダフネさんが笑顔で迎えてくれました。取材中も自然体で、度々口にするブリティッシュ・ユーモアがチャーミングな彼女は、ギネスブックにも認定された世界最高齢の現役ファッションモデル。

世界的フォトグラファーのマリオ・テスティーノや一流ブランド『ドルチェ&ガッバーナ』、『ジャンポール・ゴルチエ』などと仕事をし、モード界の第一線で活躍する。現在、88歳のダフネさんが、いつまでも美しく輝く理由に迫ってみました!

―「スーパーモデル」になるまでの道のりを教えてください。

戦後にデパートの販売員として働いていた時に、雑誌のカバーガールに抜擢されたことがきっかけでモデルの世界へ。当時はファッションショーや広告の仕事、アートモデルも幅広くこなしたわ。

その後、結婚してから3人の子どもを授かり、「これでモデルの仕事も、もうおしまいかしら」と思っていたの。でも、縁があってテレビや映画のエキストラの仕事をし、『007』にも出演したのよ。口を動かしながら話をしているふりをするのは、とても面白かったわ(笑)。この仕事では、ミュージシャンの卵など夢を抱いている素敵な人たちに会えたことが、とても貴重な経験だった。その他は、40代の頃に店頭でのモデル活動として服の宣伝をしたこともあるわ。

1997年に夫が亡くなってしまったんだけど、70歳の時に『Red or Dead』というブランドがシニアモデルを探していて、モデルの仕事に復帰をしたの。その後に、女性誌のエイジング特集に参加もして。一流女性誌に載る夢が、まさか70歳で叶うなんてね! そして、モデル事務所にスカウトされて、今のように働くようになったの。

―実際に、今もモデルとして働いている心境は?

とても楽しいわ! モデルに復帰できて、私は本当に幸せだったと思う。「年齢が女性の夢を阻むことはない」という、ポジティブなメッセージを伝えることができていると感じてるわ。日常生活や人生の過程に支配されてしまいそうなときはあるけれど、「本来の自分自身はどんな女性なのか」ということを立ち止まって見直すのはとても大切よ!

20代、30代の頃にキャリアを通して学んだことは?

「断られること」に慣れるのは、人生で学ぶべきこと

結婚後にモデルの仕事に復帰をしようとした時期があったんだけど、ツィッギーのようなモデルが人気だった当時、私はランウェイにはふさわしくなかったの。乗馬をしていたこともあり、がっしりとした体型だったから、オーディションに行っても断られることは日常茶飯事。でも、「断られること」に慣れるのは、人生で学ぶべきこと。そういう場合は、自分自身がダメなんじゃなくて、ただその時の相手の要望と自分自身がマッチングしていないだけ。あと、自分のしている仕事にプロフェッショナルとしての姿勢で挑むことも大切。

そして、最も大事なのが冒険的でいること。人生はあっという間に過ぎ去ってしまうから!

―豊富なチャレンジ精神の秘訣は?

物事がうまくいかないときは、それはそれでいいの。自分自身を精神的に強くしてくれるから

正直なところ、家族との関係が大きいと思う。幸運なことに、家族が愛情をもって育ててくれたから、それがポジティブな性格につながっているんだと感じているわ。

でも、物事がうまくいかないときは、それはそれでいいの。自分自身を精神的に強くしてくれるから。だから、新しいことに挑戦するのに恐れたことはないし、いつもトライしてきたわ!

―ダフネさんが若かったころと比べて、今の世代で変わったと思うことは?

街中に溢れるファーストフード店と、デジタル機器に囲まれていることかしら。インターネットは便利だけれど、携帯電話ばかり眺めているのはせっかく目の前にある現状を見れないから、もったいないと思うわ。何事にも、節度が肝心。

モデルに関しては、プラスサイズやシニアモデルなど定義が幅広くなって、私が若かったころに比べてとても変ったわ。

―健康と美の秘訣を教えてください。

朝おきて、まず水を飲む。それから、バレエやヨガ、フィットネスバイクなど、エクササイズをするの。スキンケアとメイクをして、朝食。フルーツ、ミュ―ズリ―にヨーグルト、緑茶。これで、朝の準備は完璧!

普段の食事は、鶏肉や魚、野菜を中心に自炊するの。たまにケーキみたいな好きなものを食べるのも大切よ。

今感じるのは、若い頃にたくさんスポーツやダンスをしていて、それが今になって役に立ったと思うわ。あと、一番大切なのは姿勢の良さ! 姿勢がきれいならば、服をより美しく着こなせるから。

―ダフネさんのように、永遠に「美しい女性」として生きる秘訣を教えてください。

いろんなことに関心をもつと、年齢のことすら忘れてしまうわ

好奇心をもって、幅広いことに興味を抱く姿勢は何より大切だと思うわ。物事に興味がなくなってしまうと、自分自身を楽しめなくなるから。

何か夢中になれることをもつのは重要だし、それがあるかないかで人生は大きな差が出るはず。私は外出することが多いんだけど、劇場に足を運んだり、素敵な庭園を見に行ったり、友達と会ったり…。いろんなことに関心をもって、「知りたい」、「見たい」、「やってみたい!」と感じると、年をとっていることすら忘れてしまうわ。

あと、シニア世代になるとオシャレや自分を美しく見せることに関心がなくなってしまう人もいるけれど、それでは自信がなくなるいっぽうだし、少し頑張って着飾ってみるべきだと思う。

私はその日の予定に合わせて、ドレスアップをして出かけるんだけど、とくに鮮やかな色の服を選ぶのが好き。髪の毛もみんなショートヘアにしてしまう人が多いけれど、私は美容室に通うお金があれば、どこか楽しいところに出かけるほうを選ぶわ。

結局、美しくい続ける秘訣は、いつでも新鮮な気持ちでいることなんだと思う。

―今の趣味はなんですか?

旅行かしら! 昔は海外なんてほとんど行ったことがなかったけれど、今やっと仕事で行けるようになったの。先週もアメリカから帰ってきたばかり。この数年で、スウェーデン、デンマーク、日本、南アフリカ、モロッコ、オーストラリア、中国、ベルギーなどを訪れたわ。新しい場所で、新しいものを発見するのは大好きなの!

あとは家族と過ごすこと。子供が3人、孫が4人いるの。(タブレットで家族と撮影した写真を、嬉しそうに見せてくれました)ちなみに、長男は昔日本で働いていたこともあるのよ!

―数回日本に来られたことがあるそうですが、日本の女性についてどう思われましたか?

日本の女性はとてもオシャレだと思うし、綺麗でいることに気を使っているのが魅力的ね。それに、本当に礼儀正しい人が多いわ。私の本も日本で人気のようだけど、それって日本の女性は「シニア世代から学びたい!」っていうことだし、それはとても素敵なことだと思うわ!


「年齢」を重ねることへの不安という社会一般の固定観念をくつがえし、「いつまでも女性は美しくいること」ができると証明したダフネさん。取材中も始終自然体で、「ロンドンの街を歩くのは好き。とてもロマンチックな気分になるの♡」と語ってくれ、取材後も「今から劇でも見に行こうかしら」と、一瞬一瞬をたのしんで生きている姿が印象的でした。

ダフネさんと話した後は、自分の気持ちや姿勢次第で「いつまでも少女のような気持ちで人生を楽しめるんだ!」と確信しました!

【ダフネさんから学んだ永遠に美しい女性として生きる秘訣】

・柔軟に、現状を楽しむ

・固定観念に縛られず、自分自身が心地よく感じることを選択する

・人生はあっという間に過ぎる。だからこそ、冒険的に生きる!

インスタグラム @daphneselfe | ウェブサイト

著書「人はいくつになっても、美しい