自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。コスモポリタン日本版では、人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介していきます。

マリメッコ コミュニケーション&PRコーディネーター  リラ・ベルタネンさん

日本でも絶大な人気を誇る、フィンランド生まれのファブリックブランド「マリメッコ」。1949年ヴィリヨ・ラティアがプリント会社を興し、妻のアルミ・ラティアが地元の女性デザイナーを集め発展を遂げ、今では、フィンランドの各家庭に1つはアイテムがあると言われている。そんな国を代表するブランドで働いているリラ・ベルタネンさんに、フィンランドでの働き方、彼女のキャリアとの向き合い方について聞いてみました。

マリメッコpinterest

――マリメッコで働いてどれくらいですか? 

ずっと憧れていたマリメッコに入社して、実はまだ働いて1年なんです。でも、すでにパリのファッションウィークに、ミラノのデザインウィーク、アメリカの百貨店チェーン「ターゲット」とのコラボレーションなどに携わり、もう10年くらい働いているような気持ちです(笑)。同僚からはたくさんのインスパイアを受けますし、新しいことにチャレンジしよう!という環境があって…今となっては2つ目の家族のような存在ですね。

――入社以前はどんな仕事をされていたのしょうか?

大学を卒業してから、コミュニケーション関連の仕事をしていました。学生時代に、社会政治学を学んできて、政治や歴史が"人と会うことで決まっている"ということに気がついたんです。人と人が一緒に何かをしたり、しなかったり…コミュニケーションの大切さや影響力、世界や人に与える大きな力を感じたんです。コミュニケーションがうまくいくことで、すべての出来事が動くのだと。もともとフィンランドの首都ヘルシンキ、ベルギーのブリュッセルでもコミュニケーションの仕事をしていました。なので、初めてのPRの仕事に携わっています。

――その後、マリメッコへと移ってこようと思った理由は?

ずっとデザインや、そのストーリーを伝えていくことに興味があったんです。そんな中、フィンランド人にとって象徴的なブランドでもあるマリメッコが、新しいディレクターに「H&M」や「ヘネス・アンド・マウリッツ(Hennes & Mauritz)」でキャリアを積んだアンナ・ターネルを採用するということを聞いて、「またマリメッコが次のステージに進んでいく!」と感じていました。その頃は憧れで、まさか自分が働くと思っていませんでした。でも夢だったんです。

でも去年の夏、コミュニケーション&PRコーディネーターの募集を見た時は、応募しない手はないと思ましたね。提出書類にすごく気を使ったり、直接責任者に連絡を取ったり。チャンスは逃したくないし、トライしたいと思ったことについてベストは尽くさなきゃと。

グローバルな環境で今まで働いてきたバックグラウンドや英語を活かせるとも思っていました。

――国を代表するブランドで働いていて嬉しいと思うことは?

フィンランドでは冬は夜が長く雪も積もることから、家の中での時間をどう快適に充実させるかが大事にされてきました。北欧デザインが発展した理由はそこにあるとも言えます。独自のデザインのファブリックをファッションや食器など生活の中に定着させてるという、創業のときからの同じ想いを持ち続けて、人々の生活を毎日幸せにしていけることは、私にとっても幸せなことです。友人の家や街中で、マリメッコのデザインでみなさんの毎日の瞬間を彩っているのを見るだけで、私の活力になります。

――フィンランドの人の国民性として"正直で落ち着いている"と言われていると思いますが、ツラい、難しいなど感じるときはありますか?

私は一度もツラいという思いはしたことがないかも。すごくいい環境だから。確かに、忙しい時や残業が続くときはすべてを捧げて働かないと!と思うことはありますが、お互いに支え合える人が多いので。女性が多い会社なので、悪口やキャットファイト(笑)があると思われるかもしれませんが、それもないですし。「マリメッコスピリッツ」というか、気持ちが一緒なので団結力があるんです。

――プライベートで毎日のリフレッシュするときは? 

フィンランドの人はみんなそうだと思いますが、8~9時間はしっかり働いて、残りはオフにする!というのが基本的な働き方です。休みを取ることで、仕事とプライベートのバランスが保てるのは言わずもがな。友人と食事を作って食べたり、ギャラリーに行ったり、スポーツも2カ月前にもバルセロナでマラソンにでたばかり。船で1週間セーリングにでることもありますよ。リフレッシュしたり、新しいアイディアを得たりするには休むのも大切。

――日本では人と比べて落ち込んだり影響されたりすることも多いのですが…ご自身は比べてしまったりしませんか?

若いころは比べてしまっていましたね。友だちの着てるものや、聞いてる音楽をマネして…。でも今、情熱が湧くものが見つかってからはなくなりました。本当に情熱を持てるものだけを追いかけようと思えるようになったんです。自分自身で何をしたいか考えて、それを行動に移して…。そうしているうちに周りを気にする必要がないと分かったんです。若い時にはみんな通る道で、その道を通ったから気が付いたんだと思います。

それに、自分の情熱が人からもらうものではなくて、自分の中から湧くものだってわかったことも大きいと思います。マリメッコで働いていると、みんなが同じ情熱を持っているし、逆にその情熱が唯一の共通点でもあるので、比べてる暇もないくらいゴールに向かっている感じ。バックグラウンド、性格もかなり違っているけど、違う人をまとめて1つのブランドを作っていくことをしている会社だからこそ、ここにいることで、みんな違っていいんだと素直に思えます。

フィンランドでは一般的に、励まし合うことが大事とされていて、女性も働く環境が守られているし、そうすべきという風潮があります。さらにマリメッコだと、その傾向が強いですね。ビジョンを持っている女性が改革していった会社だから、常識にとらわれないこと、枠を飛び出て行くのがいいことだとされていますよ。

――心がけていることや、モットーはありますか?

いつも友人に言われるのが、私の口癖なんですけど「Why not?(なんでしないの?)」ですね。失うものはないんだし、とりあえずやってみないとわからないし、好きかどうかもやってみないとわからない。仕事でもプライベートでも通じていると思います。

――これからの目標はありますか?

自分の心も、環境も変わっていくから、プランはあまり立てていないんです。毎日楽しんで、「be inspired(インスピレーションを受ける)」ってことを大事にしています。仕事も旅行も、本も読むことでも、楽しみながら、自分の正直な声を聞いていけば、それがやりたいことに繋がっていくはずだから!

【リラさんから学んだ、人生を充実させるためのヒント】

・就きたいポジションを得るためには、自分にできるベストを尽くす

・情熱が湧くことを見つける

・Why not?(なんでしないの?)の精神で何事にも挑戦!

・どこからもインスピレーションを受けることを大切に

取材協力:Visit Finland